定年後の夫とふたり暮らし⑦〜ニンニクをたくさん食べた日
夫が退職していちばん楽になったのは、食事(とくに晩ごはん)の献立をいっしょに考えてくれるようになったことだ。
働いていた時も家にいた時も、結婚してから、わたしが毎日毎日その日の晩ごはんをつくってきた。
何が大変って、献立を決めること。
それさえ決まってしまえば、あとはつくるだけ。
仕事帰りに寄ったスーパーの中で、晩ごはんの献立が決まらずに、スーパーの中をぐるぐると何周もした経験のある方はわたしだけではないだろう。
一年に何度かは「どうしても献立が決まらない」と、夫にメールすることもあった。
そうすると、彼は帰りにスーパーに寄って何か買って帰って来た。
だいたい弁当や、レトルトカレーだったなあ。
いまは、夫も時間が十分あるので、あれこれと献立を考えて、買い物も基本ふたりで行く。
今日は、この秋初めての鍋をしようということになった。
さて、何の鍋をしようか?
せっかくだから(何がせっかくなのかはわからないが)今までしたことのないのにしよう、ということになり、トマト鍋に決定した。
わたしは今日は用事で忙しかったので、トマト鍋の作り方や材料は夫が調べた。
さて、出来上がった初めてのトマト鍋は予想以上においしかった。シメはゴハンとチーズを入れてトマトチーズリゾット風にした。これがまた絶品だった。
安い白ワインを飲みながら2人でとてもおいしくいただいた。
夫が調べたトマト鍋のレシピはニンニクをたくさん使っていた。夫が働いていた時は翌日の仕事に差し障るので、休日の前日以外はあまりニンニクを使った料理はしなかったけど、今日はニンニクをたくさん使った。そしたらとてもおいしかった。ニンニクも大きめに切って鍋の中で、ぐつぐつ煮込んだらほっくりとなんとも言えずおいしかった。
翌日の仕事のことを気にせずに、ふたりでニンニクいっぱい食べれるって幸せだなぁと話した。多分明日私たちはニンニク臭いと思うけど、仕事があるわけではないので、2人ともニンニクを食べていたらわかんないねと、笑った。
夫が退職するまではわからなかったけれど、社会で仕事をして暮らす生活には大きいものから小さいものまでいろんな制約があったんだな。
ここに来て、そういった制約からとき離れて、少しずつ、本当に少しずつ暮らしに自由が広がってきている。
まだまだ自分たちにはわからない制約があると思うけれど、1つずつそれを脱ぎ捨てていける日々がやってくるのだろうと思うと、この暮らしもまた楽しく思えてくる。