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【英語授業】世界がもし30人の村だったら【ロイロノート】

こんにちは、渡部です。
記事に興味をもっていただき、ありがとうございます。


今回のテーマ

皆さんはこちらの書籍をご存知でしょうか?

「世界がもし100人の村だったら」
80億人を超える世界人口を100人に縮めて考えるとというコンセプトで書かれた書籍です。
2001年に発行された本ではありますが、SDGsの考え方が浸透した今の時代にも十分応用可能な内容だと思います。
むしろ、今だからこそ考えるべきことがあると感じるかもしれません。
今回はこの本の内容をもとに考えた授業実践を紹介します。
授業づくりの参考になれば嬉しいです。

もし、世界が30人の村だったら

「世界がもし100人の村だったら」の中では、世界を100人で考えています。
しかし、私は学級に置き換えて、世界を30人にしました。
30人を以下のグループに分けます。
A国6人/B国5人/C国5人/D国4人
E国4人/F国3人/G国3人/H国2人

各国の状況には違いがあります。

A国は最貧国で、食料と医療器具が全くありません。
B・C国は発展途上国で、食料と医療器具が不十分です。
D・E国は平均的な国で、食料は十分にありますが、医療器具は不足気味。
F・G国は先進国で、食料は余るほどあり、医療器具も十分にあります。
H国は強国で、食料・医療器具ともに余るほどにあります。

30人が過ごす世界のゴールは「全員が飢餓や病気で亡くならないこと」

ルール

それぞれの生徒は、自分たちの状況をリーディングして理解します。
そして、その状況ですべき行動を考えた上でアクションを起こします。
ただし、ここでルールを提示します。
それは、この世界唯一の言語は「英語」であること。
日本語を含むその他の言語は通じないのです。
英語で伝えられたもの以外は一切反応してはいけないことにすることにより、英語でのスピーキング・リスニングの必然性をつくりました。

ロイロノートの共有ノート活用

この授業では、ロイロノートの共有ノートを活用します。
ロイロノートについてはこちら↓

共有ノートは生徒たちが同時に編集できるデジタルホワイトボードのようなツールです。
このような画面で、生徒同士がやり取りできるロイロノートの機能です。

画面上には、生徒人数+1の食料(パンの画像)と必要数+1の医療器具(救急箱の画像)を準備しておきます。
生徒は自分の国の場所に移動します。
そして、その国の状況を確認した後にアクションを起こします。
食料と医療器具は移動可能で、必要に応じて他国にあげたり、他国からもらったりすることができます。
共有ノートを使うことにはメリットがあります。
それは世界の状況がリアルタイムでわかることです。
「A国に食料が足りなそう」とか「B国が大変そう」のように状況を理解することができます。

『足りないを知る』

共有ノートを使って行うことにより、生徒はそれは、時よりマイナスの感情を生むこともあります。
「H国は2人しかいないのに、あんなに食料を持っていてずるい!」
この一種の妬みの感情も大切です。
先進国である日本に住んでいる生徒たちは、足りない経験を味わうことはほとんどありません。
貧困に陥った時に感じる「心の余裕のなさ」を知る機会になるのです。

醜さも含めて理解する

最初は食料を譲ることを頼まれ、快く受け入れていた生徒も途中で対応が変わってきます。
ある生徒が言いました。
「うちはメディカルキットが少ないから交換条件をつけよう」
またある生徒はこう言いました。
「あげるばっかりは嫌だ」
このような反応が出たとき、発言した生徒以外の生徒から、批判の対象になっている場面も見られました。
しかし、その一種の「人間の本性」も大切だと感じます。
道徳的に正しいと思われる行動を取り続けることができたとしたら、世界から貧困の問題は消えているし、SDGsなんて目標を設定する必要もないはず。そう、綺麗事では世界の問題は解決しない。
それは人間の醜さがあるからであるということ理解する機会になります。

創造的なアクションが生まれる

授業の中盤に問題が解決しそうになった時に、私は新たなタスクを与えました。
それはALTが建国したI国が食料と医療器具を必要とするのです。
ALTは各国にお願いして回ります。
そこで、多くの国はぴったりになっているので、ALTの要求に応えることはできません。
なんとか食料を獲得したALT。
しかし、まだ医療器具が足りません。
生徒 "Sorry, I don't have extra medical kits."
ALT "Oh, I see."
ALTはどの国に余分の医療器具があるかを知りません。
トボトボ教室を歩くALTの姿に罪悪感に似た感情を抱く生徒たち。
困っているALT をみて、生徒の思考力・判断力・表現力がはたらきます。
生まれたアイデアがこちら↓

生徒が他国に訴えたメッセージ(AnthonyはALT名)

これを共有ノートのド真ん中に投稿します。

これで、余分な医療器具を持っている国に呼びかけることができます。
創造的な発想は、「誰かが困っている・助けたい」という場面で発揮されるのだと、私も学ぶことができました。

最後に

授業後の振り返りをご紹介してこの記事を終えたいと思います。
振り返りをみると、生徒が英語を学ぶこと以上の学びがこの授業内にあったと感じます。
ぜひ、先生方の実践の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

・あげたいけど、あげられない。パンは半分にできるけど、医療キッドは1つだから、あげたくてもあげられなかった。
・ものをあげたかったけど、あげられないのでとても申し訳なかったです。
他のグループがどんな状況なのかを把握し、交渉して、自分のグループの状況を変えることができました。あげたいのにあげられない苦痛を知りました。世の中が平等になるのは難しいことを改めて知ることができました。
・何もなかったから、他のグループに頼るしかなかったし、普通に立場が弱いから辛かった。
・食料や医療キットを本当はあげたいのに自分たちの事も考えるとあげられない、断る時は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。これが世界全体でも行われていると思うと辛いです。みんなが平等に生活するためにはどうしたらいいか考えていきたいです。
・世界を平等にするのはとても難しいことだということが分かった。
・今の世界の状況を理解し、自分の村のために適した行動をすることができた。 アンソニーに申し訳ない。これしかなかったんだ…

生徒の振り返りより(原文ママ)


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渡部 諒
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