
僕とロックンロール2
およそ1カ月の月日をドブ川に投げ打ち完成した前回のゴミ記事を脱稿した僕にやって来た感情は「次にnoteを書くのは100年後だなぁ」ではなく、意外にも「早く続きを書かないとあかんなぁ(使命感)」でした。
「鉄は熱いうちに打て」とも言いますし、「鉄板リーチは熱いと思わない(期待しすぎない)ほうが良い」とも言いますし、「よそ見してた方が当たる」や挙句の果てには「開幕5,000円札投入すると遊技台の機嫌を損ねる可能性があるので初手から万券を投入し台に誠意を見せよ」などという伝承が禁断の地の古代遺跡の壁画に遺されていたと村のオババ様から聞かされておりますので、僕の情熱の欠片が少しでも残留思念としてパソコンのキーボードに宿っている内に下書きを書き進めておこうと思った次第であります。
前回は『少年期』と題して主に僕が13歳~20歳までの華々しい童貞時代に出会ったロックンロールバンドを紹介させて頂きました。今回は一応『青年期(前半)』として、18歳以降のエピソードをまとめていこうとは思っておりますが、書いているうちに時系列も内容もグチャグチャになってどうせまたゴールデンアイだの黄金銃だのモーションセンサー爆弾だの化学工場だのオッドジョップは背が低いからずるいだの市民の左から2番目はハゲだの言い出す事が容易に想像できますが、それもまた青春の1ページであると、それも含めてロックンロールであると、そういう事でご容赦ください。

■ザ・ハイロウズ
時は遡り、高校1年生の夏休み。7月19日にファイナルファンタジーⅩが発売し、僕少年は登校日である8月1日だか2日になる頃には既にラスボスを撃破し友人たちに「FFⅩ?もうクリアしたけどね(ドヤァ)」と己の夏休み前半戦の予定がファイナルファンタジーⅩの攻略以外に何も無かったと自白しているような自尊心の欠片も無い演説行為をしておりましたが、当時はそれはそれである程度の会話ギミックにもなっていたりして少なくとも僕少年の周りの世界は本当に平和だったんだなとも思いましたし、難しい事は何も考えないで生きていたんだな、とも思いました。
ヒロインのユウナみたいな女の子と出会いたい、そしてあわよくばセックスしたい。とは1ミリも考えておらず、それはゲームと現実の区別を付ける回路が脳に備わっていたからではなく、むしろ僕少年はリュック派を公言しており、付き合うならリュックみたいな子が良いと思っていましたし、FFⅦではユフィ、FFⅧではセルフィを永遠に推し続けていた実績がありました。しかし現実にリュックやユフィ、セルフィのような子が居るはずもなく、100億万歩譲って仮に居たとしてもセックスは出来ないだろうと考えており、さすがに身の程をわきまえていました。ゲームと現実の区別は、付いておりませんでした。
そんな夏休み中のある日。僕少年を含む男女4名でカラオケへ行く事になりました。男性陣は僕少年+クラスメイトのモブキャラ男子という、ふたり合わせてもスクールカースト上位のイケメン1名のレアリティ以下にしかならない何の魅力もセールスポイントも無いツーマンセル。対して女性陣はリュックやユフィとは程遠い女子2名(失礼すぎる)でしたが、かと言って静かでおしとやかなタイプではなく、方向性としてはリュックやユフィに近いような雰囲気があったような気がしなくもない、いや、あったのではないか?と暗示をかければもしかしてそうだったのか?と思えるぐらいの曖昧な記憶しか持ち合わせておらず申し訳ございません。
カラオケルームに入室し程なくして僕少年が『金太の大冒険』を歌唱し終え自ら地獄のような空気感を醸造し「早く帰ってFFⅩやりてぇな~」等と思案していた時、おもむろに愛子ちゃん(実名)がマイクを持ち、知らない曲のイントロが流れ始めました。それはザ・ハイロウズの『ミサイルマン』という曲でした。
自殺するのが流行りなら 長生きするのも流行り
わがままを通す男 ミサイルマンが目を覚ます
このフレーズとイントロのメロディーが頭から離れず、さっきまで早く帰宅して雷平原で雷避けを200回実行し火星の聖印を入手する事しか考えていなかった空き容量たっぷりの僕の脳みそは、曲が進行するに連れミサイルマンの事だけで埋め尽くされていきました。愛子ちゃん(実名)の歌唱が終了し、我々がカラオケルームに滞在できる制限時間を全うし従業員から退去を宣言されるまで僕少年は何故かもう一度『金太の大冒険』を歌いましたが、僕の脳内はミサイルマンでしたので何の問題もありませんでした。
男女4名の混成パーティーだったのにも関わらず何のロマンスも無いまま帰宅し、それは自分が『金太の大冒険』しか歌っていない事に起因するのではないか?という考察結果に辿り着きましたがそんな事は最早どうでも良く、速やかに帰宅しエロ動画ばかり収集する役割を与えられし機械(パソコン)の前に着席した僕少年はヤフーの検索窓に『ハイロウズ全角スペースミサイルマン』と音速を超える速度でタイピングをし、そのあまりの速さにキーボードのキーが爆散し某がただの板状のゴミと化した頃、『ミサイルマン』が収録されているアルバムはザ・ハイロウズのバンド名と同名のアルバム『ザ・ハイロウズ』である事、そしてザ・ハイロウズはザ・ブルーハーツのヒロトとマーシーが現在進行形で活動しているバンドである事を知り椅子から転げ落ち、僕少年はスペランカーなのでその衝撃で死にました。

僕少年の住んでいた糞田舎町内にはCD屋さんが無い(コンビニ屋も1件しか無かった)事は前回の記事でも触れましたので、前回の記事をまだ読んでいない方は即座にブラウザバックし5万回ほど読み直して頂き、その勢いのままあなたが所持している全てのSNSアカウントで当noteの拡散行為をし、ご家族やご友人の皆さんにも「このnoteを読んだおかげで彼女が出来ました」「年収も1億円を突破しました」「50kg瘦せました」「地球に飛来する謎の小惑星を破壊する事が出来ました」「うんこ」など各々の成功体験をベースに布教活動に勤しんで頂きたいと思います。
僕少年はおよそ時速150kmでママチャリを漕ぎまくり約1時間かけて最寄りの中古CDショップ『マンボウ』へ赴き『ザ・ハイロウズ』を購入し、またも爆速でバーサーカー(チャリに付けてた名前)を漕ぎペダルが燃え尽きた頃合いでちょうど自宅に帰還しボロいラジカセにCDをぶち込み再生ボタンを押下した瞬間、1曲目『グッドバイ』のイントロ、マーシーのギターリフが大轟音で鳴り響き、僕少年の6畳の部屋は炎を上げながら大爆発し、その衝撃で頭髪はアフロヘアになり、レゲエを歌う為にジャマイカへ飛ぶしかありませんでした。
ザ・ハイロウズを語る上でも「ハイロウズで好きな曲ベスト5、なんじゃらほい」はよく議題に挙がりますが、「5曲じゃ足りない」「やはり10曲にしないか?」「というかヒロト作、マーシー作で10曲ずつにしないか…?」というザ・ブルーハーツを語る上で起きる現象と全く同じ打開策を探り合う羽目になります。あと先に自白しておくと、またもや『控え』とかいう概念を活用し10曲以上選曲しておりますのでご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
■ザ・ハイロウズで好きな曲【甲本ヒロト編】
・ミサイルマン
・不死身のエレキマン
・千年メダル
・二匹のマシンガン
・ハスキー(欲望という名の戦車)
・迷路
・日曜日よりの使者
・ズートロ
・サンダーロード
(控え)
・ゲロ
・十四才
・フルコート
■ザ・ハイロウズで好きな曲【真島昌利編】
・スーパーソニックジェットボーイ
・俺軍、暁の出撃
・真夜中レーザーガン
・モンシロチョウ
・青春
・いかすぜOK
・夏なんだな
・砂鉄
・荒野はるかに
・64,928-キャサディ・キャサディ-
(控え)
・ママミルク
・ガタガタゴー
・風の王
世紀の大名曲『胸がドキドキ』はヒロト、マーシーの合作につき選考外になっておりますが、「宇宙の果てに旗を立てたとしても 宇宙の謎はわからないまま」という歌詞は両氏の楽曲群の中でも屈指の泣きワードだと思いますし、ふたりの歌詞に込めた想いはわかりませんが、僕少年は「信じられるのは自分の興奮だけなのだな」と背中を押してもらった気持ちになりました。
僕少年が初めてザ・ハイロウズを観た日、つまりザ・ブルーハーツに出会った日からずっと憧れ続けたヒロトとマーシーをついに目撃する事になった日は19歳の冬の日でした。名古屋公会堂の広大な客席から見たヒロトはマッチ棒のように細長く、しかしながらステージ照明に照らされ壁に映し出された大きな影はまるで怪獣のようでした。マーシーは吹き荒れる台風のように僕少年を何度も何度も撃ち抜いたあのギターを名古屋公会堂がぶち壊れるのではないかと思うほどの爆音でかき鳴らし、この日の最後に演奏された『真夜中レーザーガン』は一生忘れられない思い出の曲となりました。

そして「これから一生ザ・ハイロウズを聴いて生きていこう」と心に決めた日から数カ月後、ザ・ハイロウズは活動休止を宣言します。今まで味わった事のないような喪失感に襲われましたが、僕少年を救ってくれたのはやはりヒロトとマーシーが新たに結成したバンド、ザ・クロマニヨンズの『タリホー』という曲でした。時系列の関係で後ほど深掘りしたいと思います。
■ラモーンズ
この記事の冒頭で「今回は18歳以降のエピソードをまとめていこうと思っていますよ」とちんこを出しながら宣言しましたが(ちんこを出していた事は読者の皆さんにはわからない事ですが)、正直に白状しますと、まだもう少しだけ高校生時代のエピソードの在庫が残っております。そしてこれは予感であり予言であり先読み演出でもあり恐らくですが、今回の記事も『少年期』のみで文字数が1万字を超え小生の執筆エネルギーが尽きてしまうような気がしております。しかしながらロックンロールの前にはどんな予定調和も無力であるという事にし、ロックンロールに全ての罪を擦り付けながら引き続きちんこを出した状態で駄文を連ねていこうと思います。
さて、ロックンロールとは増幅の歴史とはよく言ったものですが、昔のバンドの音源を聴いた時に誰しもが頭の中を過るであろう「あれ?なんか想像してたよりショボくね……?」という、俄かに信じがたい、自分のセンスを疑ってしまうような、何故なら今漏れが聴いているのは、あの伝説の、レジェンドの、もはやロックンロールのアイコンでとも呼べる、歴史的なバンドだぞ!??と己に問いかけるが、やはりスピーカーから発生しているおよそ5~60年前の演奏はやはり高揚感に欠ける…。などという感覚は確かに存在しましたし、僕少年にもそんな経験はありました。
僕少年は最寄り(チャリで1時間かかったけどね)のTSUTAYAさんのCDレンタルをよく活用しており、当時は1枚200円ぐらいで1週間ほどレンタルする事が出来たのですが、時期によっては10枚借りると1,000円になるという大変お得なキャンペーンを実施しており、とにかく沢山のロックンロールのCDやゲームのサウンドトラックを借りてはMDにダビングし通学のお供にする事により通学時間が退屈で死んでしまうという凄惨な死因で墓石の下で眠る事になる訳はあるまいと思っていた為、CDをレンタルする際は聴きたいCDを必ず10枚まで探してキャンペーンの恩恵を最大限享受するのがお決まりのパターンでした。
そんな生活も繰り返していると段々聴きたいCDを10枚探すという行為が面倒くさくなり、お目当てのCDを3~4枚選んだ後は「とりあえず世間で名盤とされている作品は聴いておこうかな」ぐらいのノリで試聴もせず残りの6~7枠を『世間で名盤とされている作品』で埋めるようになりました。さて、どれほどカッコいいのだろうか?とワクワクしながら『世間で名盤とされている作品』を自慢のボロいラジカセにぶち込み満を持して僕少年の部屋に響き渡る70年代のサウンド。それを聴き僕少年に訪れる「あれ?なんか想像してたよりショボくね……?」という信じがたい感情。ザ・ハイロウズやハイスタと言った現代のバンドばかり聴いていた僕少年にとっては音圧や演奏スピードなど、何か少し物足りなさを感じさせるものばかりで、自分の感性を疑い、シコって不貞寝するしかありませんでした。
それもそのはず、現代で活動しているザ・ハイロウズやハイスタは、彼らが憧れた音楽、60年代や70年代、延いてはそれ以前の時代のサウンドを最大限に過剰に表現し、増幅し、出力していたのでした。つまり、僕が海苔、味玉、チャーシュー爆盛り、油ギットギトの家系ラーメンを喰らい、「うまいっ!大将、このラーメン最高ですよ!!!」と涙を流しながら大将に感動を告げると「ありがとな少年。実は、俺がこのラーメン屋を始めようと思ったキッカケの一杯は、糞まみれ味噌うんこ亭という店舗のラーメンなんだ」「え!!そうなんスか!!!僕、その糞まみれ味噌うんこ亭のラーメンも食べてみたいです!大将のルーツ、知りたいです!!!」となり、糞まみれ味噌うんこ亭へ行き大将が影響を受けたというラーメンを発注したが出てきたのは海苔も味玉も爆盛りチャーシューも無い、油ひとつ浮いていないただの中華そばであった。僕少年は「これで満足できるはずがない。僕が摂取したいのはあの海苔、味玉、チャーシュー爆盛り、うんこ爆盛りの油ギットギトのラーメンなのだから…」という一言を残し、大陸へ渡り、戦国の時代に身を投じ、油ギットギトのラーメンを喰いながらロックンロール功夫の継承者として老師に秘伝の技を教わり、しかしながら誰ひとりとして弟子を採る事も無く、油ギットギトの山奥の寺院で静かにその生涯を終えたという。
つまり、ロックンロールはルーツを辿れば辿るほどシンプルになっていくのですが、それはあくまでもレコーディング技術や機材の差に過ぎず、いつの時代でも、どんなジャンルでも、ロックンロール的爆発を感じずにはいられない作品は存在するんやで、という事を教えてくれたアルバムが、ラモーンズの『ロコ・ライブ』というライブ盤でした。

ラモーンズは『Blitzkrieg Bop』『Sheena Is a Punk Rocker』『Gimme Gimme Shock Treatment』『Rockaway Beach』『Do You Remember Rock 'n' Roll Radio?』など好きな曲もたくさんありましたが、ある日ブックオフで偶然手に取ったこのアルバムを見て「お、ラモーンズじゃん。見た事ないジャケットだけど、ライブ盤だし、買ってみるか」とザ・ブルーハーツの影響でライブ盤という存在に絶対の信頼を寄せていた僕少年が割と適当なテンション感で購入したのがこの作品なのでした(ザ・ブルーハーツのライブ盤は演奏が速く、スタジオ盤とはまた違ったカッコ良さがあって最高なのであった)。
自宅に帰還し粗大ゴミ寸前のボロラジカセにCDをぶち込み再生ボタンを押下した瞬間、スタジオ盤よりもむちゃくちゃ速い、ヤケクソ同然の爆速ラモーンズ・ナンバーが僕少年の部屋を70年代のライブハウスに変え、そのあまりの衝撃に僕少年はひとりでモッシュ→ダイブ行為を繰り返し、バリカンで頭髪をモヒカン刈りにし、革ジャンを買うお金は無かった為、黒のポリ袋を着てパンクスを気取るしかありませんでした。
正確にはこの『ロコ・ライブ』は90年代のライブを録音したもので、ラモーンズとしては後期の作品に当たりますし、この時のラモーンズはもう既にオリジナルメンバーではありません。しかし、今この記事を書くにあたって久しぶりに聴き直しておりますが、笑ってしまうぐらい最高です。僕少年がパンクロックに心を奪われた大きな要因のひとつとして「もしかしたら、これなら僕でも演奏できるかもしれない」と思わせてくれるような、難しい技術を必要としない、それはまるで小学生の頃、掃除の時間にホウキをギター代わりにして遊んでいたあの時のような、「できる、できないではなく、やらずにはいられない」という衝動とロマンを感じずにはいられなかった為だと思っています。
そして僕少年は黒のポリ袋を着てパンクスを気取ったまま、ラモーンズをきっかけにパンクロックに傾倒していきました。ザ・フーのピート・タウンゼントがギターアンプを破壊しステージが大爆発して演奏が終了する『My Generation』に熱狂しないわけがありませんでしたし、1977年のザ・クラッシュ『White Riot』のミュージック・ビデオを観れば首に青筋を立てアヘ顔になり発狂し、他にもザ・ジャム、セックス・ピストルズ、ダムド、ドクター・フィールグッド、ストラングラーズ、ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ、バイブレーターズ、挙げればキリがありませんが、ラモーンズが開けてくれたドアの先で待っていたのは、素晴らしいパンクロックの渾沌と混乱と狂熱でした。
この時代から更に歴史を遡り、60年代のマージ―ビート、リバプールサウンド、ブルースにハマり散らかしていくのはもう少し先のお話ですので、ここは時系列の顔を立て、後ほど深掘りしたいと思います。
■the pillows
件のTSUTAYAさん(豊川店)では、時折DVDレンタルが1枚100円になるイベントが開催されていました。通常料金はDVDを1枚借りる為に250円だか300円の貨幣を支払う必要がある所をTSUTAYAさんは「今日は1枚100円でええで」と大盤振る舞いをキメ込んでくれたとなれば、当時のバイト代は月平均2~3万円ほどしかなかった貧乏学生の僕少年は、昼飯はそこら辺の雑草や木の実を喰うなどして節約し、中古のゲームやCDや漫画、そしてTSUTAYAさんのレンタル代を捻出し、労働の対価の多くをロックンロールに充てていました。
いつものようにバーサーカー(自転車)に跨り、およそ1時間のサイクリングの果てにTSUTAYAさんへ向かう僕少年。その日もDVDレンタル1枚100円dayを催しており、「CDも借りるし、せっかくだからエロDVDも借りて帰るか!」などと言いながら勇ましい表情で18禁の暖簾を潜る僕少年。18禁コーナー内では命を賭けてDVDを吟味する剣闘士たちがひしめき合うコロッセオのような雰囲気を醸し出しておりましたが、狭い通路をすれ違う際はお互いの進行方向と探索行為の邪魔にならないよう配慮する紳士の一面もあり、紀元前から現代に至るまで、世界中の18禁コーナー内ではこのような景色が変わらず繰り返されてきたのだろうと悠久の時に想いを馳せながらJKモノを吟味するなどしていました。
18禁コーナーは潜入する時より脱出する時の方が緊張が走る、とは僕の自論で、潜入した際に18禁コーナー内で知り合いと遭遇した場合は「なんだ、お前もかよ」みたいな表情を作りお互いヘラヘラすれば多くの場合は事なきを得ますが、18禁コーナーから脱出したその瞬間に顔見知りの女子と遭遇しようものなら、暖簾を潜ってシャバに出てきた僕をまるで犯罪者でも見るような目で見てくるので、むしろ逆にこちらが興奮してしまうリスクがあります。よって、18禁コーナーに潜入、脱出をする際は「ひそかに、そして大胆に」とパーフェクトダークのキャッチコピーを暗唱しながら潜入、脱出を繰り返すのが僕少年が諜報員として生きていこうと思ったキッカケとなった出来事なのでした。
ジョアンナ・ダークみたいな全身タイツを着て18禁コーナーから脱出する僕少年。顔見知りの女子と遭遇するイベントが発生しようものならトランキライザを打ち込んで危機回避しようなどと考えていましたがそんな事もなく、ひと安心しながら18禁コーナーからレジへ向かう際に通りかかるアニメコーナーを横目で見ながら歩を進めていると、『フリクリ』と書かれたポップなジャケットのアニメ作品が目に飛び込んで来ました。

聡明な僕少年はまずそのキャラクターデザインが『エヴァンゲリオン』と同じ貞本義行氏によるものだな、という事に気が付き、「エヴァンゲリオンと同じ人がキャラデザをしているという事は、名作に違いない。しかもベースギターを持っている。かっこいい。借りよう」となり、フリクリのバックグラウンドも作品概要も何も知らぬままエロDVDと一緒にレンタル行為を実行し、自宅に帰還するやいなやPS2にフリクリのDVDをぶち込み丸ボタンを押下した瞬間、そのスタイリッシュな映像とクールな台詞回し、意味がわからないまま爆走していくストーリーと底抜けのカッコ良さが詰まったハル子というキャラクター、そしてここぞいう場面で流れる稲妻のような、はたまた嵐のような劇中歌の数々。そのあまりの衝撃に影響を受けた僕少年は頭髪をピンク色に染め、ベースギターを担ぎながらベスパは持っていなかったので友人から譲り受けたビーノに乗り街中を暴走し、コンビニの駐車場でアクセルをふかし過ぎて駐車場の壁面に激突し友人から譲り受けた初日にビーノのミラーはへし折れました(ここだけ実話)。
劇中歌はthe pillows(ザ・ピロウズ)というバンドが提供しているという事を知り、一刻も早くthe pillowsのアルバムが欲しかった僕少年はブックオフの店員さんの気を探りヤードラット星人から教えてもらい会得した瞬間移動を行使しブックオフへ飛び、the pillowsのCDが分類されているであろう棚を探しながら「ザ・ピロウズだからヒの棚に分類されていると思うが、こういう時は念の為サの棚も確認するのだ」「抜け目のない男よのう」などと一人二役の茶番を演じていると、そこに1枚だけ、まるで僕少年が手に取るのを待っていたかのように残っていたCDこそが、『HAPPY BIVOUAC』でした。

その音圧にも衝撃を受けましたが、『RUSH』『Crazy Sunshine』『Kim deal』といった名曲の数々に加え、『Funny Bunny』を聴いた瞬間はあまりにも鳥肌が止まらなくなった為、僕少年はそのまま鳥(スーパードンキーコングに出てくるダチョウ『エクスプレッソ』)になり、背中にゴリラを乗せて奇声を上げながらジャングルを走り回るしかありませんでした。
偶然手にしたこのアルバムがこんなに名曲揃いなら他のアルバムも聴かないわけにはいかず、むしろ聴きたい衝動を抑える事が出来る訳もなく、東三河内のCDショップを余すところなく(チャリで)行脚し、過去のアルバムをかき集め、過去の名曲の数々との出会いにまるでビートルズを後追いしているかのような感覚を覚えました。
特に好きなアルバム『HAPPY BIVOUAC』は勿論の事、『MY FOOT』『PIED PIPER』はディスクが擦り切れケースもバキバキに割れ歌詞カードも紛失してしまうほど聴き込んだ作品ですが、それは僕の物品に対する保管意識が低いだけなのでは?という話でもありつつ、ようやく追い付いた最新アルバム『OOPARTS』以降はリアルタイムでその活動を追跡する事が出来るようになりました。
今夜もロックンロールの 引力は万能で
道なき道を 切り開いて行くんだ
馬鹿げたメッセージ
撒き散らすから受け取ってくれよ
終わらない日々を過ごした それが全て
さわおさん、あなたが撒き散らしたその馬鹿げたメッセージとやらは、東三河のくそ田舎に住んでいる勉強も運動もできない何の取り柄もないボンクラ少年の元にしっかりと届きました。しかしそれは馬鹿げている訳でもくだらない訳でもなく、僕の人生の悶々とした暗闇を打ち砕いてくれた、素晴らしいロックンロールでした。
■そして(次回こそ)青年期へ
さて、今回は就職してからの所謂『青年期(前半)』について書いていこうと鼻息荒く意気込んでおりましたが、例によって例の如く今回も『少年期』のみで1万字を超越してしまったので、一旦自らパソコンとキーボードを破壊し物理的に執筆不能状態に陥る事にしました。
さすがに記事公開する前に多少の誤字や脱字の確認は行うのです(それでもバカなので誤字脱字は無くなりません)が、今回は記事の半分ぐらいはロックンロールとは一切関係ない事を書いているという事実には気が付かないフリをし、そんな事は見なかった事にして、このまま記事公開に踏み切りたいと思うその心は、ロックンロールに魂を奪われし者の目玉は前しか向けないのだから仕方がない。という論調です。
あと全然そんなつもりはなかったのですが、偶然にも月1で記事を投稿する流れがこれで3カ月継続しているので、P僕の確変継続率が75%ほどあるならば、次回はまた3月末日に、といった塩梅でしょうか。
しかし継続率なんて75%だろうが82%だろうが終わる時は終わるもんなぁ。むしろ65%ぐらいのほうが謎に連荘する気がします。