「画面を見る」とは何なのか
「画面を見る」という表現はしばしば誤解されがち。その勘違いを修正して再定義するとともに、「画面を見る」ためにはどうしたら良いのかについて述べたいと思います。
「画面を見ている」の勘違い
そこそこの期間を格ゲーに費やした人なら「画面を見ている」あるいは「画面を見ていない」という表現を聞いたことがあると思います。
「画面を見ていない」は相手のプレイに対する割と最上級の批判ですね。僕の場合、相手の行動や状況を考慮に入れず決めうちの行動を適当に選ぶみたいな意味合いで理解してます。まあ、誰に聞いても同じような理解ではないでしょうか。
その正反対の表現は、文法的には「画面を見ている」です。こちらはどうでしょう。果たして誰もが同じような理解でしょうか。
個人的な意見では「画面を見ている」という表現は人によってその意味合いが違っていると思います。どうやらこの表現の使い方は格ゲーへの理解度と相関があるようです。
例えば、操作に不安がある初心者は「え? 手元を見ないで対戦画面をを見るっていうこと?」と思っているかもしれませんね。ある意味一番正しいです。視線が手元に行ってたら物理的に画面を見てないのは確実なので(笑)
中級者ぐらいの人は「画面を見ている=常に相手キャラを穴が開くほどガン見して相手の行動に超反応で対応すること」と理解しているようです。少々局所的すぎるかなという感じで、個人的にはしっくり来ません。
そこでまず、僕の理解に基づいて「画面を見ている」を再定義したいと思います。
「画面を見ている」とは
僕が思う「画面を見ている」とは、「画面から最大限に情報を引き出し最適解を導いている」という意味です。僕の理解の正解不正解は措きますが、これ以降はその意味合いで書きます。
ちょっとイメージしてください。あなたのお気に入りの対戦リプレイを再生して、ある瞬間で一時停止したとしましょう。すると、以下のような情報が手に入ります。
画面から得られる情報(2次元)
体力の差
ゲージ情報(SF5ならEX、V、スタン。6ならSAとドライブ)
残り時間
画面端との距離
平面的な一枚の絵から得られる情報なので、この記事では上記を2次元の情報とでも呼びましょうか。
次は一時停止を解除してみてください。対戦が動き出しますね。平面の絵に時間軸が加わるので、3次元の情報とでも表現します。
画面から得られる情報(3次元)
相手がラインを上げているか下げているか
相手はしゃがんでいるか歩いているか
相手はどんな技を振っているか
相手の防御方法は何か…
ちょっと多すぎて挙げ切れません。3次元の情報を活かしきれたらそれはもう超上級者だと思います。これは本記事の範囲を超えるし、僕自身これが完全にできてるとは言い難いので、今回は扱いません。
したがって、今回は2次元の情報に話を限定しましょう。これを対戦中に適切に拾い上げ、対戦の選択肢に活かすにはどうすればよいか。考えてみたいと思います。
「画面を見る」ために必要なもの
「画面を見る」ために最も必要なものはなんでしょう。
先ほど2次元の情報を引き出すため、リプレイを一時停止するイメージをしましたね。
というわけで答えは簡単です。時間です。時間を捻出すればいいのです。
「あなた何言ってるの? 対戦中は相手キャラを見るので精一杯だよ…」という声が聞こえてきそうです。確かに、例えば差し返しを狙うような地上戦の真っ最中に「画面を見る」ができる人類はいないと思います。これは恐らくプロも同じです。
しかし「画面を見る」ための時間も絶対に存在します。要はある程度状況が固定されていればいいので。
以下、実際にそのような例を挙げて説明します。
色々な格ゲーに共通…ラウンド切り替え
ラウンド切り替え中にはかなりの余裕をもってEXゲージを見ておくことができます。スト5の場合、次のラウンドに向けて見ておくべきはEXゲージのみなので、ある意味では一番とっつき易いです。初中級者の方も是非取り入れて欲しいです。
ゲージ状況を鑑みて次のラウンドの選択肢や戦略を考えておければ、同じ組み合わせでも対戦内容が変わってくるはずです。
スト5で最も取り入れるべき例…CA演出中
スト5においては、その最たる例がCA演出中です。この間は常に一定の時間で、ダメージを喰らう以外の何も起こらないことが分かっており、他にする事が全くない状況です。
自分がCAを入れている側でも入れられている側でも変わりません。CAを使った側のEXゲージは空っぽでしょうが、それ以外は是非とも確認するべきです。
CA演出中は決して自分のキャラがナッシュから真っ二つにされていたりザンギから地面に埋め込まれたりするのを死んだ魚のような目で見るための時間ではないのです。
コンボ中(特に自分の)
前回の記事では、コンボのリーサルを適切に入れるためには、まず目的のコンボを高い精度で入れることが必須条件だと書きました。そして、なんなら今日の夜ご飯のこととか考えながらコンボが出来るようになって欲しいとも書きました。
どうして他の事を考えられる程度の精度が必要かというと、あるコンボを入れるのに必死ではコンボ選択などできよう余地はないからです。
そして迷わずコンボを入れられるようになると、自分が操作しているのだからこの時間がどれだけ続くかわかり、この後の状況がどうなっているのかわかる状態になります。
この状態はつまりCA演出と同じです。よって、コンボ中の時間を「画面を見る」ことに廻せるようになるのです。
また、コンボ中に「画面を見る」時間を作ると、ギリギリまでコンボ選択を考える事ができるのも重要です。
相手にコンボを叩き込みながら相手の体力ゲージや自分のEXゲージを確認して「自分は今EXゲージを使えるが、この減り方ならノーゲージでも良いだろう。いややっぱり1ゲージ必要だ」…そんな風にギリギリまで選択肢を考える時間が生まれるのです。
よって、是非とも自分のコンボに熟達し「画面を見る」ことができるようになるのをお勧めします。相手の体力ゲージの減り方を見ながら判断することは3次元の情報の処理の入り口にもなるかもしれません。
逆に相手のコンボ中はどうでしょう? この場合も一部は「画面を見る」時間に廻せると思います。しかし、自分のコンボよりは何が起こるかわかりません。相手がコンボを落とすこともあります。
そして当然ながら如何に生き残るか考える以外のことが到底できない危険なコンボがあることも覚えておきましょう。どこで補正を切られるかわからない、バイソンやメナトのトリガー1コンボなどが分かりやすい例だと思います。
距離がある時
立ち回りでも、ちょっとは「画面を見る」ことができると思います。
具体的には相手の前ステ1回分以上の距離がある時、または自分がバックジャンプしてるときなんかがそれに当たります。
しかし、立ち回りの状況は非常に流動的であるため、危険性が高く、しかも纏まった時間が確保しにくいです。
したがって、どうしても必要な情報を得るために使うのみき留めてください。(CA削りを狙いたいけど、まだ溜まりきっていない。CAを持つためにどれぐらいゲージを溜めればいいかを考えたいなど)
おわりに
途中にリンクを貼った前回の記事では、リーサルコンボを選ぶときの考え方のプロセスをあまりに簡単そうに示してしまいました。しかし見た目ほど簡単ではありません。何故ならコンボ精度の他、「画面を見ている」ことが必要だからです。
そのことに前回の記事を書きながら気づいて、この記事を書きました。したがって、前回の記事は本記事の内容を前提にしているわけで、その意味では十分に高度な内容だったのです。
本記事を読んで「画面を見る」ことを理解したら、あとは習慣が身に付くまで実戦あるのみです。
決して短期間に達成できる内容ではないものの、今回と前回の記事の内容を実践できたなら、一つレベルアップしたことを確実に感じられると思います。