見出し画像

【グランクレストRPGオリジナルセッティング】フィーレイ島

■フィーレイ島とは?
アトラタン大陸の北北西に浮かぶ、大陸からは1500年もの間隔絶されていた島。極大混沌期を生き抜いた少数の人間の子孫たちが『ドルイト』と呼ばれる自然魔法師を中心に独自の文化を築いてきたが、500年ほど前にブレトランドから人が流れ着いてきたことを切っ掛けに島外との交流が始まったという歴史を持つ。君主や邪紋使いと大陸で呼ばれる人々が支配階級にあり、彼らは貴族として血と名誉を何よりも重視する。
長い歴史の中で滅びかけた部族もあるが、基本的には9つの部族が9つの地域に分かれてそれぞれを統治し続けていた。
 
 
■文化信仰あれこれ
人間の魂は混沌より生まれ、死ぬと混沌に還るという死生観。女性の胎は混沌に満ちているという信仰がある。
フィーレイという島名は、島に暮らすすべての命を産み出した女神フレイヤが最終的に大地そのものになったという神話から。そのため、聖母崇拝が盛んである。
島の中央にある巨大な沸騰湖はフレイヤの体内に繋がっている場所ともいわれ、魂が生まれる場所、または冥界の入口として伝えられている。
またこの湖から湧き出した水はフレイヤと繋がる生命の水とみなされており、死んだ人間――特にロードは「身も心も祖霊に尽くす」ために土地を問わず水葬される。
女性は可能性を産み出すもの、男は可能性を実現させるものという性役割。部族の王は原則的に男性が継ぐものとされる。
神話信仰上では、9つの部族の祖は別々の投影体から生まれた異母兄弟とされているが、民俗学視点ではすべての祖の母親は同一の存在だという説もある。
 
 
■フレイヤとは?
極大混沌時代にヴァルハラ界から投影された豊穣神で、既に名は伝わらない神と共に、この島のありとあらゆるものを生み出したと信仰されている。各部族の祖先神9柱を産みだすも、後に9柱の世界を滅ぼす悪魔を産み落としたことから各部族の祖王たちに討伐された。巨大すぎる混沌核は9人の王たちをもってしても浄化しきれず、ドラッシャーの中央にある泉に封じられたとされている。
 
 
■主要な勢力
混血商会
千年を生きているという邪紋使いシェロが取り仕切っている、アレンサーデャを拠点に島の流通や傭兵稼業を行っている一団。
島では異端とされていた投影体と人間の混血児たちが、地球からやってきた投影体アレキサンドロスを中心として、かつてフィーレイを支配していた恐怖王マリウスを討伐したという歴史を持つ。
首長連合にも参加しているが、島を統一した部族に従属するという立場を取り、各部族に商会所属の傭兵を送り込んでいる。
 
ドルイド
フィーレイの地に根付く信仰を司る者として、島の祭祀面を取り仕切っている自然魔法師の共同体。エルフをフレイヤの使徒と崇め、人間とエルフの交流を制限、特に恋愛をタブーとしている。
アトラタン大陸の魔法師協会とも交流を持っており、優秀な若いドルイドを大学に送り込み留学させている。しかしナショナリズムに走るフレイヤ騎士団にも人員を送り込み支援をしていることから、 政治的には対立している面もある。
 
フレイヤ騎士団
幼き女王オルドリンを旗印に島民による自治支配を叫ぶ、滅ぼされた北部部族たちの生き残りが結成した連合。
首長連合にも参加しており、強烈な右派として大陸勢力や魔法師協会の排除などの方針を掲げている。
 
幻想詩連合
港湾都市キーテジを拠点として島の北部部族を支配していた大陸勢力。支配下にあった島民を奴隷とし、輸出することで繁栄していた。
しかし“大講堂の惨劇”をきっかけに大陸からの支援が滞り、島民たちに蜂起されフレイヤ騎士団の結成を許してしまう。だがフィーレイを自分たちの掲げる爵位制度に組み込むことを狙う魔法師協会から特別に支援を受け、島民たちを再び支配下に置こうと目論んでいる。
 
首長連合
トランガーヌ子爵領が崩壊して以降、島に暮らす部族の長達が島の自治政府の樹立を目的として設立した議会。しかしどの部族がイニシアチブを取るかで揉め、結局は部族間闘争による勢力争いへと発展していったのだった。闘争勃発後も存続はしているが、フィーレイを統一するという一点以外の意見が纏まることはないようだ。
  
エルフ
島を創造した女神フレイヤの使徒として崇められ、ドルイドたち以外との接触は禁じられている。しかし混血商会を通じて交易を行っており、人間たちとの接触禁止は形骸化しているようだ。
 
パンドラ
混沌主義者たちはこの島にも入り込んでおり、フィーレイのすべてを産み出したとされる女神フレイヤの復活を目論んでいるという。
 
ハルマゲドン
9つの部族が封じてきた、フレイヤの息子たちといわれる悪魔たちの復活を掲げる者たち。それらが復活することで島のみならず世界そのものを滅ぼすハルマゲドンを起こすことができるというマイナーな伝説を信じており、スラィギーの部族を攻め滅ぼすなどの凶行を繰り返している。
 
 
■主要都市
ドラッシャー
島央に位置する沸騰湖の岸辺に位置する、自然魔法師“ドルイド”たちの取り仕切る宗教都市。
かつては「北のメルラン」「東のペルスヴァル」「西のヨセフ」の3地区に分かれていたが、何らかの理由(未設定)により1地区はゴーストタウンと化している。
ドラッシャ―の沸騰湖に浸かれば、その水から混沌に還った戦士の魂が転生して胎児に宿るという信仰があり、妊娠した戦士階級の女性が強い魂を胎児に宿そうと、浅瀬に腰を落として浸かっている姿が時折見かけられる。
 
アレンサーデャ
かつてから島を解放した“混血商会”が支配下に置く商業都市。
歴史上の経緯から、フィーレイの信仰から解き放たれた融和政策がとられており、
各部族の出身者や大陸出身者、果ては投影体やその血を継ぐ子孫などの様々な立場の人間が暮らしている。
都市名は“混血商会”の立ち上げからフィーレイ解放までに携わった、異界の王アレクサンドロスの名を称えるべく名付けられた。
 
キーテジ
北東部に位置する、トランガーヌ子爵領の臣下であった君主ミロンが治める港湾都市。
数年前までは様々な投影体と交配させた混血奴隷を養殖し、丈夫で従順な労働力として大陸に輸出していた。
 
ボアディーシャ
トランガーヌ子爵領キーテジから、ブレトランドの内乱に乗じて独立を勝ち取った“フレイヤ騎士団”の中枢が置かれている都市。
武力をちらつかせ島を支配しようとしている大陸勢力からの脅威を払拭せんとする“フレイヤ騎士団”の誓いに因み、かつてこの地に投影され“混血商会”と共に恐怖王マリウスへの抵抗勢力を纏め上げた女戦士ブーティカにちなんで名付けられた。
 
 
■島に暮らす9つの部族
北部地域:モルゲン/モロノエ/マゾエ
キーテジの圧政に苦しんでいた地域。トランガーヌ統治時代に開発が進んでいたため、混沌濃度は薄い。
マゾエの従属聖印を持たされていた幼い姫オルドリンを除き、すべての王やそれに連なる戦士たちは殺され“神”を喪っている。
東部地域:グリテン/グリトネア/グリトン
西部地域:ティロノエ/ティテン/ティトン
 
 
■NPC
オルドリン・メルニア・リィ=マゾエ・ナーリング(12歳/女性/君主)
“フレイヤ騎士団”の頭目として祀り上げられているナーリングの幼き王。フィーレイで女性が王になることは前例がなかったのだが、幻想詩連盟によって王や闘士たちを殺されてしまった部族に残された、最後の聖印と血筋の持ち主という理由から、北部に暮らす部族たちの最後の希望として王として自ら即位することを選んだ。
 
ブリジット・ブランタン・タニス=グリトン・スラィギー(17歳/男性/邪紋使い)
ハルマゲドンの襲撃に遭い滅ぼされたスラィギー一族の生き残り。
本来は女性として生まれたのだが、自らの可能性を拡げようと混沌核を自ら埋め込み男となった。
 
シェロ=チィロ・リーディア・アレクサンドロス(?歳/女性/邪紋使い)
混血商会のリーダーを務める邪紋使いの女性。常にどのようなときも、余裕のある表情で笑みを浮かべている。
様々な時代、様々な場所で、様々な顔をした女性がこの名を名乗っていることから、シェロの名は混血商会のリーダーに引き継がれるコードネームという説もある。
 
ミロン・アウスウィークン・ブレドランド(31歳/男性/君主)
キーテジを治める幻想詩連合所属のロード。ブレドランド系の住人からは名君として慕われている一方で、フィーレイ系の住人のことを明確に非人として扱っている。実験用の奴隷を輸出することでエーラムとの関係を深め、ブレドランド本土からの支援が滞りつつある中で魔法師協会の力をもって島内での存在力を増そうとしている。
 
レムリア・ファッシュブレウ・エーラム(29歳/女性/魔法師)
ミロンと契約している魔法師の女性。
 
ジェイデン(26歳/男性/邪紋使い)
ディアボロス界のデーモンであるベルゼブブをその身に宿し、その人格と共存しているというデーモンレイヤーの青年。穏やかだが破滅的な思考をしておりとてもネガティブな性格。
 
アウレーリア・グレイング・フレイヤ(1833歳/女性/投影体)
人間たちの社会から離れ、エルフを中心とした投影体達の暮らす集落にて顔役を務める女王。威厳に溢れるも慈しみ深い性格。
 
ライアン・アーロン・リィ=ティロノエ・メルア(18歳/男性/君主)
姉が嫁いだ先で暗殺事件が起き、仇討としてタウンセンドの一族に戦争を仕掛けた若き王。かつてニールとは友情を誓い合った親友同士であった。一見クールな性格だが理想論で動くロマンチストな性格。
 
ニール・リーアム・リィ=グリトネア・タウンセンド(19歳/男性/君主)
メルアの一族に戦争を仕掛けられた、タウンセンドを率いる王。ライアンとはかつて友情を育んだ親友同士だった。根性論的な振舞いが目立つが現実的な考えを尊ぶ性格。 
 

■島民の姓名法則
フィーレイ人の名前は「(ギヴァンネーム)・(後見人の名前)・(位)=(家)・(氏)」という形で構成される。
混血商会の所属者は「(名)・(家)・アレクサンドロス」と名乗るのが慣例で、大陸出身者たちは「(名)・(家)」、もしくは「(名)・(家)・(出身地)」を名乗ることが慣例。
「神」としての権能を持つものたちは「(名)・(後見となる王の名)・(位)・(所属国)・フィーレイ」を名乗る。
日常的には「(名)・(家)」を名乗ることが多い。氏を辿ると母方が、家を辿ると父方の系譜を辿ることができる。
例)
オルドリン・メルニア・リィ=マゾエ・ナーリング→ナーリング一族、メルニアを師とするマゾエの王オルドリン
ネロ・レベッカ・バゥド=レム・アレクサンドロス→混血商会の出身、レベッカを師とするレムの祭司ネロ
 
リィ:王(その土地を治める貴族)
バゥド:祭司(魔法使い)
ケリー:闘士(君主の貴族)
タニス:戦士(邪紋使いの貴族)
マオル:民(被支配階級)
ディア:一族を守護する神様
 
 
■PCたちの目的は?
「島内で活動するハルマゲドンやパンドラと戦い、彼らの野望を粉砕する」「幻想詩連盟と戦い、独立を勝ち取る」「島内の他部族と戦い、フィーレイの統一王となる」のいずれかを想定している。勿論、他の楽しみ方を見つけて独自の道を歩んだとしても問題はない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?