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ニッターの冬支度

本格的な冬の到来を前に、私は今、一通り編み終えたことへの達成感に浸っている。そして、ホッと息をついている。今年はベストから始まり、セーター、ニット帽、ミトン、マフラーを編んだ。その手芸日誌をここに綴りたい。

このベストはハプニングの重なりで生まれたもの。もともと袖をつけるつもりで編んでいたが、10玉あると思っていた毛糸が7玉ほどしかないことに気づき、急遽ベストに変更。さらに、1玉だけ色が少し違うことが分かり、これまた頭を抱えたが、ネック部分に使うことで不自然を免れた。そして、最後の最後、さあ脇を繋げようというところで、前身頃が少し短いことが発覚。どうやら5列ほど飛ばしていたらしい…。糸ももうなかったので、スリットを入れて、後ろ身頃を長くする、今時のスタイルということにした。当初の予定とはだいぶ変わったが、今ではデザインに形、全て気に入っている。

モヘアのミックスヤーンで編んだセーターは、1番大変で、制作期間は2ヶ月程。オーバーサイズで着たかったので、なるべく大きくと考えていたら、逆に幅をとりすぎていた。これでは後がもたんと、泣く泣く解く…。毛糸残り20センチあたりでなんとか完成したものの、袖あたりにその毛糸残量との葛藤が見受けられる。しかし、襟部分は特にこだわったので、満足いく形にできた。こんなストーリーと、相変わらずな私の性格を、このセーターはよく物語っている。着てみると、少し形は不恰好だが、不思議と自分に自信が湧くのである。

ニット帽は、もともと折り返しをつけないデザインだったが、編み終えて被ってみると、自分に似合わないことに気づく…笑 挫けるもんかと、折り返しを後付けで編むと、一気に様になった。平たく編んで左右の端を合わせる編み方をしていたので、本来なら折り返すと接合部分が見えてしまうのだが、折り返しを後から編んだために、それを回避することができた。最初は焦ったが、ニット帽を編む時の良いコツを知れて、むしろ得をした気持ちである。

ニット帽と同じ糸で編んだマフラーは、アラン模様を少し凝ってみた。真ん中に大振りな編み込み(?)と、帽子のデザインともちゃんと合うように、両サイドは同じ縄編みで馴染ませた。スラブヤーンでアラン模様を編むことに、少し抵抗があったが、逆にキッチリしたアラン模様のイメージを、不規則な太さの毛糸で崩せたなと、大満足。帽子とマフラーの相性もバッチリで、一緒に身につけるのは、今から楽しみである。

そして、はじめてのミトン。これは、『ブリティッシュエロイカの世界』より、一目惚れした作品である。そもそも、編み図通りに編むこと自体、実は初挑戦で、きちんと合っているか終始神経を尖らせていた。模様を追う編み方は、クロスステッチをしているような気分で楽しく、間違うと地獄であった。グレーと白で落ち着いた色だったので、左右をアシメトリーにして遊ぶことで、華やかさをアップ。毎年片方なくす私にとって、手袋を編めるということは、何よりもメリットである。(といいつつ、もうなくすものか…‼︎)

こんな感じで、いつも通り、波瀾万丈な出来事と共に、満足な形で冬支度が終わった。ハプニングもこうして書いてみると、愛おしいとさえ思える。全て身につけると、それはもうとても暖かく、出番はもうちょい先になりそうだ。手編みは、実際に防寒性も高いが、何よりコツコツと編む日々への愛が暖かさの鍵である。ある意味heart warmingなストーリーが背景にあるからこそ、手編みは一層warmになる。

冬に備えること、巡る季節と共に生活すること。寒い日の極上のぬくぬくが今から楽しみである。

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