ちょこ式案件獲得法②提供された情報を読み解く -実践-
今回は実際にあったお問合せから、報酬を2倍にした発注を頂いた案件について、どのようなやり取りから受注につながったのかを時系列にてまとめてみました。
なにかの参考になりましたら幸いです。
問い合わせ内容から読み解けること
【実際の問い合わせ文面】
はじめまして。
現在弊社で手掛けているD2C事業のSEO対策の一環としてサイト内記事コンテンツ作成をお願いしたくご連絡しました。
以下大まかな概要となります。内容確認いただき、もしお受けいただくことをご検討いただけるようでしたら、是非詳細をご説明させていただくMTGをお願いできればと存じます。
・21年〇月にヘアケアD2Cブランドを立ち上げ済み、ローンチ3ヶ月で月商〇〇万円程度です。
・今後オーガニック顧客増とサイト再来訪者増に注力したいと考えており、その一環でサイト内記事コンテンツの作成を検討しています。
・それに伴いサイト内記事を作成をご依頼させていただける方を探しています。
頂いた情報はここまでです。(サイトURLの提供はありませんでした)
この中には提案に繋がる様々なエッセンスが含まれていますので
それをひとつづつ見ていきましょう。
D2C事業のSEO対策の一環
D2Cとは、「Direct to Consumer」の略で、「製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味の言葉です。
D2Cの特徴は、メーカーなどの製造者が自社ECサイトで商品を消費者に直接販売するため、販売業者(Amazonや楽天などのショッピングモールを含む)を介さないということです。
この一文から、私がまず感じとったことを挙げていきます。
自社コンテンツ=ECサイト内での情報発信か否かを明確にする必要性
このポイントは何気ないように見えて、
実はコンテンツを制作する上で大きな違いが出てきますので、
先に確認する必要がある点になります。
新規で立ち上げたばかりのD2Cとのことですから、
商品を販売するECサイトと情報発信はおそらくおなじドメイン内で行われるものと推測、伺うと、確かにその通りですとの回答を頂きましたので話を進めていきます。
ECサイト内で同時に情報発信をする場合(特に化粧品)には、薬機法に関わる知識が必要となってきます。当然のことながら効果に繋がるような発信はできません。
ですが今回の商材は「オーガニック」のもの。
オーガニックを訴求する大きなファクターの1つに「安全性」があります。
そのような「原料や製品の確かさ」を訴求する分には問題がありません。
コンテンツの軸が見えてきましたので、
そこからさらに「どのような層に向けてどのような情報を発信したいのか」という部分まで掘り下げていきます。
そこを紐解くのには先に頂いた情報がありました。
「今後オーガニック顧客増とサイト再来訪者増に注力したいと考えており、その一環でサイト内記事コンテンツの作成を検討しています」
オーガニック顧客増とサイト再来訪者増に注力
化粧品業界において、いま「オーガニック」は非常に母数が大きい
いわば「レッドオーシャン」です。
自社サイトでコンテンツを新規で発信し、SEO対策でそのキーワードを拾っていくのは正直いって、かなりの難易度になります。
もちろん、クライアントが今回希望しているのは
「SEO対策」ではなく「コンテンツ制作」ですから、そのままご依頼を請けることは可能です。
ですが本当にクライアントが望んでいることは何でしょうか。
これを着地点と呼んでいますが、着地点をしっかりと決めれば実はコンテンツの制作における構成やKW選びもぶれることがないのです。無事に着陸させるための滑走路のようなものですね。
ちなみに今回の「着地点」となるのは
・オーガニックに興味のある顧客を増やしたい(新規顧客の創出)
・サイトの再訪者を増やしたい(ファンの獲得)
この2つです。手法
コンテンツの作成とのお題を頂いています。
それではそれらを満たす提案はどのようになるでしょうか。
新規顧客の創出
ひとつめの課題である「オーガニックに興味のある新規顧客の創出」
こちらは具体的にどのような方法で獲得できるでしょうか。
これにはまずネットマーケティングの知識が必要となってきます。
そこで簡単にネットを使った集客の方法を図にしてみました。
上記の図の中から今回の着地点を目指すために必要な箇所をピックアップします。
コンテンツ作成によって取り込める顧客の道筋はここからとなります。
まずはSEO対策によって取り込みたいKWを、検索する層の道筋を描いていくこと。それが1つ目の手法です。
ファンの獲得
ふたつめの課題である「サイトの再訪者を増やしたい(ファンの獲得)」
こちらは具体的にどのような方法で獲得できるでしょうか。
この中で重要なキーワードは「再訪者」です。
再訪ということは一度は何かしらの道筋やキーワードをたどって、こちらのサイトにたどり着いた方々です。
それにはしっかりとした情報収集をされた「顕在顧客」もいれば、何かしらのきっかけでたまたま立ち寄った「潜在顧客」も含まれているでしょう。
結論を言いますと、この方々を今から追いかけるのは不可能です。少なくとも今回の提案に「再訪に繋がるための施策の組み込み」を含めネクストフェイズの目標にスライドさせることが大事です。
無理なことは無理である。
それを見極められるようになるには、あらゆる方面からの総括した知識が必要になってきます。ここをまず判断できないで何でも依頼を請けてしまうのは、双方にとってとても危険なことです。
まずはこの部分だけでもしっかりと把握できることが必要な能力かもしれません。
§おまけ§
ネクストフェイズにはこんなことを提案しましょう!
具体的な再訪に繋がるための施策は、
・リターゲティング広告を併用する
また一度訪れて頂いた方がなにかしらのアクションをしたくなるような
・オファーを用意する
などの手法があります。
今回の提案にこれらを含めなかったのには2つ理由があり、
まず1つ目は先程述べたように「今の段階では取り込むことができない」こと。
そして2つ目は「動かす脳」と「タスク」が異なってくることです。
動かす脳とタスクを具体的に説明すると、
今回ご依頼を頂いたコンテンツの制作には「ライター」としての手腕と「SEO」の脳が必要となってきます。
それに対し、再訪者を見込む為の施策には「SEM」を回す手腕と「マーケティング」の脳が必要となってきます。
したがって、アサインする要員も増えてきますので予算も追加で組まなければならない可能性がでてきます。
それらを今回の施策に組み込んでしまうと、
途中段階で案件がストップしてしまうというリスクが発生します。
それを事前に回避する。
そうしたリスクマネジメントも大切な提案要件です。
【着地】-最終的な提案内容-
これらを考えた上で1時間ほどのZoomでのお打ち合わせの中で導き出した
私からのご提案は以下になりました。
①コンテンツの構成は、SEOニーズの調査を含めて私が行いたいこと
②コンテンツの内容については、以下のものを発信していきたい
・訴求力が損なわれない
・商品の魅力につながる
・ネクストフェイズの再訪者の取り込みにつながるような
読み物(コンテンツ)とする
③薬機法ならびに景品表示法を順守したライティングを約束
この提案だけを見ると、なんてことのないありきたりの文言ばかりに見えると思います。
ただ、私がこのたった3つの提案に至るまでどのような思考を働かせて、
また見えない部分にどのような伏線が張られているのか。
そこに大きな付加価値がついてきます。
そして一番重要な点は、
それらをきちんとクライアントに伝えられているか。
お互いが考えていることがわからないままに、案件を任せるという結論にはなかなか至らないもの。
自己主張も大きな財産だと私は思っていますし、これまでもきちんと主張することでクライアントからの安心感を頂けていると自負しています。
かたちのないニーズに輪郭を描けるか
お問い合わせというのは、
「どうしたい」と言う想いは伝わるものの、大抵がふわふわとした掴めない雲のようなことが多いものです。
そこに輪郭を与えて、しっかりとした形を描いてあげること。
そして着地点までの長い滑走路の途中に、マイルストーンを置いてあげること。
ひとつひとつが地道で泥臭いものにはなりますが、最初にこうした設計図を描くことに慣れてください。
いきなりできなくても当たり前です。
次にお問合せが来た時には、こうした思考を少しだけ足してみる。調べてみる。道をつくる作業をしてみる。
そんな工程をまずは10案件こなしてみるだけで
今までと違った景色と提案ができるようになるはずですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました!
よろしければ以前に公開しましたこちらの記事もご覧になってくださいね。
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