小さな町の小さな本屋さんの競争戦略に脱帽した
昨日トリセツシマネの取材で訪れた、とある本屋さん。
蔵書は決して多くない。
万人に受けるような新刊はおいていない。
しかし、地方都市の小さな町の本屋さんには、新たな発見をもたらしてくれるような店作りがされていました。
小さな個人店だからこそできることを徹底的にやり抜いたお店には、個人の商売の本質というものを垣間見せていただいた気がします。
松江市の町の本屋さん
その本屋さんは島根県松江市のartos Book Store(以下、アルトス)。
街中にひっそりと佇む、いわゆる町の本屋さん。
お店のコンセプトは、
2005年4月 リニューアルオープン。店名を「artos Book Store」に。
先代から引き継いだ本に対する思いを大切にしながら「衣・食・住」をテーマに、
日々の暮らしの中にささやかな楽しみを感じられるような様々な本と共に、雑貨、食品なども一緒にご紹介しています。
また毎月、本の中にある世界をもっと身近に、見て、触れて、感じてもらえるような
企画展を開催し新たな本の楽しみ方を提案しています。
これまでも、これからもartosは「町の本屋」として歩んでいきます。
日々の暮らしの中に灯りをともす本屋とはなんだろうと思いめぐらせながら…。
地域メディアトリセツシマネでは、本屋さんの常識を超えた、感性を刺激するお店として紹介しました。
【ターゲット】ビジネスを継続させるために顧客を絞る
アルトスは15年前にリニューアルしました。
本が売れなくなった時代において、本屋として提供できる価値を考えぬいた店主が行ったこと。
それは、顧客を絞るということでした。
万人受けしようとしても、大手の本屋やインターネット販売にはかなわない。
つまりこのままではお店の存続が危うい。
だからこそ、欲しい本を買いに来る人を対象にするのではなく、「衣食住」のテーマに限定しそこに共鳴する人をTARGETとする。
アルトスだからこそ手に入る情報。
それを求める人が、集まる町の本屋さん。
そんなイメージから、今までの書店スタイルから大幅な変革へと舵を切ったそうです。
<旅や生活がテーマの雑誌が並ぶ>
リニューアル当初は、今までの常連さんからの苦言があったようで。
しかし、それでも初志貫徹で追求し続けました。
そして、15年もの間、町の本屋として今でも愛されるお店を続けておられるのです。
【差別化】大きな本屋にはできないことを追求
店主とのお話の中でよく耳にした言葉、「大きな本屋さんにできないこと」
これは、本質的に差別化が重要だというメッセージと受け取りました。
トリセツシマネの記事でも紹介しましたが、万人受けしない選書や雑誌もそうですし、個人的な関わりからつながった雑貨の数々。
大きな本屋さんにできないこと=個人を前面に出すことができないこと
とも言えます。
アルトスでは、店主夫妻の色がそのままお店に表現されているのです。
訪れたこの日は東京の木村硝子店の展示販売の企画が行われていました。
店主が足繁く通う東京とのつながりから生まれた企画。
そんな店主の発信に共鳴する方が多くおられます。
取材している2時間の間にも、企画展目的のお客様が2組来店していました。
大手や競合ができないことは何か?
アルトスの戦略から、自分のことを振り返ってみました。
将来、個人事業として旗を立てるのに、何が必要なのか?と。
それはやはり、「大手や競合ができないことは何か」と追求し続ける姿勢だと実感しました。
同じことをやったところで、資本力やブランド力に負けてしまう。
だとしたら、自分の個性を存分に発揮して、ニッチな層に深く刺さる商品を提供することこそ、個人が生きる道なのだと。
これは今、トリセツシマネというメディアを運営していて感じています。
企業が運営する大手メディアには情報量や取材力で勝てるわけはない。
でも、その中でも個人・あんでぃの伝えることに感じていただいているファンの方もいらっしゃる。
そんな方々に、あんでぃとしてのキャラクターをしっかり押し出して島根の情報を提供し続けること。
それこそ、今の私にしかできないことだ、と思ったのです。
小さな個人だからこそできること
個人ビジネスや個人でメディアを運営されている方は、一度立ち止まって考えてみるといいかもしれません。