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「『忙しい』が言えない理由――小学校の先生の一言が残した影響」


私は仕事でもプライベートでも、どんなにやることが溢れ、倒れそうな時でも「忙しい」という言葉を口にすることができない。その理由は、小学校の先生が放った一言にある。

どの授業だったか、どの先生の言葉だったかは思い出せない。しかし、先生が黒板に「忙」という漢字を書き、「この字は『心を亡くす』という意味から成り立っています」と教えてくれた。その時は「なるほど、そういう意味なんだ」とただ理解しただけだったが、不思議なことに、その言葉は時が経つにつれ私の心に深く染み渡っていった。

大学生や社会人となり、1日が24時間しかないことを悔やむほどやりたいことが増え、毎日が充実していた。周りの人は「忙しいね」と口にし、私自身も「忙しそうだね」と言われることが増えた。だが、その時気づいた。私はどんなにスケジュールがぎっしり詰まっていても、自ら「忙しい」と言った記憶がほとんどないのだ。小学校時代に先生が語った「心を亡くしたくない」という無意識の意識が、私の中でずっと生きていたのだろう。

この影響で良かったこともある。どんなにタスクが山積みでも、心を亡くさないことで周囲を見渡す余裕が持てることだ。しかし反面、やることが多すぎて睡眠時間を削って働いても、心を亡くしたくない、期待に応えたいと思い、「忙しい」と言わず、「大丈夫です。もっとできます」と言ってしまい、自分で自分の首を絞めることもある。

子育てをするようになってからは、仕事に避ける時間も気力も限られている。最近の目標は「できないことはできない」と正直に言えるようになることだ。2024年はその目標を達成できなかったが、2025年の自分に期待したいと思っている。

皆さんは、何気ない一言が後の人生に影響を与えた経験がありますか?

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