Kitschの話をする日

圧倒的英語弱者のせいで未だにKitschを検索なしで綴れない。お前なんだよその絶対発音しない「s」はよ。でもこのsがあると単語としてちょっとカッコいい気もするね、不思議。

違う、単語の話をしようとしたのではない。前の記事でMV出た2曲については別途語りたいと言ったので有言実行したろという心づもりでこれを書いている。

今回話そうとしているMVはこちら。見てってください、良いものです。


私は韓国語をまだよく知らない。韓国語よりは中高6年間学ばされた英語の方がなじみがあるため、時折混ざる英語の歌詞の方に耳がいく。
どちらかと言えば歌詞メインで曲を聞く私にとって、K-POPは音そのものに集中して聞ける希少な曲だ。その期間を大事にしようとして字幕もあまり見ていなかったりする。なのでこれから語る感想は全部音とMVから来ているイメージだ。歌詞と違っていても悪しからず。

曲を聞いて最初に浮かんだ単語は「後夜祭」だった。また単語の話をしているな。
後夜祭とは文化祭の最終日、生徒だけで集まって花火したりするアレのことだ。沈みかけの夕日をバックに軽音部の演奏を聞いたり、教室に残ってイベントで余ったお菓子とか食べながら後に記憶にも残らない話をするような時間のことだったりもする。楽しい気持ちが落ち着いて、同時に明日からの日常を少しだけ憂う気持ちがKitschを聞いたときにふと胸によぎった。

特にBメロ(우리만의 자유로운 nineteen's kitschのあたり)がその寂しさと今しかない一瞬のイメージを強く感じた。ちなみにこの後に突然カッコいいサビが入るので初めて聞いたときに私は面食らった。どのくらいかと言えば、ゴールデンボンバーの「Yeah! めっちゃストレス」のサビで突然ケルト音楽に移行したときと同じくらいには面食らった。やっぱり歌詞と私のイメージが合ってないのかもしれない。

このイメージ、端的に表すなら「エモい」なのだが、この動詞を使うとちょっと負けた気がするのでもう少し言葉を尽くしてみたい。
高校生として文化祭に参加していた時は、文化祭当日の忙しく走り回っているときの方が印象に残っていたが、卒業してしばらく経つと後夜祭の記憶の方が強いことに気づいて驚いた。同時に戻れないことを思い知らされたようで、少し胸の奥に冷たい風が吹いた。
これは後夜祭のときに感じた気持ちとはまたちょっと違うのだが。

後夜祭のときに感じていたのは、達成感と寂しさだろうか。文化祭って無限に続く気がするし、準備のときなんてそれこそ一生終わらない気がしていた。だから客が全員帰っていき、中庭や教室に生徒だけがいて、ふと窓の外を見て「あ、もう暗いな。冬が近いな」と感じた時にようやく終わりを自覚するのだ。
この感覚をメロディから強く感じるので、聞くたびに高校生の頃のダイジェスト映像が脳内を駆け巡っていく。

Kitschの話に戻るが、MVのIVEメンバーがスカジャンでサングラスをかけている姿だったり、メンバーがレイさん以外は黒髪で学生感が強かったのも後夜祭をイメージした理由かもしれない。
2番のBメロからが特に後夜祭指数(後夜祭っぽい雰囲気を数値化したもの)が高く、ダンス部のすごい人たちが楽しそうに踊っているのを教室からぼんやりと眺めているような気持ちになるのだ。この2番のサビ入り前にユジンさんが「Kitsch」って歌いながら目を逸らす振付が好きすぎて1000回くらい見返した。かわいい、好き。

ラップの後に入ってくる繰り返しのBメロ部分でメンバーが肩組んでたりするのも、クラスカースト最上位感があってとても良い。なんか下々のものをいじめているような上の子たちじゃなくて、華やかな雰囲気があるせいで上に押し上げられているタイプの上の子たち。本人たちは上とか下とか気にしないけど周囲が気後れちゃって話しかけづらいな~~ってなっちゃうようなタイプ。私はもれなく気後れするタイプだし、後々テレビに出ている姿を見て「同じクラスだったんだよねぇー」と知ったかぶりするような陰キャである。カメラを一瞬チラッと見て、興味なさげに目を逸らすカットが好きなのだがこれ以上言うと私が被虐趣味を持っているような印象を与えかねないのでやめておく。

MVだけでなくLIVE映像も毎日のように上がってくるKitschだが、何度見ても「これが最後だぞ」の気分になって勝手に寂しくなっている。全然最後になる予定はないだろうし、最後になってもらっても困るのだけれど。あ、でも休ませてあげてほしい、本当に。前の記事でも言ったけど。
このMVでレイさんがピンク髪になっていて驚いたのだが、こんな似合うことある?ってくらい馴染んでいてすごかった。IVEで二次元ぽい顔立ちと言ったらガウルさんが真っ先に浮かんでいたが、レイさんもかなり二次元だったなと再確認させられた。もっともアイドルって私にとってはほとんど二次元みたいなものだけど。元気になったらまた顔を見せてください。でも元気にならないうちは無理しないでください。


Kitschを野外で歌うことがあればぜひ花火を打ち上げてほしい。無理な注文かもしれないが、それほど凝ったものではない、自分で火を付けに行くタイプの打ち上げ花火が良い。1曲から無限に学生の頃の思い出が噴き出たオタクからの小さき願いである。

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