いちはつの季節
桜も散って、
春の花たちが競うように次々と咲いて春爛漫。
ウキウキするような心踊る季節の訪れ。
そして、いま
5月の風を感じながら
春の終わりに咲く花。
いちはつ。
民家の庭先に、
アヤメの仲間の中でもひときわ力強い印象のこの花が咲いているのを見ると、わたしの中になんとも言えない感慨が湧いてくる。
いちはつの花咲きいでて我が目には今年ばかりの春行かんとす
いちはつの花をみると
正岡子規の有名なこの歌を思い出す。
あぁ今年もいちはつの花が咲き始めた。
自分にとっては最後になるかもしれない春が過ぎ去ろうとしている。
病床の子規は、どんな思いでこの花を見たのだろう。
この花を見る時、いつも死にゆく人の目に映る花を思う。