香害
私、匂いには鈍感なほうだと思っていたのですが、ここのところ同僚の合成洗剤なのか柔軟仕上げ剤の匂いなのかは判断が付きかねますが、そんな匂いに悩まされております。
ふと思い出したのが以前勤めていた眼鏡屋さんのお客様のことです。中高一貫校の制服を身に纏った青年が時々眼鏡の型直しに来店されていました。
物静かな物腰も柔らかな青年だったので、スタッフは彼に対しては好感を持っていました。ただ1つ、強烈に香る、合成洗剤又は柔軟仕上げ剤の匂いを除いて。
眼鏡の型直しは頻繁には必要ないものなのですが、彼に関しては週に1,2度学校終わりに来店されていました。
来店回数が増えるにつれ、彼の合成香料の香りも強くなっていきました。彼が去った後、店内の出入口や窓といった空気の通る部分を全て開け放つ程には。
そんなある日、同じ制服を着た彼によく似た少年が同じ香りを纏って来店しました。眼鏡は一部破損しており、型直しや無料修理ではどうにもならないものでした。
店長が、顧客カードにある連絡先に連絡を取ると、保護者様が来店されました。御店のドアを開けるなり「〇〇の眼鏡が壊れたとはどうゆうことですか!!」とかなりのお怒りぶり。
少年が振り返ると「え?〇X?」と保護者様固まりました。どうやら型直し常連の青年が〇〇くんで、お兄様だったようです。
保護者はとてもショックを受けていらっしゃいましたが「眼鏡がないと生活できないので、新しい眼鏡をお願いします」と言ってくださいましたので、少年は新しい眼鏡を選びました。
その間に、年配のスタッフが保護者様に「ちょっとよろしいですか?」と少年からかなり距離をとった場所で何やらお話をされました。
新しい眼鏡と共に少年と保護者様は帰路につかれたのですが、その後青年も月に1度型直しに来店されるか否かになり、その際の空気の入替もしなくなりました。
化粧品や香水の香りはまだ言いやすいんです。意図的に香らせているのがわかっていますから。今日はボトルからドバっと出たの?だとか、つけすぎじゃない?と言えるんです。
でも、合成洗剤や柔軟仕上げ剤の匂いは言いにくいいし、本来ほのかに香るもののはずなんですが…。お洋服を毎日、同じもので洗濯し続けると匂いは蓄積されていくので薄くなったり、消えることはないんです。
ボディソープの香り+シャンプー・リンス・コンディショナーの香り+ヘアムース等整髪料の香り+化粧品の香りが合成洗剤及び柔軟仕上げ剤の香りにプラスされているということに気が付いて頂きたいです。人によっては+香水なんてこともありますし…。
そして、昭和以前の人たちより清潔な生活をしている私たちが何の匂いを合成香料で隠す必要があるんでしょうか。
寧ろ、この合成香料で何を隠しているんだろうとうがった見方をしてしまします。合成香料で隠されたソレは下着や洋服が直接触れている皮膚には何も影響がないんでしょうか。
今日も、彼女が通った後を咳き込みながら、業務に励むのでした。