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人間はなぜ眠るのか
人間は眠らないと生きていけない。
いや、ほとんどの生物は眠らないと生きていけない。
なぜだ?
脳を休めるため?脳は本当に休めないとダメなのか?エネルギーを補充していれば休まなくても大丈夫ではないのか。
寝て起きて、寝て起きて。
3日に一度眠るでも良いのに、なぜ1日周期で眠るのか。
太陽の日がさしてる朝から夕方、太陽が沈んでいる夕方から朝方。うまくこの周期と一致している。
人間は地球から生まれたので、そういう環境の中で進化した、いや生き残った。
ふと思い浮かんだのは、生物の再生能力というキーワードだ。
怪我をしても、時間が経てば自然と傷が治る。実に興味深い現象である。
ひとつの仮説を立ててみる。
体や脳を動かすと小さな傷ができ、夜にその傷を治している。
これは人間の寿命の真理にも関係しそうだが、進化の過程で人類はどんどん寿命を延ばしていった。我々がまだミトコンドリアだったころ、生まれて死んでのサイクルは短かった。死ぬ前に自分のコピーを作る。パンに着いたカビなんかを見てるとパンをエネルギーにして繁殖する。しかし、パンがやがて朽ち果ててカビも消滅する。
つまり、生物の基本性質は自身をコピーすることだ。
そう考えると人間の細胞を再生するというのは、生物から見たらそんなに高度なことではなく、どちらかと言えば原始的な現象なのかもしれない。
傷を治すのも同じ原理で、生物からみればおちゃのこさいさいなのである。
仮説に戻る。
頭を使うと脳に小さい傷ができ、眠ることで修復される。太古の夜は視界が悪く、人間にとっては動かない方が安全だっただろう。どこか物陰に隠れてじっとしている。残念ながら目は進化しなかった。その代わり、状況判断能力が発達した。
つまり、夜は獲物が見えないし、逆に襲われて危険だし、脳や体の傷も治したいし、一石三鳥くらいのメリットで夜に眠る種族が生き残ったのではないか。
睡眠に関しては「夢」問題がある。
夢とはなんだ。
夢を見るメリットは何もない。
なのに夢を見る。
一説には寝ている間に脳が情報整理をしている、とも言われている。
本当だろうか?
先程の仮説を元に発展させてみる。
寝ている間に脳の傷を治しているとすれば、
脳細胞自体は活動していることになる。
いわゆる「意識」だけが止まっている状態である。そして夢の中では自分をコントロールできない。ただただヘンテコな映画を見せられているような状態である。
しかもぼんやり。
その日の出来事に関連した夢が多いことに注目する。例えば、動物園に行って、ライオンに吠えられた体験をした夜に、ライオンに追いかけられる夢を見る。
これは脳が記憶する際に、その脳細胞が傷つく。そして寝ている間に脳細胞が修復される。しかし、脳細胞自体は活動しているので微量な電気信号が流れ、脳細胞を刺激する。そうすると記憶が読み出される。
だが意識を司る部分は活動停止している。つまり自分で記憶を読み出したのではなく、勝手に読み出されている状態といえる。
夢を見るのは朝方の眠りが浅くなった、つまり脳が活動し始めた頃だという。
自分ではコントロールはできないが、様々な記憶が刺激され勝手に読み出される。そして、それをただ見ている(という感覚)。脳は少し活動しているので、見ている(感じる)ことができるのではないか。
これが夢の正体。ということにしておこう。