【なんでもゲーム見聞録】第九回 米は力だ!「天穂のサクナヒメ」【国士舘アニ研ブログ】
どうも、あねもねです。最近noteでの活動が復活してきたので、止まっていたマガジンを動かそうという算段で今回の記事を書きました。
第八回に引き続き、お久しぶりの”なんでもゲーム見聞録”です。
今回は「天穂のサクナヒメ」について書かせていただきます。
お米食べろ。
1.概要
タイトル:天穂のサクナヒメ
発売元:マーベラス、XSEED Games
開発会社:Edelweiss
発売日:2020年11月10日
発売当初は農林水産省HPが攻略サイトとも囁かれていた今作。米作りの行程における再現の忠実さは農家も驚くレベルの仕様とも言われています。
RPG+米作りがコンセプトの今作の魅力とその片鱗を少しご紹介します。
2.あらすじとゲームシステム
・あらすじ
主人公のサクナヒメは父の武神タケリビと母の豊穣神トヨハナの間に生まれた神。神様としての地位もそこそこで両親の資産もあるが、自堕落で無責任であった。
ある日、サクナは神界に迷い込んだ人間を神の都に侵入させた挙句、主神へ献上するはずだった米を台無しにするという大やらかしをする。
罰として鬼に支配されたヒノエ島の調査を命ぜられ、渋々下界へ降りる。
・ゲームシステム
ゲームの内容はいたってシンプル。主人公が主神に命ぜられたヒノエ島の調査が主です。調査といっも各ステージを探索、攻略して最深部のボスを倒すだけの簡単なお仕事です。ステージを攻略するごとにメインストーリーも進むので完走難易度も低くとっつきやすいです。
一つ一つのステージもそこまで長くないうえ、長めのステージには中間ポイントがあるという親切設計です。バトルアクション自体も単純なので戦闘が苦手な人でもなんとかなります。
このゲームの大きなポイントは時間の経過があるということです。
後述する米作り要素とも大きく関わってきますが、フィールドの攻略にもしっかり絡んできます。朝から昼は通常の探索ができますが、夜の間は周囲が暗くなり、敵も強化されるため攻略難易度が上がります。しかし、これに応じたサブミッションなどもあるため探索率100%を目指す場合はやってもいいかもしれません。
ストーリーが進むにつれて当然敵は強くなりますが、サクナヒメのレベルは上がりません。というのも、このゲームはレベル制度がないので経験値などの概念もありません。こちらも後述しますが、サクナヒメのステータスアップは米作りに集約されています。
一方で、武器や防具も存在しており、米作りによるステータスアップ+武器防具による追加性能という感じで強化をしていくことになります。
3.米は力だ!~食事について~
このゲームには回復アイテムというものが存在しません。これだけを聞くと鬼畜使用に聞こえてしまいますが、回復手段がないというわけではありません。敵から攻撃を受けて減少した体力を回復する手段は満腹度の消費です。満腹度、つまりは食事をすることによって回復効果を発動させることが出来ます。
前章で添付した夜間での探索画面の画像にて、画面上部の緑色のゲージがHPです。HPゲージの左端にあるのが満腹ゲージで、ステータス画面からは画像のように数値で確認可能です。この満腹ゲージは、受けたダメージを回復するごとに消費されていきます。使い切ると0になり体力の回復が出来なくなります。回復手段が無いわけではないですが、自分の技量と敵の強さ、体力ゲージなどを考えながら攻略しなければ、人によってはあっという間にHP不足になります。
攻略には欠かせない満腹ゲージですが、夕餉によって回復可能です。回復されるのはあくまでも満腹ゲージであって、体力を直接回復しているわけではないというのが大きな特徴です。
本作では1日に一回食事を摂ることが可能です。また、夕餉に際してプレイヤーが献立を組むことが出来るのも面白い要素です。
夕餉のシステムはなかなか奥が深いので詳しく知りたい方は実際にプレイしてみたり、攻略サイトを参考にしてください。
4.メインコンテンツ:稲作
では、ついに本作のメインコンテンツである米作りに触れていきます。
米作りによる恩恵は以下の通りです。
・米の入手
(・通貨獲得)
・ステータスアップ
・枝魂の入手
・新たな農法(スキル)の獲得
稲作の最も大きな恩恵はステータスのアップです。本作では春夏秋冬をそれぞれ3日に分割、全12日間を1年間として、この期間で米作りを行います。米は1年に一回しか作れません。前の章で書いた通り、敵を倒しての経験値稼ぎやレベリングができないため、1年(12日)に一回だけステータスの底上げができるというわけです。これが、米作りをメインコンテンツとして確立させている最も大きな要因でしょう。
このゲーム内ではお米は通貨になります。現実では考えられませんが、日本の歴史を覗いてみれば年貢制度や*石高制などが見られることから、そこまで不思議なことでないことが分かります。
ゲーム内では、かつてサクナヒメがいた神の都と島の間での物の取引が可能です。島での探索では手に入れられない材料や食材などをこの取引の中で米を通貨に購入することが出来ます。
*米の収穫量に応じて地価を定める制度
作った米はもちろん食べることが可能です。
前章でも書きましたが夕餉の際にはプレイヤーが献立を組むことが可能になっており、これによって現在の攻略状況に合わせた発動効果を得ることが出来ます。ここでお米に関して大切なことは、食べるお米が玄米か白米かということです。玄米を食べた場合は食事でのステータス効果を多く得られるのに対し、白米に近づけば近づくほど満腹効果にシフトしていくような形になっています。探索メインであったり、戦闘が苦手で回復をたくさんしたい場合は白米を、効率よく敵を倒したい場合やボスを倒したい場合は玄米を食べるのが効果的といった、食べ分けができるわけです。
ここからは稲作を通して得られる副産物的なものになります。
まずは枝魂について。こちらはフィールドの探索で手に入れることが主ですが、稲作をしているときに田んぼから入手できるものもいくつかあります。
そもそも枝魂とは何かというところですが、これは装備に装着することが出来るアイテムで、追加効果を付与することが出来ます。ステータスアップや攻撃属性の付与、被ダメ軽減など様々です。モンスターハンターで言うところの装飾品です。あれを想像してもらえればいいかと思います。
稲作を行う上で入手できるものとして最もお米に次いで重要なのが「農法(スキル)」です。サクナヒメを含めてプレイヤーは何の予備知識もコツも手元にないまま稲作を強要されます。はじめのうちは質が高い米を作ることはもちろん、大した量の収穫すらままならない状態です。お米が食べられないからと飢饉に陥って全員死亡…なんてことはシステム上ありませんが、体力回復に関わってくる部分なので飲まず食わずでの攻略は厳しいでしょう。より質の良い、より沢山のお米を収穫するにはそれに即した農法が必要です。土の耕し方、より効率的に耕す方法、苗の植え方、種もみ選別の方法などです。農法の部分で大きく関わってくるのは、種もみ選別、田起こし、田植えの部分です。ゲームが中盤まで進んでくると、お米の収穫量もそこそこになってきます。それに応じて田植えの際に植える苗の量も増えてきます。サクナヒメは初期状態だと一本ずつしか苗を植えられません。そんな状態で、300本の苗を植えるなんてのは非常に面倒です。そこで、農法(スキル)が活きてきます。稲作を繰り返すうちに自動的に獲得されるスキルですので、解放上条件なんかもそんなに難しくありません。具体的なスキルでは、苗を一気に4本植えることが出来るようになったり、円形に沢山の苗を植えることが出来るようになります。他にも、種もみ選別が「泥水選」だけでなく「塩もみ選別」ができるようになったりするので全体的な効率が上がっていきます。
5.稲作フロー
本作のメインコンテンツである稲作の流れについて簡単にご紹介します。
・種籾選別
植えるための苗になる種籾を選別する作業。
水の中に種籾を入れて泥あるいは塩を入れてかき混ぜる。質の悪い種籾が浮き上がってくる。塩や泥を多く入れるほど質がいい種籾だけが残るようになる。しかし、その分得られる苗の数が減るので質と収穫量のバランスについて相談して行いましょう。
・育苗
種籾選別が終わると、苗の育成に進みます。
厚播きか薄播きかで収穫量と質やステータスの上昇値が変わる。
ステータス上昇を優先する場合は薄播きをするのがいい。
・田起こし
田んぼの土を耕す工程。田起こし前は大きな石が転がっているので、土を柔らかくすることに加えてそれらを取り除くことも重要になる。また、このタイミングで肥料を撒いておくことが重要。(育苗直後の苗は栄養を多く必要としているため)
・肥料について
肥料もプレイヤーが自分で配合することになります。
基礎材料で肥料のベースを作り、そこに追加素材を混ぜて作ります。
基礎材料は「獣の蹄」「獣の糞」「落ち葉」の三種類+「油粕」「木魂」で、前者3つはそれぞれ「葉肥+20%」「穂肥+20%」「根肥+20%」の効果があり稲の成長段階によって使い分けましょう。「油粕」は「葉肥+10%、穂肥+8%、根肥+8%」を得られます。木魂はこれら基礎材料の効果を高める効果があり、それぞれ上限+100%まで上昇させることが出来ます。
基礎が出来たら追加素材の投入です。
追加素材には、量、味、硬、粘、美、香といったお米の品質に影響するものと、防病・防虫・防草、毒性を下げる薬の役割を持つものがあります。素材によっては葉肥、根肥、穂肥を増やす効果を持つ素材もあるので、基礎材が不足しているときは追加素材で代用することも可能です。追加素材の種類は非常に多く、腐った食料や銅や金などの鉱物類、鹿の角や鳥の羽などの動物素材、塩や麹といった調理素材なども入れらます。調味料系のも以外の素材は、ステージの探察や敵を倒すことで入手が出来ます。
・水の管理
稲作で忘れてはならない水量と水温についてのシステムもあります。
入水用の堰と出水用の堰に分かれており、これらを開閉することで水量の管理が可能です。基本的にはMAX100%に対して15%~30%の水量を保つことが理想です。しかし、晴れの日や夏場は水温が上がることで稲が病気になってしまいます。水温調節は水量を調節することで可能になります。小学生の時の水を温める理科の実験を思い出してみてください。水の量が少なければすぐに沸騰しますが、量が多ければそれだけ時間がかかるというあれです。
これを稲作にも応用し、水量を多めにすることで水温をある程度一定に保つことが出来るようになります。
しかし、ゲーム内で時間が進むと水が蒸発して水量が低下したり、水量の調節だけでは納得のいく水温まで調節できないこともあります。そこで活躍するのが二つの堰です。一定の水量まで調整したところで、入水用の堰と出水用の堰の両方を開けた状態にすることで、「かけ流し」状態になります。これにより水が常に循環することで水温の上昇を防ぐことが可能になるほか、水量は変わらないという便利機能になっています。
・刈獲、稲架掛け
出穂期を迎え稲穂が実ったら、ついに収穫です。
ここで田んぼの水は全部抜いておくといいです。刈獲の作業を終えるとすぐに稲架掛けの作業に移ります。刈獲った稲の束を干す工程です。雨や雪が降ると十分に乾かせないので、お祈りしましょう。
・脱穀、籾摺り
稲が十分に乾いたら脱穀です。はじめは原始的な方法ですがゲームを進めると千歯扱きなども使えるようになるので脱穀の作業量が多い場合はそれらに頼るといいでしょう。
この作業の結果によってお米の質が変化することはないので便利なものはどんどん使っていきましょう。
続いて籾摺りです。稲作の集大成であり、最も肝心な部分です。
この工程で、玄米にするか白米にするか、それとも分搗米にするかを決定します。第一段階でこの作業を終えると玄米になり、最後まで作業を行うと白米になります。作業の途中で終えると分搗米になります。
玄米からだんだん白米に近づいていくのですが、その度合いによってn分搗き(n=1~9)という形で表示されます。好みがある場合は好きなタイミングで作業を終えれば完了します。ステータス上昇を重視している方は白米にしてしまうのがいいです。
(スクショ取り忘れました、スミマセン)
・新米完成
全ての作業が終えるとついに新米完成です。ここで初めてサクナヒメのステータスが成長します。他にも各季節での稲の状況や、病気や害虫、雑草の被害状況などが確認できるので来年以降の稲作の参考にできます。
今回は「天穂のサクナヒメ」の紹介記事でした。
実際にプレイしながらの執筆だったのでかなり時間がかかってしまい、なんでもゲーム見聞録第八回で投稿するつもりが、他メンバーに先を越されてしまいました。お米の結果画面を見ての通り、まだまだ改善の余地しかありませんのでかなりやり込めるゲームだなと思いました。
もしやってみようかなと思った方はぜひ、筆者はPS4でのプレイですがSwitch版も販売されているようです。
それでは、いい稲作ライフを。
お米食べろ。
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