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オランダで手術

こんにちは、オランダ在住10年目のhanaです。オランダはここ数日で気温がぐっと下がり、朝は10度以下になる日も出てきました。さて、5年前に起きた長女のアクシデントについて書いていた前回の続きです。


一般病棟へ

それからしばらくして、集中治療室から一般病棟へ移ることになった。病棟の名前は papegaai (オウム) だったのをよく覚えている。病室を移ってから夫と次女がやってきた。それから交代で長女に付きっ切りになる日々が続いた。次女は事故から3日後に誕生日だったが、お祝いをしてあげられる余裕がなかった。この時、まだ2歳で長時間一緒に病室に居られない次女を沢山の友人に順番にお願いして見てもらったのだけど、(今でも本当に感謝していて、みんな日々の生活でも忙しかったはずなのに快く力を貸してくれた。ありがとう) なんとその友人達が次女の誕生日まで祝ってくれたのだった。peuterspeelzaal (幼稚園) にもシッターさんにお願いして送り迎えしてもらい、事情を知った先生たちも次女のお誕生日を通常通り祝ってくれた。この国に家族がいないという状況をみんなが分かって協力してくれた。

病院にはカフェがあったが、毎日買ってもいられないので、交代で病院へ行くときには沢山おにぎりを握って行った。全ての病室を見た訳ではないが、おそらく全室個室だったと思う。患者用ベッド、そのサイドに付き添いの家族用にベッドになるベンチ椅子、シャワーとトイレがあった。


病院の病室紹介 youtube より
写真の青いベッドが私たちが交代で眠ったベッド

日本にいる私達の両親、長女からすると祖父母もとても心配していた。こういう時離れていると出来ることも少なく連絡を待つしかない日々は歯痒かっただろうと思う。

写真は新緑の季節だが、長女が入院していたのは1月。当たり一面氷の世界で毎日曇り。何日経った頃だったか…長女があまり目を覚まさなくなった。ドクターが明日手術をするかどうかを決める話をすると言っていたのに、その日は一日待ってもなんの音沙汰もなかった。翌日、夫が異変を感じ看護師さんに話をした。その後すぐに頭部の手術をすることになった。

手術の日

ちょうど交代して付き添いは私の番。手術室に入る前、執刀するドクターにどうか娘を助けてください! と渾身の思いで伝える。一緒に手術室へ入り、麻酔をするまで傍にいてあげてくださいと言われ長女の手を握って待った。見たこともない大きい注射針の麻酔。う! と声を上げた後、長女は一瞬で目を閉じた。その後は一人手術室の外で待った。


どれくらい時間が経ったか全く覚えていない。ずっと祈り続けていた気がする。手術室のドアが開き、ドクターが出てきた。無事に終わったと聞いて本当にホッとした。ありがとうとオランダ語で伝えた。

手術のため、娘の頭髪の一部は剃られていた。だけど、赤い包帯と剃った髪、頭部に残る手術跡は未来的パンクキッズの様に私の目に映った。なんかちょっとかっこいいね、そう言って手術の翌日 夫と笑いあった。その後みるみる回復を見せる娘。あの時夫が娘の異変に気づかなかったらどうなっていただろうと ふと寒気がした。



私の母は長女が欲しがっていた玩具の電話 (デジタルで音楽が流れたり写真が撮れたりするもの) を送ってくれて、長女は回復してくるとそれを一生懸命触って遊ぶようになっていった。念願のシャワーの許可も出た。椅子に座らせてゆっくりゆっくり体や髪を洗った。綺麗になって嬉しかった。顔の腫れも徐々にひいてきた。目の周りはまだ黒ずんでいたけど、かつての長女の顔に戻りつつあった。それでもまだ、歩けるようになるのかと心配することは沢山あった。

つづく

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