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音楽と人・12月号

冒頭の金光さんの序文から涙が止まらず泣いて、泣いて、泣いて…ようやく読み終えた。

読んでよかった。

これまでほぼ語られなかった今井さんの迷いや不安、痛み。
最近のヒデさんに感じていた変化(前に出るのだ、という意志のようなもの)の理由と覚悟。
悲しみの中、戸惑いを抱えたまま前に進むユータの、個人的な感情を超える優しさと強さ。
アニイの冷静と情熱、ドラム職人魂。そしてヒデさんへの眼差し!

それぞれにあっちゃんを失った悲しみ、葛藤、不安を抱えてなお進み続けてきた4人の偽りない気持ち。インタビュアーが金光さんでなければ、こんなに率直な言葉は出てこなかったかもしれない。金光さん、ありがとうございます。と思いながら読む。

特に、これまで前向きな言葉以外ほとんど発してこなかった今井さんの、あの日以降の思いが(いつもの飄々とした言葉で)語られていて、驚くと同時に涙が止まらなかった。

直後の「続ける」宣言以降、今井さんは一貫して果敢に前に進む姿だけを見せてくれていた。だから勝手に、今井さんはすごく強くて、だから4人になったからこそできることに楽しみや可能性を見出して、どんどん進んでいけるんだ。って思っていた。
だけど、当たり前だけど、そんなことなかったんだ。

金光さんの「今井さんは、死に直面することに、人一倍怯えてて、だからこそ光を描く。そういう人だと思ってました。」という言葉には本当に驚いた。(だって、今井さんは死を当然のことと受け止めていて、これっぽっちも恐れてなんかいないと思っていたから。)
そして、続く今井さんの答えに現われていた深い悲しみに胸が詰まった。

迷いながらも進み、歩みを止めない。
今できることを楽しむ。
そうすること、そう言葉にすることで自らを鼓舞している部分もあったのだ…と今更ながら気がついた。

40年近くずっと一緒にいた友を、仲間を突然失って。
バンドとしても圧倒的な存在感を放つフロントマンを失って。
それでもファンのことを考え、前向きな言葉と進み続ける姿を見せてくれていた今井さん。
今井さんは強い。だけどきっと同じくらい優しくて繊細で…脆いんじゃないか。そんな気がした。(脆くなんかねーよ。って嘯くだろうけど)。

そして、いつも柔和で穏やかなヒデさんは、前に出ると覚悟を決めたことで、これまで秘めていた強さを解放して、きっとこれからもどんどん変わってゆくのだろう。歌詞も歌声も、新しい顔を披露することになって、これからが本領発揮!なのかもしれない。

隠すことなく悲しみを表現してくれるユータの、そのまっすぐさに何度も救われた。迷い戸惑いも、なかなか気持ちを切り替えられなくて進めない自分も、今はこれでいいんだ、って思うことができた。
いつも笑顔で可愛いユータは、悲しみの中でも冷静に周りを見て相手を思いやる大きな心を持っている人。そして、弱さを曝け出す強さを持っている人。

「ユータに連れてこられた時からずっとお手伝い感覚」なんていうアニイは、だからこその客観的な視点でバンドやメンバーのことを見ている。信じて見守ってもいる。ヒデさんについて語るアニイの言葉からあふれる愛情ときたら!
そして、お手伝いなどとご本人が思っているとは思えぬ熱量と職人魂でバクチクの屋台骨を支え続けている。

これまであっちゃんばかり見ていて気がついていなかった4人のいろんな顔を知って、改めてなんてすごい人たちなんだろうって思った(語彙)。

そして、このインタビューで4人の気持ちをより深く知れたおかげで、新作を聴くことへの怖さが少し和らいだ。
あっちゃんの声がないって考えると寂しくて悲しいし、聴くのに勇気は必要だけど。

日常に占める割合や向き合い方はそれぞれ違っても、悲しみも戸惑いも不安も、みんなあの日から抱えているものは同じ。
その気持ちの上で作られた作品なんだもの。
きっと共有、共鳴できるものがそこにあるはず。

櫻井敦司の不在とファンへの想い。
今井さんは「特にテーマとして掲げたわけではない」って言うけれど、アルバムの中に自然と零れ出たその想いは、彼らのまっすぐな気持ちだと思うから。悲しみも複雑な想いは拭い去れないとしても、できるだけまっすぐに誠実に受け取りたい。

「あっちゃんの声はないけど、あっちゃんはいる」というアニイの言葉を信じて12月4日を待とう。

スブロサの裏話に驚く。
あっちゃんが歌うスブロサも聴いてみたかったな…。あとアルバムには入っていないという今井さんの曲はライブで披露されたりするのだろうか。17曲じゃライブには少し足りないから昔の曲もやるのかな…と思っていたけれど、もしかしたら新曲だけってこともあるのかもしれない。全く新しい試み、ゼロから作ったアルバムがライブでどう変化するのかな。
なんて考えていたら、これから始まる第2期BUCK∞TICKが悲しみの中に希望の光を灯してくれたような気がした。

大丈夫、ちゃんと一緒に進んでる。

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