ぼくとぼくらのCLUBDEEPBLUE
#CLUBDEEPBLUEは21年4月17日に一周年を迎えました。
僕がLycorisさんからオファーをいただき、初めてDEEPBLUEに出演した21年1月29日から早いもので3ヶ月半が経ちました。
個人的には「まだ3ヶ月半?嘘でしょ?」っていうくらい濃厚な時間でした。
1月29日から今回まで8回の開催があり、そのうちの7回に出演させていただいているので、僕の中では完全にホームであり、心から大切な場所といえるイベントです。
感謝と敬意を伝える意味で記事を書きたいと思っていましたが、僕が言いたいことは「ありがとう!」っていうストレートなものではなくて、深い部分と向き合う感じの内容になると思います。それ故にまあまあ失礼なことも書きますが、それも愛故の嘘偽りない気持ちと解釈してもらいたいです。
その前に、まず改まってするには今更感が強いですが、身の上話をさせてください。
恐らく周囲からみた僕は「Lycorisさんが突然どっかから引っ張ってきた謎の人」という立ち位置で、僕が多くを語ってこなかったせいでいつまで経っても謎の人状態なので、こういう事をやってきた人がこんなこと言ってんな~って気持ちで聞いてもらいたいと思います。
僕は日本人ですが、日本のクラブシーンに馴染みきれず結構半端なDJとして15年くらい活動しているまあまあ異色なおじさんです。
日本での活躍の場は少なかったですが、幸いなことにスウェーデン人の愉快なオッサンからサポートを受け、海外からのオファーを中心に活動してきました。
しかし言葉の壁もあり、それもずっとは続かず、ここ近年は僕のDJ人生は行き場を失い、このまま緩やかに飽きられる趣味の一つとして消滅するものだと色濃く感じていました。
これはそんな僕とLycorisさん、そしてDEEPBLUEとの出会いのお話です。
はじまりは僕のTwitchの配信で、Lycorisさんはそのリスナーでした。
そこからはじまりTwitterやVRChatで繋がりをもち、出演オファーをいただいたという流れです。
今思えばLycorisさんは僕のDJに対して何か感じたというよりは、アバターにシグネットちゃんと使っているという共通点から声をかけてくれたのかなと思います。
今だから言いますが、僕は最初Lycorisさんからのオファーに対してめちゃくちゃノリ気じゃありませんでした。
理由は大きく2つあって、1つ目は日本人からのオファーだったこと。
日本のクラブでは基本的に持ち時間は30分になっています。
僕は30分じゃ一つのまとまった表現はできないと思っています。物語で例えると、30分とは起承転結のどれかを捨てる必要があるということです。
この持論に対して「それは実力が足りてないからでしょ」って100万回言われてきましたが、その議論を始めると令和が終わってしまうのでこの場では割愛します。
勘違いの無いように補足しますが、30分のDJを否定しているわけでもバカにしているわけでもないです。起承転結がいらないDJというのも有って、それはそれで立派なDJです。
例えばBtoB(前のDJの曲から次のDJが引き継ぐように曲に繋いで出番を交代すること)なら起承転結の起も結も自分の意思はほとんど介在しませんので、あまり深く考えることはないです。
そんな中、僕は異常なまでに「起」と「結」にこだわる面倒くさい人間というだけです。
2つ目はVRの出演オファーだったこと。
僕はオファーをもらった当時VRChatについてはほぼゼロ知識で、配信自体はすることはあってもVRでクラブイベントの意味がわかっていませんでした。
この2つの理由から、僕は勝手な想像を巡らせて「きっとLycorisさんって人はリアルのクラブが好きすぎる気持ちを拗らせてVRでも似たようなことがやりたい人なんだろうな。」くらいの気持ちで返答をしました。
「一度イベントに客として参加させてください」
こうして1月29日の出演の前に、1月15日のDEEPBLUEにオーディエンスとして参加することになり、その1月15日のDEEPBLUEで僕に転機が訪れました。
当日ワールドに入ってまず感じたのは「なるほどやっぱりこういう感じか」っていう印象で、お世辞にも良いと言えなかったのが素直な気持ちです。
しかもその日は出演がLycorisさん1人で、オーディエンスも10名そこらだったと記憶しています。
音楽が流れ始めるもLycorisさんのPCか回線だかの不調ですぐに切断されてしまって、何とも言えない空気が流れていましたのをよく覚えています。
「開催から12回目のイベントがこのクオリティなのか…」と、正直心が痒くなるような思いで見ていました。
イベント自体は大体2時間弱で、その間にLycorisさんが30分ごとにジャンルを変えつつ音楽を流し、後半で「DEEPBLUEのワールドがリニューアルされるのでお披露目をします」とのアナウンスと共にポータルが開き、今のDEEPBLUEワールドに移動したという流れです。
イベントの流れだけを淡泊に書くと伝わらないかと思いますが、実はこの2時間弱の間に自分の中で心打たれるものがあり、すごく思考を乱されたのは生涯忘れないと思います。
「イベントとしての盛り上がりもイマイチだし、トラブルもあってなんとも言えない空気の中、Lycorisさんは何を考えてDJしているんだろう?」
「これまでの11回の開催もこんな感じだったんだろうか?この状態のイベントを続ける理由は何だろう?何がLycorisさんを動かしているんだろう?」
そんな事を考えながら、僕は最終的に2つの思考にたどり着きます。
「Lycorisさんはこの状態が良いと思っている少し感性のズレた人なのかもしれない。」
もしくは
「良くない状態である事を理解しつつも、諦めずにあがいて成功を掴もうとしている人なのかもしれない。」
その2択まで思考がまとまったところで新しいDEEPBLUEワールドに移動したので、後者の人なんだと確信を持てたという話です。
イベント終了後、Lycorisさんから改めてオファーをいただいた僕は二つ返事で快諾しました。
理由は明快で、純粋にLycorisさんが尊敬できたからです。
暗闇(といったら失礼かもしれないですが)を12回も走り続けるって生半可な気持ちじゃできないですよ。
大抵の人が、最初に大きな夢を抱いて、実際やってみたものの現実はそんなに甘くなくて、すぐにそのギャップ耐えられなくなって辞めてしまいます。
それをこの人(たち)は12回も走ってるわけです。
12回目に至っては演者が自分一人でも2時間弱のイベントを何とかこなそうという気概で挑んでいるわけです。
僕だったら絶対なんだかんだ理由をつけて開催を見送ります。
よほどのクレイジーかよほどの大物にしかできないことです。Lycorisさんに関しては両方なのかもしれないと最近は思っています。
そんなLycorisさんを応援してみたくなったんです。
今思えばこれって本当に奇跡的な出会いだと思っていて、「DEEPBLUEがこの状態で12回も開催されてなかったらオファーを受けなかったかもしれない」「今回ワールドのリニューアルが無かったら…」「出演がLycorisさん1人じゃなかったら…」なんてことを今だに考えることがありますが、正直言うとこのどれか一つでもタイミングがズレていたらオファーを引き受けなかったんじゃないかってくらいノリ気じゃなかったってことです。
それと相まって、前述のように僕自身がくすぶっていた時期だったというのもあります。全てのタイミングが偶然とは説明ができない運命的なものだったと感じています。
幸い僕は1月15日の見学によってDEEPBLUEの問題点が見え、また僕自身がどのような立ち回りをすればイベント自体が良い方向に向くかすぐに理解できました。
しかし僕はクラブのオーナーでもなくイベントのオーガナイザーでもありません。有り余る勝手は許されない立場です。
そこで出演までの間に何度もLycorisさんのいるワールドに訪問して、色々な音楽の話や考え方の話、DEEPBLUEに対する想いなど、可能な限り沢山の話をしました。
それと同じくらい、「僕はこういう事がしたい」ということも伝え、それがDEEPBLUEの方針にも合っていることを確認し、行動を開始します。
その事細かな話は長くなるのでサクッと説明しますが、スウェーデンのおっさんのサポートと、ある声優の力を借りて、ショーに見入ってもらう環境を用意した、という感じです。
そしてもちろん集客も気合を入れました。
VRChat赤ちゃんの僕には友達に声をかけて来てもらう的なやり方は難易度が高かった為、良い感じのフライヤーを作って少しでも注目してもらおうと考えました。
そして生まれたフライヤー第一号がこちらです。ロゴやイメージなど全て勝手に作りました。
僕の経験則としても、フライヤーのクオリティが高いイベントは基本的にハズレが少ないです。今までとガラリとイメージを変えて、これまで興味を持ってもらえなかった層にも少し覗きに来てもらえる工夫をしようとしたわけです。
今考えるとまあまあヤバイやつですよね。自分がオファーした人がめちゃくちゃ絡んできて、しかも勝手にフライヤーとかロゴ作り始めたら僕なら間違いなく10歩くらい引きます。間違いなくヤバイやつです。
しかし僕はLycorisさんもヤバいやつだということを理解していたので、ヤバさを掛け合わせて爆発させるしかないくらいに考えていました。本当にすみません。
そして迎えた1月29日、僕のVRDJデビューはDEEPBLUEで実現しました。
課題はもちろん山のように残りましたが、概ね想像に近い成功を収めることができ、僕は「VRDJめちゃくちゃ楽しいじゃん!」と強く思うようになります。
こうして僕はVRDJとして活動をしていくことを心に決めたわけですが、そのキッカケから成功体験まで全てを味わわせてくれたのがLycorisさんであり、DEEPBLUEであるわけです。
本当に心から感謝しています。
僕は今、DEEPBLUEは一つの転換期を迎えていると思っています。悪い言い方をすれば、新たな壁にぶつかろうとしています。
ここ最近のDEEPBLUEは特に大きな仕掛けを打たずとも、40人上限のインスタンスが容易に埋まるようになりました。満員御礼で嬉しいのは間違いないですが、これってそれだけオーディエンスの期待感が大きくなっていることの現れなんです。
つまり、期待されただけ期待に応えないとオーディエンスは減るし、期待に応えただけでは飽きられてしまうから期待された以上を追い求めて提供し続けなきゃいけない。
言葉には出さずとも、この状況に苦しさを感じている人は少なくないというか、下手したら僕も含めて全員がそうかもしれません。
「苦しい思いをしてまで走り続ける意味はあるのか?」という問いに対して、「ある」と言い切れる人は少ないでしょう。使命や義務に囚われてやることはもはや仕事となんら変わりません。いつかどこかで心のバランスが崩れ、苦しさが大きくなった時点で挑戦できなくなってしまう人もでてくるかもしれません。
僕はそれが本当に悲しいです。僕はみんなの音楽が好きだし、みんなが常に音楽に対する楽しさを見出せていて欲しいと強く願っています。
しかしながら、そのバランスを良くも悪くも壊しているのが自分だということも理解しています。
先ほどの話にでてきたDEEPBLUEの問題点とは「期待感」でした。
「何かが起こるかも」という期待感に人は興味をそそられます。その期待感をわかりやすく与えることで注目を得られ、またその期待に応えることで更なる大きな期待と、横(フレンド)への伝播が起こります。
つまり、DEEPBLUEの急成長の裏側では、急成長に必要なだけの期待感が煽られてきて、その一因を僕が確実に生み出してしまっているということです。
幸いなことに、これまでその期待感に応えられるだけの成長をメンバー全員がしてきて、これ自体は本当に素晴らしいことです。
「自由が利かなくなってきた」とLycorisさんが言うのが本当に的を射ていて、昨晩のDEEPBLUEの後メンバー同士で打ち上げみたいな感じで談笑していた時に「アニソンDJはやりにくい」という話があがりました。
別に批判的な意味ではなく、単純にそう思ったという直感的な発言だったので誰も何も気にしないような他愛のない話でしたが、僕の心には引っ掛かりがありました。
DEEPBLUEは当初のコンセプトからどんなジャンルでもかけていいクラブだったんです。いえ、むしろ今でも禁止などされてないので、アニソンだって自由にかけていいはずです。
つまり、アニソンをかけていい雰囲気ではなくなっている。なぜ?オーディエンスがDEEPBLUEにアニソンを求めていないと感じるから。
これです。
つまりDEEPBLUEのオーナーであるLycorisさんとふぉっくすさん掲げるコンセプトと、それ以外の人がもつDEEPBLUEへの期待感にズレが生まれ始めているということです。
これはLycorisさんのnoteから半引用したものなので、Lycorisさん自身も痛感していることだと思っています。
LycorisさんはDEEPBLUE自体のエンディングについて「いつかの話」として言及していますが、僕にはそれが寂しい気持ちでしかないです。
たしかにエンディングがあって盛大に終わらせるというのはすごく良いアイデアで、僕も正直中年太りしたマリリン・マンソンは見たくなかったです。
でもそれは最高の状態だと思っているときに終わらせることであって、限界を感じて諦めの気持ちでしたくはないという気持ちがすごく強いです。これもきっとLycorisさんは同じ葛藤を持っていると思います。
だから敢えて言葉にさせてください。
僕はもっとDEEPBLUEに大きくなってもらいたいし、僕自身ももっと名の知れたDJとして成功したいし、それを今のDEEPBLUEクルーと一緒に歩んで実現したいです。
仮に廃れてきたとしても、少しでも衰退を遅らせられるように泥臭くあがいてもいいじゃないですか。少なくともLycorisさんはそうやって今のDEEPBLUEを作ってきたはずです。
苦しいと思う人がいても、支えあってみんなで実現したいです。それを「苦しかったけどやってよかった!楽しかった!」と言ってもらえるように可能な限り努力と貢献がしたいです。
今これが僕にとって最大の願いであり、「叶ったらいいな」ではなく、「実現していくこと」だと強く思っています。
Lycorisさん。遠慮や悩みを一人で抱えることないよ。みんなすごくDEEPBLUEの事を大切に想っていて、みんなはみんなで真剣に考えていると思うよ。
少なくとも僕は「オーナーが決めた事だからそれに従うしかないよね。」なんて割り切った考えはできないよ。頼まれてないことでもそれが成長につながる事だと思ったらなら何でもやってしまうヤバイやつだからね僕は。
一緒に考えて悩んで挑戦して、行けるところまで行こうよ!それが出来るチームだよDEEPBLUEは!
少なくともLycorisさんが病んで倒れて走れなくなるその時まで一緒に走り続けるよ!
メンバー以外の人からしたらどゆこと???って感じかもしれませんが、DEEPBLUEはこんな熱い気持ちで2年目も突き進みますって解釈してもらえたらと思います。
これからもよろしくお願いします!
PONYO 21.04.19
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