菰を巻いた藁屋根の家
えんなか(囲炉裏)の絵を探していてこんな絵と出会った。↓(水彩画スケッチ紀行ー日本の里ー安田泰幸)
懐かしかった。
藁葺きの家を描いたり、写したりしたものは沢山あるけど、コモを被ったものはなかなか無い。
コモ?
って声が聞こえてきそう。
屋根の下、壁の部分に藁がうってあるように見えるだろう。それがコモだ。漢字は『菰』って書く。
藁葺きの家に住んでいたら、今頃はコモを巻いた家の中にいたろう。そして家中、真っ暗なのだ。
雪の時期になると庭木にコモをかけるように家にもコモを巻いて寒さから家を守っていた。
高校生の時まで藁葺きの家だったので、真っ暗な家の中と表へ出た時の眩しさをよく憶えている。そして、この重苦しさから抜け出したく、春が来るのを待っていた。
冬と春の違いは、今の何重倍も大きい。
除雪の大変さより、コモから早く逃れたい。
そんな春を待つの楽しみは、今は見当たらない。
(同じく安田泰幸)↑
コモを被った藁屋根の家。
コモがなくなり、明るいサッシのまま一年中暮らす。
住居環境は、いつの間にか私達の心を決めている。
あの春を待ちわびる心持ち。
今の人には想像も出来ないだろうなぁ。
藁屋根のこと「クズヤ」って言ってたなぁ。
船峅村最後のクズヤだった。