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メリトクラシーと教育Part3
こんにちは、渡部です。
記事に興味をもっていただきありがとうございます。
メリトクラシー最終回
今回はメリトクラシーと教育の記事の最終号です。前回までにメリトクラシーとは何か、そしてメリトクラシーがもたらした世の中の不平等について述べました。階級主義がなくなった世界で、世の中は平等になったように見えました。能力がある者が評価される社会になり、実力で成功を勝ち取ることが可能になったと思ったら、実はその実力も生まれや環境という運で決まるという不平等な社会になりました。そんな悲しい現実を前回までの記事で詳しく述べました。ご興味のある方は、ぜひ下のリンクからご覧ください。
今回のテーマ
今回はメリトクラシーと教育というテーマでお話します。最初に私の経験を話します。私の中学校時代の恩師にこんな言葉を言われたことがありました。
「英語は実技教科だから、努力すればできるようになる!」
その言葉を信じ、自分なりに努力をして英語を好きになることができました。恩師と呼ぶだけあって感謝もしています。しかし、これが全員に当てはまるとは限らないと考えています。最初から「努力できる要素」をもっている人だからこそ、結果を出すことができるのではないでしょうか?
努力できる遺伝子
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ここで面白い研究の話をしましょう。双子850組を対象にした研究で、1人ずつ別の家庭で育てます。片方の子は富裕層の家庭で、もう片方は貧困層の家庭で育てます。そして、それぞれの家庭でピアノの練習を練習をさせた効果がどうなるかを検証しました。結果はどうでしょうか?なんと、富裕層と貧困層の間の差が出なかったそうです。つまり、元来もっていた能力が結果を決めているということです。生まれもった才能が成功を決めるのです。
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私の経験
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私自身も水泳が大の苦手でした。水泳教室に通う同学年の友人が上手に泳ぐ横で、全く泳げなかった私。環境の差がありました。また、運動が得意ないわゆる「運動神経がいい」友人も水泳教室に通わずともスイスイと泳いでいました。「泳げるようになりたい!」と思った私は、夏休みのプール開放に足げく通いました。しかし、25メートル泳ぐのがやっとでした。自分で言うのも何ですが、努力量はかなりあったと思います。しかし、それでも「敵わないものもあるんだなー」と幼なげに感じたことを覚えています。
成績1→5は可能か?
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「今まで成績1の生徒が5になることはあると思いますか?」以前の講演でこの質問をしたことがあります。学校の先生にこの問いを出すと可能だと言う人がいます。もちろん例外的に可能な場面もあるでしょう。本人の努力と保護者のサポート、スーパーティチャーが相乗効果をもたらせば。今回はあえて言います。これは現実的ではないです。
しかし、学校の先生の中には私の考えに賛同されない方もいます。なぜそんなことが起きるのでしょうか?私はその背景に「努力で成功してきた自分の経験則」を当てはめようとしてることがあると考えています。努力で何かを達成した経験が多い人ほど、成績が上がらないことが努力の差に起因すると考えがちだと思います。なぜなら、自分たちは努力で成功してきたから。
「俺は努力して教員になったんだ!だから努力すればあなたも成功できる!」極端ではありますが、そんな考えをもつ人もいるのではないでしょうか?
英語力は遺伝要因?環境要因?
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英語を学ぶことは言語脳を活用します。脳内の言語に関する活動が、遺伝と環境のどちらに影響を受けるでしょうか?大阪大学の研究結果があります。結果は遺伝と環境の要因が50%ずつだそうです。つまり、半分は遺伝影響で英語ができる・できないが決定するということです。
しかし、半分は環境の要因が影響するので、英語教員としてこの環境を整えることに注力することは大切です。しかし、結果が出ない時に、「もっと努力しなさい!」というのは無理がある話だと言うこともこの研究から分かりますよね。
メリトクラシーの世界で教育はどうあるべきか?
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メリトクラシーの世界で教育はどうあるべきでしょうか?私はまず頑張れない子どもの存在を認める必要があると考えます。頑張るの基準を自分のものさしで決めないことが大切だと私は思います。メリトクラシーの世の中で努力至上主義で物事を考えると、分断を生むことになります。それを止めるのも教育の役割なのではないでしょうか?
マイケル・サンデルの答え
最後にマイケル・サンデル教授の動画で、この不平等な世界への彼の提言をご紹介して今回の記事を終えます。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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