
ある日突然に妊娠告白と学生結婚
本当に突然だった。大学4回の春、この頃になればボチボチ内定が出て就職先が決まって落ち着くころだ。
各言って私も内定を某金融会社にて貰っており、単位も卒論も終了して、いわゆる学生最後の完全なモラトリアム期間に突入するはずだった。
そんなある日、妻から妊娠したと告白された。はっきり言って予定外だった。嘘だろと思ったし、テンパったのは言うまでもない。
ただ授かってしまった訳で責任を取らなくてはならない訳で、先ずは互いの両親に話をする。
妻の父は激昂して、おろせと言ったそうだが妻は拒否した為、トランク片手に私のアパートに駆け込んで来た。
私の両親はと言うと、そうかと言って寛大にもそれを受け入れてくれた、両親はこう考えていたそうだ。
もし仮に生まれてきた子が、私たち2人に育てられなかった場合には代わりに育ててやれるか?と。答えは育ててやるという回答だったとの事。両親には感謝しても仕切れない。
ここからはもう急展開だった、私はとにかくバイトを更に増やした。それだけではなく両親から兎に角まずは地元に帰って来いと言われたので。アパートを引き払って2人で地元に帰った。
所詮は学生で私1人では何も出来ないことをこの時ほど思い知らされたことはなく。妻の体調管理やケアは本当に母が手伝ってくれたし、父も文句も言わずに色々としてくれた。また、私の弟にも非常に迷惑をかけてしまい申し訳なかった。
大学4回生6月に籍を入れた、式も一応簡素だが地元の神社で身内だけのものをして貰った。
そして私は地元でホテルのバイトで昼夜問わず明け暮れまくり、食い扶持を少しでも稼いだ。
そして、本当に家族のおかげで大学4回生8月に子どもが生まれた。無事にと表現が出来ない。正直なところ、妻の体調を気にして致し、生まれてくる予定の子どもは非常に小さくて大丈夫なのかという感じだった。
もしや先天的病気があるかもしれない。小さすぎて未熟児だったらと尋常じゃないほど気を揉んだが。なんとか生まれて来てくれた。嬉しかったというより運が良かったと今でも思っている。
もし何か1つでも間違えていたら、子どもだけじゃなく、母体もどうかわからない。そんな得体の知れない恐ろしさを感じながらであった。