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宮古馬に会ってきた

ヤギサミットを宮古島で開催するというので参加申し込みをしたが、現存する日本在来馬8種のひとつ宮古馬がいるはず。どんな馬なのか観光がてら会えたらいいなと思いながら飛行機に乗った。ガイドブックには掲載されていなかった。


まいぱり宮古島熱帯果樹園


1頭目の鉄馬

昼過ぎに空港に到着し、ホテルにチェックインするまでの半日、原付きバイクに乗って手軽に行ける場所はないか物色。
あまり深く考えずに熱帯果樹園へ向かうことにする。どうもこのバイクのエンジンの振動は激しいなとボヤキながら、辿り着く。


植物園に入ると宮古馬のイラストが目に入る。おっ?ここで会えるかも。


描かれているのは宮古馬に違いない


どうやら果樹園のガイドのカートに乗れば宮古馬に会えるらしい。早速申し込み乗車。

カートは運転手が無人なのに動くことができ、実際は後ろを歩く果樹を解説するお兄さんがカートを操作していた。しかしこのスレッドは宮古馬がテーマなので植物については端折ります。気が向いたら植物について書くかも。

花が咲き乱れ、南国のフルーツが実る道を進んでいく。カートが宮古馬の放飼場に到着すると降りるよう促され、餌やりとしてネピアグラスを渡される。

メスたちがやってきた


ネピアグラスを食べる宮古馬

こちら亜熱帯ではネピアグラスが牧草として使われるのだな。

シートーヤ(製糖場)

放飼場の隣にシート―ヤが設置されていた。丸太の端に宮古馬をつなぎ、ぐるぐる回すと中央の歯車が回り、回る円筒の間にサトウキビを入れると甘い汁を搾ることができる仕掛けのようだ。デモンストレーションをすることもあるみたい。

たぶんこんな風に宮古馬や水牛に引かせていたと想像
映画「ウンタマギルー」では人が牽くシーンがあった記憶が


まいぱりのゲストルームに戻ると別のパンフレットが目についた。
「宮古馬放牧場 沖縄県天然記念物・宮古馬とふれあう」
ガイドブックには掲載されていなかったが、滞在中にぜひとも行って来たい。
明日はダイビングを予約しているため一日つぶれてしまい、宮古馬放牧場に行くのは無理そうだ。
行くとしたら3日目の昼にヤギサミットが始まる前の午前中しか時間がない。

宮古馬放牧場


現代の鉄馬2頭目


そして3日目の朝、早起きしたので宿で借りた原付バイクを駆って島内を半周。景色を眺めながら宮古馬放牧場を探す。今度のバイクのエンジンは振動が少なく快適だ。


入口にのぼり

ダイビングをしていたため、昨日は営業時間内に解説の予約の電話ができず。とりあえず現地に行って直接交渉した方が早いと放牧場に辿り着くと優しそうなおじさんが開園の準備をしていた。バイクを停めて宮古馬を見学に来たと伝え、解説をお願いすると快諾してくれた。

献上されたという宮古馬
スタイルがいい


オスはけんかをするので1頭飼いが基本

宮古馬は舎飼いすることはなく、雨や台風の時も放飼したままだという。体が濡れて腹を冷やして疝痛を起こすことは無いかと尋ねたが、宮古馬は大丈夫だと。先日の台風も3日間世話をできず、餌を与えに来ることもできないので、3日後に様子を見にきたら、馬たちは元気で嵐をやり過ごしたという。強い馬だ。


餌がもらえると期待してやってきたメスたち

宮古馬の体高は135cm以下という説明だったが、新しい世代が生まれる度、徐々に体格が大きくなっているという。そのうち135cmより大きい個体ができるのではと心配しておられた。それは定義の問題で宮古馬から生まれたら大きくても宮古馬だと思うのだが。

ネピアグラス




ざっくりと在来馬の飼育分布

富国強兵には在来馬は小さく、農耕や軍馬としては効率が悪いため体格の大きい外国産の馬にとってかわられ、在来の牡馬は全て去勢が義務付けられたという。

日本在来馬は現在8種類が残されている。木曽馬は去勢をしなかった農家があったため、戦後そのオスからメスと交配して復活し、現在は140頭ほど。
宮古馬は島民自ら去勢に反対したという。7頭からの復活で、現在対州馬の次に数が少なく保存会の努力により現在頭数は46頭だという。

毛色は鹿毛と栗毛。過去は粕毛という体が灰色っぽく見える人気の色があったが、頭数の減少とともに現在は見られないという。

在来馬は歴史に翻弄されて絶滅の危機にもあっているが、馬と共に暮らした日本の歴史を伝える証人であり、日本の風土にあった家畜だ。後世に残すために応援していきたい。




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