【文字おこし】最後の晩餐!君も野草サラダパーティーに参加してみないか?
オープニング
ず「最近金欠なのだ…今日はそこらへんの雑草をとってサラダでも作るのだ」
「およっ!これは美味しそうな雑草なのだ!大量なのだ!!」
つ「ずんだもんが見つけたのは"クレソン"という植物。明治初期にオランダから日
本に渡来したヨーロッパ原産の植物で、繁殖力が旺盛で野生化し、現在は清澄な
湧き水や小川で見られます。」
「スーパーなどでもよく見られ、知っている方も多いと思います。市場では主に
施設栽培された商品が販売され、サラダなどの生食は安全です。しかし野生の植
物を生食すると寄生虫感染のリスクがあり、大変危険なのですが…」
ず「頂きま…」
め「汚物は消毒よ」
ず「ああ…僕のサラダが…」
め「水辺に生えている野生の草を生で食べると"肝蛭"という
寄生虫に寄生されてしまう可能性があるのよ」
肝蛭の生態
め「肝蛭は、牛や羊などの胆管に寄生する大型の吸虫なのだけれど、
実は人間にも寄生する重要な人獣共通感染症でもあるのよ」
ず「うっ…気持ち悪いのだ…」
め「日本ではこれまでに各地から散発的に報告があるわ」
「感染経路は、肝蛭の幼虫が付着した野菜の生食や、感染ウシの肝臓のレバ刺し
を食して感染する可能性もあるといわれているわ」
ず「あれ…もしかしてさっきの野草を生で食べたらヤバかったんじゃ…」
め「ええその通りよ」
ず「食べなくてよかったのだ…寄生されたらどうせロクなことないのだ!」
め「肝蛭の卵は水中で孵化し、ヒメモノアラガイという小型の巻貝の中で成長する
わ」
め「ヒメモノアラガイは、モノアラガイ科に分類される淡水性の巻貝の一種で、水
田・用水路・湿地などを中心に、幅広い環境に生息しているわ」
「乾燥する環境では土の割れ目などに潜り乾燥をやり過ごすこともできるそう」
ず「なかなかしぶといのだ」
め「肝蛭がヒメモノアラガイの中で成長した後は水草に付着し、それを摂取した動
物のお腹の中から胆管へと移行するわ」
ず「お腹から胆管ってどうやって移動するのだ??もしかして…」
め「ええ、摂取された肝蛭は空腸から腸粘膜に侵入し、腸を貫通して腹腔へ出てく
るわ」
ず「ひえぇ…聞いているだけで怖ろしいのだ…」
め「先ほど説明したように、肝蛭の幼虫は水辺に生息しているため、一見綺麗に見
えても野生の水辺の野菜を生で食べてはいけないのよ」
「ミョウガやセリ、クレソンなどの水生植物は、肝蛭の幼虫が付着している可能
性があるため、注意が必要よ」
ず「なるほどなのだ」
肝蛭に寄生されると…
ず「じゃあ、実際に寄生されるとどんな症状が出るのだ?」
め「そうね、人間の場合多くは無症状なのだけれどMSDマニュアルプロフェッシ
ョナル版によると、まず急性感染症と慢性感染症の二つに区分されており」
「急性感染症の場合はわかりやすい例を挙げると、肝障害に起因する腹痛や、嘔
吐、蕁麻疹、倦怠感、体重減少が挙げられているわね」
「慢性感染症の場合は、胆石症をはじめに膵炎にまで発展する恐れがあると記さ
れているわ」
「その他症状や、多数寄生のパターンを知りたい場合は、情報元のMSDマニュ
アルプロフェッショナル版を見てちょうだい。URLは下部リンク集に載せておく
わね」
ず「とにかく肝臓への被害が凄まじいのだ…絶対かかりたくないのだ」
「みんなもMSDマニュアルは要チェックなのだ!」
め「牛などの家畜の場合は、水田や水辺にある肝蛭に汚染された草を与えることで
肝蛭に寄生されてしまうわ」
「食欲不振や軟便、下痢、貧血などを示し、重篤な場合は死亡することもある
わ」
「感染による肉質、乳量の低下は酪農業界においてとても大きな損失となってし
まうわ」
ず「せっかく育てた牛さんが肝蛭にやられちゃうなんて悔しいのだ…」
め「本当にその通りよ、しかも肝蛭は牛の肝臓や胆管に寄生するだけでなく、気管
支や子宮内へ迷いこんで悪影響を与えることも珍しくないの」
ず「そ、そんなところに入り込んで牛さんは大丈夫なのだ!?」
め「牛さんは赤ちゃんができないと牛乳が出ないため、子宮に肝蛭が侵入し、赤ち
ゃんが出来なくなるのはとっても問題なの」
「牛の子宮内を洗った際に肝蛭がでてくることもあり、その後すぐに不妊が治っ
たなんていうこともあるのよ」
ず「ひ、ひどいのだ!!肝蛭め、許せないのだ!!」
め「全くその通りよ!!分娩間隔が1日長くなると1日あたり1500円以上損失が生
じるという試算もあり、いかに分娩間隔を短くするかが繁殖経営において重要な
こととなっているわ、繁殖牛を飼養していくうえで発情が来ない、受胎しないな
ど繁殖障害が生じることがあり、その要因は様々ではあるけれど…」
…
……
………
め「というわけなのよ、わかったかしら?」
ず「よ、よくわかったのだ(全くわからなかったのだ^^)」
「で、でも肝蛭がヤバい寄生虫ってことはわかったのだ、牛さんが寄生されない
ようにする方法はないのだ?」
め「駆虫薬を牛に投与したり、与える草を肝蛭が生きることができな環境にしてし
まうことが対策として挙げられるわ」
ず「なるほどなのだ!!」
め「また、牛を飼っている農家さんは牛糞を畑にまく際、牛糞を十分に発酵させて
から撒くことで、肝蛭の拡大を防ぐことができるわ」
ず「牛糞を発酵させるのだ??どうしてそれで肝蛭を防げるのだ?」
め「牛糞は微生物によって分解されるのだけれど、その際に沢山の熱エネルギーが
発生するの」
「適切な管理を行えば発酵熱の温度は70℃~80℃まで上昇し、肝蛭の卵を殺す
ことができるのよ」
ず「牛の💩ってそんな高い温度になるのだ!?」
め「肝蛭の卵だけでなくそのほかの寄生虫の卵も死滅させるわ」
「そしてしっかりと発酵させた堆肥は生えてくる草や農作物の栄養になりやすい
形になるのよ」
ず「牛の💩は奥が深いのだ…確かに肝蛭の卵がいっぱい入った牛糞をまき散らした
ら、どんどん被害が拡大してしまうのだ」
肝蛭まめちしき
め「冒頭では感染牛のレバ刺しを食べると肝蛭に感染すると説明したわ」
「牛の肝臓は屠畜上で検査され、肝蛭が寄生した肝臓は廃棄されるので、基本的
には肝蛭が潜んでいることはないの」
ず「じゃあどうしてだめなのだ?」
め「屠畜検査は肉眼で行われているため、肝蛭が幼虫の段階にあるものは見つける
ことが難しいからよ」
「しっかりと加熱して食べれば問題はないわ、正しい知識を持っておいしくいた
だきましょうね」
ず「僕は牛のレバーが好きなのだ!!焼肉屋さんにいったらいっつも頼んじゃうの
だ!!」
め「美味しいわよね、私も好きよ」
「あとは羊や鹿などにも肝蛭は寄生するから、それらの肝臓を食べる際はしっか
りと加熱して食べてほしいわ」
ず「シカにも感染するのだ!?」
め「ええ、ある研究では奈良公園内の40頭の鹿の糞便からは87.5%の個体から肝
蛭の卵が検出されたと報告があったわ」
ず「10頭のうち9頭なんてほとんど寄生されているのだ、怖ろしすぎるのだ」
め「ジビエブームもあり、とった鹿のレバ刺しを食べてやる!!なんて話も聞くけ
れど、本当に危険な行為だから気を付けてほしいわ」
「鹿の肝臓を取り出したら中から肝蛭がドゥルンと出てきたという話も聞いたこ
とがあるわ」
ず「そ、そんな危険なことは絶対にやめるのだ!!」
エンディング
め「どうだったかしら、肝蛭について知ることができたかしら?」
ず「もうそこら辺の雑草をサラダで食べるのはやめるのだ、ちゃんと炒めてからた
べるのだ」
「肝蛭がおなかに侵入してくるなんて考えただけで怖ろしいのだ」
め「今回の話を通して少しでも興味を持ってもらえたらうれしいわ」
「今回のお話をするにあたって、参考にさせていただいた書籍やwebサイトにつ
いてはURLを下部リンク集に載せているので是非チェックしてちょうだい」
「また、YouTubeに投稿してある動画もそれなりに本数があるから、チェックし
ていってもらえるとありがたいわ」
ず「文字起こしバージョン、ご覧いただきありがとうございましたなのだ!」
リンク集
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000175/175351/ushi_No7.pdf
↑肝蛭について知ることができます
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kaho/25627_d/fil/Fasciola.pdf
↑肝蛭について知ることができます
https://nara-edu.repo.nii.ac.jp/record/9727/files/NEE12_1-8.pdf
↑奈良の鹿と肝蛭の関係についての資料です。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/13-%E6%84%9F%E6%9F%93%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%90%B8%E8%99%AB-%E5%90%B8%E8%99%AB%E9%A1%9E/%E8%82%9D%E8%9B%AD%E7%97%87
↑MSDマニュアル プロフェッショナル版です
その他情報まとめ
【出演】 ※当然ですがこちらでは概念のみの登場となります
VOICEVOX:四国めたん
VOICEVOX:ずんだもん
【動画内でお借りしているBGM】
サイト名:フリー音楽素材 H/MIX GALLERY
管理者:秋山裕和 様
アドレス:http://www.hmix.net/
サイト名:DOVA-SYNDROME
written by:しゃろう 様
アドレス:https://dova-s.jp/
【動画内でお借りしている効果音】
Otologic 様
効果音ラボ 様
※動画内の画像の一部はご覧の皆様のイメージの補助として使用している場合がございます。 可能な限り考慮して製作しているつもりではありますが、生物などに関する情報を新しく知るきっかけやその助けとなることを目的としていますので、使用している画像に厳密な考証を行っていない場合がございます。あらかじめご了承ください。
※動画内で使用させていただいている画像や音楽は全て引用であり、著作権や肖像権を侵害する目的のものではありません。 お手数ですが、著作権などに関するお問い合わせはこちらのアドレスまでお願いいたします。 tokniimihanaidesu@gmail.com こちらのアドレスでは、その他質問について受け付けておりませんので回答できません。ご了承ください。