アフターグロウ
村から外れると夜が目隠しをした
生憎、星は出ておらず
頼りになるものはなく
開けているかさえ不確かに感じて
仕方なく暫く目を閉じることにした
生憎、鳥のこえもなく森もまた喋らず
次第に希薄になる存在を
剣のつかに爪をあてて確かめた
手繰るように足を折ってしゃがみ
背負っていた麻袋から紙と黒炭を探った
そして今を書き留めはじめる
はじめは文字を書こうと試みたが
早々にそれを諦めて
思うまま今をそのまま書き留めることにした
確かめるように目を開けても
相変わらず夜に目隠しをされたままだったが
黒炭が擦れる音は大層私を慰めた
小さきもの
夜に目隠しをされたまま
目を開けているか分からぬまま眠っており
気づけば朝を迎えていた
ひかりの慈しみ
煤けたような右手は戦いのあとのようだった
何者ともつかぬ無限に引かれた線
分け入るように動物の足跡が残っていた
◇
ノマドシリーズ
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