あねもねによるおすすめ小説紹介【国士舘アニ研ブログ】
どもども、あねもねです。
しばらく漫画紹介をサボっていますので、代わりとして小説紹介をさせていただきます。
「読書を初めてみるかぁ」と考えている方は、ひとつ参考にしてみてください。
決してマイナーな作品を紹介出来るわけではありません、なんなら有名どころばかりです。
まぁこれから本を読もうという人にもその方が取っ付きやすいでしょうしね。
今回はとくに有名どころの作品から4冊紹介します。
1.『こころ』夏目漱石
こちらはもう、日本人として読んでおいた方がいいまであります。高校の現代文で多くの方が読んだことがある作品ですが、それ故にもう一度しっかりと読破して頂きたいです。先生と奥さん、Kの3人によるなんとも言い難い人間関係。
居心地の悪い中で食べるご飯を「鉛のような飯」と言う表現力。1人の女性を取り合う男2人の微妙な距離感。
内容に硬い文章が相まってそこそこ重厚感がありますが、読書の第1歩としてはこれ以上最適なものは無いかと思います。そしてこ他の文豪たちの作品に手を伸ばすきっかけにもなるでしょう。
読みやすい文学作品で言えば芥川龍之介もオススメです。ものによっては昔の日本語特有の読みにくい文章のものもありますが、内容自体がわかりやすいのでオススメです。
2.『ぼぎわんが、来る』澤村伊智
ホラー小説が読みたい方、特にオカルトホラーが好きという方におすすめなのがこちらの作品。名前だけ聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
澤村伊智さんの比嘉姉妹シリーズの1作目でもあり、澤村さんを代表する1冊です。
家族内の出来事を夫婦2人のそれぞれの視点から描くことで、登場人物のすれ違いや、それによって見えてくるものもあります。このような本文構成に加え、判明していく事実や加速していく展開が、読者を飲み込んで来ます。
オカルトホラー小説と言えば『リング』が有名ですが、直接的に怪異とことを構えるような作品が好きな方は今回紹介した作品をおすすめします。
(澤村さん自身が『リング』を含む多くのホラー作品から影響を受けて執筆した旨を語っているので、『リング』ファンも楽しめると思います。)
そしてこの比嘉姉妹シリーズは人気とうこともあって続編がいくつか出ています。『ぼぎわんが、来る』を読んでみて肌に合っていると感じた方は続編も是非。しばらく本探しには困らないはずです。
3.『近畿地方のある場所について』背筋
『ぼぎわんが、来る』に引き続きホラー小説です。
割と最近の作品ですし、一時期は大々的に話題になっていた作品ですので見聞きしたことがある人は多いかもしれません。
『ぼぎわんが、来る』がストーリーをなぞっていく内容が形で進むのに対して、こちらは沢山の短編を読んで最後の方で点と点を繋げる形で進んでいきます。
展開の仕方は『変な家』でおなじみの雨穴さんと少し似ています。一定の関連性のある短編を資料として提示、間間でキーワードやパーツを小まとめし最後にそれらを繋げて大まとめをするという具合です。
この短編たちは、取材資料だったりSNSの掲示板だったり、雑誌記事だったりと書体も時期もバラバラですので、よくよく整理して読まないと途中から頭の中で色々と散らかります。なので一本道で内容を楽しみたいという方には正直あまり向きません。
しかし、こういった展開の仕方が楽しめる方はどんどん入り込めますし、その没入感がこの作品の結末をより良いものにしてくれるはずです。
一度述べたように、こういった展開が苦手な方は結末に対しても「ん?」という感想が先行するでしょう。
ともあれ、モキュメンタリー作品でこれまた一風変わった作品を読んでみたいという方にはオススメです。
4.『余命10年』小坂流加
今回最後に紹介するのはこちら。映画版では小松菜奈さんが演じて話題になりましたね。
主人公の茉莉は難病を患い、自身の余命が10年であることを知る。せめて残りの人生を謳歌しようと趣味に没頭する茉莉。"恋はしない"と心に決めるも、同窓会で再開した男性に惹かれていき葛藤する。
作者の小坂さん自身も難病を患っており、このタイトルの文庫版完成後に亡くなっています。遺作である『生きてさえいれば』もこちらに続いて読んで欲しい作品です。というのも、この方の作品は単なる紹介や一読だけで済ませたくないと思えるほどの傑作ですので。
世の中の「病気と恋とかいうお涙頂戴は嫌い」とか言っている人類全員に読ませたいくらい心にくるものがあります。恋をしたことが無い人、恋愛ものが嫌いな人、そして特にオタクに読んでもらいたいです。
我々のような意志薄弱人間に足りないものがこの本には詰まっています。
購入リンク
・『こころ』夏目漱石 (角川文庫)
・『ぼぎわんが、来る』澤村伊智(角川ホラー文庫)
・『近畿地方のある場所について』背筋(KADOKAWA)
・『余命10年』小坂流加(文芸社文庫NEO)