【サンライン】開発者が語る『鱒ノ糸エステル ハード&ソフト』のトリセツ#95
2024年秋、サンライン初となるエリアトラウト専用エステルライン2製品が発売となりました。
その名も『トラウティスト 鱒ノ糸エステル ハード』と『トラウティスト 鱒ノ糸エステル ソフト』。
勿論今年の秋に発売された製品はこれだけではありませんが、開発当初から携わっていたので特に思い入れがある製品として紹介しておきたいと思った次第です。
尚、当方エリアトラウトに関しては正直今回の開発を機に知見を深めていったレベルで腕前には全くの自信はありません。(笑)
多少文章の表現に誤りもあるかもしれませんが、その点は予めご了承ください。
それではよろしくお願いします。
▼「鱒ノ糸エステル ハード&ソフト」の基本情報▼
ホームページを見れば分かる話ではありますが一応さらっと基本的なスペックを紹介しておきます。
サクッと見たい方は下記から直接製品紹介ページをご覧ください。
ちなみに開発に大きく携わっていただいたのは「スティル」「パペット」といったエリアトラウト界隈におけるド定番ルアーの開発者でもあるスミス社の「礒野寛之」氏。
ほぼ彼の監修モデルといっても過言ではないレベルでお世話になりました。
その言葉で十分な人はもうこのページを閉じて直ぐにこの製品をお店で買っていただき巻いてみてください。(笑)
まだ付き合ってくださる方は続きをご覧ください。
最初に行っておくと基本的なスペックはそれぞれ統一しています。
号数展開は両者「0.25号、0.3号、0.35号、0.4号」の4号柄。
エリアトラウトにおける必要最低限の号数展開です。
巻量は両製品「160m」
80m部分には目印になるマーキングを施しているので80m×2回分の使い方がメーカー推奨となります。
お値段は上代価格でハード・ソフトともに「1,200円」、お店にもよりますが実売価格としては1,000円前後が目安になってくる価格となっています。
80m×2回分で使えば1回分が500円程度になる価格設定です。
(1回分が500円程度になるというのを強く意識しました)
開発経緯も交えて説明したいと思います。
テスト当初、関東圏の釣り人からすれば当たり前のことなんでしょうが、北関東や神奈川・静岡といったエリアトラウトの盛んな地域・フィールドでテストを続けていて「タックル数の多さ」とその内容に驚きました。
多くの釣り人が5~6タックル所持しており、そのほとんどがエステルラインを巻いたタックルなんですよね。
(居住地から一番近い広島なら2~3タックルでナイロン・PEの使用率も結構高いです。)
こういった事情を知るとハード・ソフト同色で出すなら一目でわかる工夫は必須だと思うわけです。
そこで糸の性能とは関係ありませんが、便利な「号数シール」も1製品ごとに2枚付属することとしました!
製品名、号数が書いているので読めばハードとソフトが分かるようになっていますがハードは「シルバー×ネイビー」、ソフトは「ゴールド×レッド」になっているので視覚的にも一目で判別できます。
スプールの下巻き糸止めシールとして貼るも良し、リールフットに貼るもよし、ロッドに貼るもよしな使い勝手の良い専用シールです!
あとは製品名とパッケージデザイン。
これも他社製品を分析していると「エリアトラウト専用品であること」「何の素材を使っているか」「どんな性能を持っているのか」がとにかく製品名やパッケージを見ても分かりにくいなぁと感じたんですね。
精通している人からすればブランド情勢や専門用語も理解しているから問題ないんでしょうが、そうではないユーザーからすればよく分からない英字やカタカナが乱立しているような状態でさぞ分かりにくい状況だったと思います。
特にエリアトラウトは釣り初心者や女性アングラー、子供の釣入門にもオススメ!と推しておきながらそんな状況なので親切じゃないなぁと。
そんな状況を逆手にとって「とにかく分かりやすく」を大事に企画を進めました。
管理釣り場でニジマスを釣る糸なので製品名はズバリそのまま「鱒ノ糸」
(気付く人は気付くレベルですがアジング用は「鯵の糸」エリア用は「鱒ノ糸」ひらがなの「の」とカタカナの「ノ」という違いを意図的に付けています(笑))
エリアトラウトのラインコーナーでは良い意味で目立っていると思いますのでそういった目線でも製品をチェックしていただけると幸いです。
また、仕様としてハード・ソフトの2タイプ開発をすることは企画当初から決めていましたが、最初は「エキスパート向け」「初心者向け」といった括りで考えていました。
しかしながら実際にはエキスパート層の釣り人も戦略的にソフトを使うシーンがあったりするので一概に言えないなと…
悩んだ結果、そこもシンプルにハードとソフトという表現にさせていただきましたが正解だったと思います。
そして「鱒ノ糸エステル」の他社製品と比べて大きな違いとなるのが「ラインカラー」です。
今回「鱒ノ糸エステル」の開発を進めるにあたって、最も私が他社との差別化を図りつつ性能として付与したかったのが「視認性」でした。
勿論、市場ではクリアラインが絶対正義という考え方が強いことも感じておりましたし実際に濃い色の釣り糸は鱒の警戒心を高めてしまうことも感じておりました。
そこで「見えるけど見えない、見えないけど見える」という一見相反する都合の良い視認性を実現するべく糸質の設定以上に色々と試しました。
こんな感じであれやこれやと試した上で、最終的にマーキング無しの紫外線発光単色が一番使いやすいという結論に辿り着きました。
(辿り着いたというより回帰した?が正しいかもしれませんが(笑))
使えば使うほど「魚からは見えにくく、釣り人には見やすい」と思えるのがこの色。
ラインカラーの名前は「アドバンテージクリアカラー」
サンライン製品に詳しい方であればご存じかもしれない「鯵の糸エステル ナイトブルー(現廃盤)」と同色になります。
私自身「魚が嫌がらない範囲であれば釣り糸は見えた方が絶対に良い」という考えを持っております。
その考えに基づきこのクリアラインが絶対主義思想の強いエリアトラウト市場でも受け入れられる「見える糸」を作りたかったのですが、結果自信を持って販売できる色合いに仕上がりました。
「この糸だから、この色だから魚が嫌がる」ということは本当に感じない塩梅に仕上がっていますので、是非一度試していただきたいです。
長くなりましたが…、ここまでがそれぞれの共通仕様を中心にまとめた内容。
ここからは「ハード」「ソフト」それぞれどのような特長があるのか、どのように使い分けるべきなのか、そういった部分をお話ししていきます。
2種類あるけどどう選べばいいのと悩んだ際は是非参考にしてみてください。
▼やみつきになるこの感度。王道のハード▼
まずはハード。
前提としてエステルラインを主とするエリアトラウトやアジングに慣れており、普段エステルラインを使っていてもほとんどトラブルが起こらないという方は迷わずハードをメインに使用していただいてOKです。
ハードと言われるとエキスパートやトーナメンター向けな印象を持つ方もいるかと思いますが「王道のハード」と表現したように目指したのはエリアトラウト市場のど真ん中!
今現在、エリアトラウト市場において主となっているのがハード寄りの糸質ということもありハードと表現させていただきました。
ハード質のエステルラインはどこかエステルらしいキシキシ感の出やすさやリール馴染みの悪さが表に出やすい部分もあるのですが、その辺はかなり改良しています。
確かに感度は良いけどどこか「しなやかさ」と「しっとり感」を感じていただけるだけでなくその使用感が長く続くような仕上げ加工を施しております。
まとめると下記項目に当てはまるものが多ければハードを推奨します。
◆普段からエステルラインをメインで使っている
◆エステルラインに求める性能は感度が最も重要
◆小さなアタリを感じ取り積極的に1stバイトから掛けにいきたい
◆リール・ロッドが専用品かつ中級機種~ハイエンド機種である
これらの条件に当てはまるものが多い方は是非「ハード」をお試しください。
▼ノントラブル、ノンストレス。掟破りのソフト▼
続いてソフト。
こちらはエステルラインの扱いに慣れていない、エリアトラウト初心者、エステルライン入門者でも使えるエステルラインを目指して開発を進めたラインです。
ハードとは全くもって使用感が異なります。
「どうせ気持ち程度でしょ?」って思われる方も多いと思いますが使用感は素人が使って分かるレベルに仕上がっていると思います。
そのくらいエステルとしてはソフトな仕上がりです。
釣り糸の硬さというのはそのままリールへの馴染み易さに繋がるため基本的には硬い糸ほどリールへの馴染みが悪くなり、フェザリングやサミングといった所作が出来ていないとバックラッシュ等のトラブルに繋がります。
エステルラインはモノフィラメントライン(ナイロン・フロロ・エステル)の中でも最も硬質なので道糸・メインラインとして使用すると特にライントラブルが発生しやすいラインです。
その糸質はそのまま感度へと繋がるのでアジングやエリアトラウトといった繊細かつ感度が求められるライトゲームでは近年主流となりました。
しかしながら、扱いにくい糸であることは事実。
その扱いにくさがエリアトラウトにハマる障壁になってはならないと思いソフト性能に特化したエリアトラウト専用エステルを開発する必要性に駆られたわけですね。
「それならナイロンでいいじゃん」という気持ちも分かるんですが結局「エステル」という素材でしなやかに、ソフトに仕上げるという事が大事なんです。
素材が持つ性能の壁というのはそう簡単に超えれるものではなく「ハード仕様にしたナイロン」より「ソフト仕様にしたエステル」の方が体感感度は高いんですね。
エリアトラウト初心者、エステルライン入門者だからこそ「アタリが分かる楽しさ」を覚えてほしい。
そんな思いで開発を進め、そういった製品に仕上げれたと自負しています。
礒野さんのような上級者達ともテストは行いましたが、ソフトに関しては年に数回程度キャンプとセットでエリアトラウトに付き合ってもらう妻にも実験体になってもらいました。
私を含め幼いころからずっと釣りをしてきているような人間だと所作が染みついてしまっているので、ぎこちない動作って多少ジャンルが変わったくらいじゃ再現できないからです。
だからこそ釣りをする妻を観察しながら「ナイロンだとトラブルは無いけどアタリは分かってないから勝手に掛かる魚だけ釣れてるな」「ハードだとアタリは分かるようになるけど、フェザリングが出来てないからちょこちょこライントラブルが発生するな」という分かりやすい情報を得ながらソフトのほぼ最終仕様になったあたりで「おっ、ナイロンより明らかにアタリは分かってるけどトラブらないじゃん!」という状態になったのを確かに覚えています。
残念?好都合?なのか妻は毎回釣りに行く間隔が空きすぎて、行くたびにゼロからスタートみたいなものだったのでテストにはうってつけの存在でした。(笑)
というわけで同じようなシーンが想定できる方。
パートナーやお子様、釣り初心者の友人といったエリアトラウトやエステルラインの扱いに慣れていない人と一緒に釣りに行く人。
流石にエステルを使わせるのは厳しいかなぁと思うような人を是非実験体に試していただきたいです。
そしてそういった方には「アタリを感じる」という釣りの大きな楽しさを体感していただきたいです。
途中話したように勿論、中級者以上の釣り人も戦略的にソフトを導入するのは大いにアリな選択肢だと思います。
まとめると下記項目に当てはまるものが多い人はソフトをオススメします。
◆エリアトラウト含め釣りの経験値が浅く、エステルラインの取扱いにも慣れていないけどエステルを使ってみたいと思っている方
◆これまで使っているエステルに使いづらさを感じている方
◆太い号数のエステルは扱いにくいからと妥協してナイロンやPEでタックルを組んでいる方
◆リール・ロッドが代用品もしくは安価品である
◆魚の活性が高すぎてバイトを弾いてしまっている状況
これらの条件に当てはまる方は是非「ソフト」をお試しください。
▼まとめ▼
私自身、今回の企画開発を通してエリアトラウトの世界に足を突っ込んだわけですがこの釣りを本当に楽しむためにも「エステルライン」というのはもう避けては通れない道だと思います。
バス釣りばかりしていた学生時代はエリアトラウトに行くのも年に数回程度だったのでエステルの存在もまともに知らず、フロロやナイロンで釣りをしていました。
勿論、ルアーセレクトや管釣りであれば放流もあるので釣れないこともないんですが一度エステルラインを軸にしたエリアトラウトの世界に触れてしまうと必ず「もっと早くからエステルをメインにしておけばよかった」そう思うはずです。
既にエリアトラウトにハマっている人はもっとストレス無く深く釣りを探求できるように、これからエリアトラウトを始める人は一日でも早くエステルラインで展開する管釣りの楽しさを知るために。
是非、「鱒ノ糸エステル ハード&ソフト」をお試しください!!!
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