【ネタバレ有】凪のあすから感想

6年前に録っていた凪のあすから、事前の期待値も1話の世界観設定もすばらしくて気に入っていたはずなのだけれど、
冒頭2~3話で遅れだし気づけば2クール…追いかけようとする間にグラスリップがはじまり、その後も機会に恵まれず見ていませんでした。
緊急事態宣言で静かになった街と感染流行前に訪れた三陸沿いの港町が、凪の描写と相俟っていい時に見ることができたなと思います。
今回は他の方の考察とか感想とか、コメンタリーとかあえて参考にせずに感じたままを書いたので、抜けとかかんちがいたくさんあるし、断片的です。あとあと直すかも。ご容赦ください。

まなかと光の恋が中心にありながらも、5人くらいの想いとストーリーに満遍なくスポットライトが当たる、P.A.WORKSらしい作品。

2013年10月から2014年4月までの放送ですから、東日本大震災から2年半くらい。難しいテーマだったのではと想像します。

あらすじ

海の中の村・汐鹿生(しおししお)にはエナという皮膚によって呼吸ができる海の人が暮らしており、陸には漁村・鴛大師に陸の人が住んでいる。

伝説ではかつて人は皆海の中で暮らしていたが、エナを脱いで地上に上がったのだという。やがて地上には災いが起き、地上の人は海神様の怒りを鎮めるため、少女を生贄として海に流した。

海神様と少女・おじょしさまは海で夫婦となったが、少女には地上に好きな男がいた。少女は陸に帰るが、引き換えにエナと大切なものを失った。愛する男は少女を探して海に飛び込んで亡くなっており、少女を知るものは誰もいなかった。

おじょしさまを人形に替え、海に流す神事「おふねひき」は長年続けられてきた。徐々に規模は縮小し、人々が海から遠ざかったことにより、少しずつ海や地上に異常が起こっていく。
海の人である光・まなか・ちさき・要は、陸の少年・紡やクラスメイト達と鴛大師の漁師を巻き込んで盛大なおふねひきを計画。
光の姉・あかりの海陸の村ををまたいだ結婚式を同時に行い海神の怒りを鎮めようとするも、海神と思われる渦がおじょしさまに見立てたあかりを海に引き込もうとする。これから母になる彼女を助けたまなかは、代わりに海の底へと引き込まれる。
まなかとあかりを助けようとした光や、海に落ちた紡を助けた要も海に沈んだ。
海村は眠りにつき、外部から入れないようになって、海は凪いだ。

それから5年、異常気象により寒冷化が進み、漁村はいつもぬくみ雪に包まれていた。ひとり残されたちさきは紡の家で暮らしていた。
あかりの夫の連れ子、美海は5年前の光たちと同じ中学生になり、かつて光に助けられたことをきっかけに思いを寄せ、彼が眠る海をいつも見てきた。
ぬくみ雪の効果で月が3つに見える巴日の日、光は5年前と同じ姿・記憶で帰り、要・まなかも帰ってくる。
ちさきは自分だけが変わってしまったことに罪悪感と拒絶感を覚えながら彼らと再び関わっていく。
おじょしさまの代わりであったまなかは人を好きになる感情を失っており、彼女を失った海によって世界の滅びは近づこうとしていた。
感情を取り戻し、滅びを解決するため、再びおふねひきが行われる。


所感①ちさきと「変わらないでいい」「変わっていい」の話

・「変わりたくない」「みんなといっしょにいたい」と繰り返すちさき。
・ひかりがまなかを好きでありながらまなかの気持ちを一番に考える姿に
「ひかりの気持ちまでなしにしなくていい。変わらないでいい」「やさしくなりたい」
・「変わらなきゃ」というちさきに紡「今のあんた、嫌いじゃない」

好きな人のために自分の気持ちを曲げようとする好きな人に「変わらないでいい」(自分は変わろうとする)という図はよく出てくる気がするので
テーマのひとつかもしれない。

○変わらないでいい
・ちさき→光「ひかりの気持ちまでなしにしなくていい。変わらないでいい」
・紡→ちさき「今のあんた、嫌いじゃない」
・美海→海神様「おじょしさまの気持ちを伝えたい(地上に返したり好きと言う気持ち消したりしなくていい)」

○変わっていい
・光→まなか「いつまでもおれのうしろをついてくればいいんだ」→「応援したい」
・光→あかり「陸の男とかありえない」→「あきらめていいのか」
・海神様→おじょしさま「愛するゆえに地上の思い人がいると知り、地上に返してやりたい」


所感②エナ=羊膜と同じ組織=「変わらないでいい」

・光は「エナみたいにまなかを守りたい、けれどまなかは脱ぎ捨てていく」
・エナを失ったまなか=まなかは変化の象徴


所感③好きという感情の肯定


紡「好きは海と似ている」
美海「私のために泣いてくれる人を好きになってよかった」


所感④震災

津波:人が海にのまれ海が凪ぐ
= おじょしさまの昔話は人が津波を受け入れるための物語
= 前半おふねひきで海神が建設途中のコンクリート柱を折る描写
= 海へと消えていった仲間は海村の眠りについただけで、地上の人の世が終わった後に目覚める
= 救いのある物語

だからちさきは心変わりや幸せになることに過剰に罪悪感と抵抗を感じている。
正直行き過ぎた罪悪感に違和感を感じていたが、
幼馴染3人全員が行方不明で、両親とはおふねひきの朝に「いってきます」と別れを告げたきり。いつ目覚めるかも分からない今生の別れ。
幼馴染が帰ってきた後も2回目のおふねひきではおじょしさまになろうと意識して要に止められている。
「ずっとみんな一緒だったの 私だけ地上でずっと」

美海が凪いだ海を見ている、という描写。

その他


・美海があかりを初めて「お母さん」と呼ぶのはおふねひきが終わり生死不明で海漂ってるときだった気がする。
・美海というキャラクターの意図をよく把握できていない気がする

・背景きれい 最高

・汐鹿生のファンタジー描写良い…行きたい

・後半の冬景色とebb and flowの電子音でtrue tears思い出してなける

・最終話ラストシーンで波中の制服だったのは概念ゆえかな…海が戻ったのでおっさんたちに剥がされた光の制服は海にあるだろうけど。前半後半で制服が変わるの結構大事な縛りな気がしたし…いずれにせよ解き放たれた表現ということかな

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