囲炉裏の写真を探していて「これはないな」
囲炉裏のことを、この地では『えんなか』と言う。
どんな文字(漢字)で書くのだろう?
それはよくわからないが『えんなか』と呼んでいた。
沢山の囲炉裏を写真で見ていたが『えんなか』感覚では、「これはないな!」と言うのがある。↓
この部屋を造られた方は『囲炉裏』のある空間を持ちたかったのだろう。また人をもてなす場として受け止められていたのだろう。だから座敷の中央に囲炉裏が設える。
「う~ん、、、?」なのだ。
座敷は特別な間で、基本『空』(非日常)を維持する場所のように思う。一方、『えんなか』は日常の場、ただの板の間の場なのだと思う。
火を焚き煙の立つ場であり、その煙を浴びる空間は、真っ黒になる。藁屋根の家はその煙を屋根裏にまわし、防虫や防腐の働きにも使った。
古民家を壊す時などに解ると思うが、黒く色づいている。煤けているのだ。
ただ、座敷だけはえんなかから隔たっていたように思う。。(僕の家は小さかったので対角に置かれていたが。)
『えんなか』は土間から上がったところ、流し(今で言う台所)の近くにあった。そこにせいぜい茣蓙(ござ)をひく、普通は板の間に座っていた。
火を扱う場でも有るので、茣蓙など燃えるものは置かなかった。薪は積んでいたが。それと火消しツボがあった。
だから、畳の場、ましてや座敷に囲炉裏を造るなど考えられないのだ。
えんなかとは、あらたまった場ではなく、日常の場なのだ。そこすごく大切な気がする。
座敷は、他者の為の空間のような感覚がある。
あらたまった場。
『えんなか』文化の中で育った人間としては、なんか違うんだよなぁ~。(最初の写真)
僕が字を憶えたのは、えんなかの灰の上だった。
火箸で書いて、すぐ消せる。何度でもできる。
追記
隣町の八尾では、『えんなか』は町中を流れる水路を言う。「えんなかの音が聞こえる」と言えばちょろちょろと流れる水路(小川)の音だ。
山一つ越えただけなのに。
下の方に八尾の「エンナカ」の説明があります。
http://www.pref.toyama.jp/sections/1711/yuki/over/over_manabu.html
(やはりリンクが貼れない)
ちなみにアイヌ語を探すと近いもので、
enunuku(エヌヌク)と言う言葉があり、
「(そのことで人を)厚遇する。大事にする。」
と言う意味が有るそうだ。