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皆さん、ご存じですか? 「自爆営業」。聞き慣れない言葉ですね。

使用者が、労働者に対し、労働者の自由な意思に反して、商品・サービスを購入させる行為を指します。具体的には、事業者が売れ残った商品を従業員に購入を強要したり、ノルマを達成できない場合に自腹で契約を結ばせたりする行為です。 

私が若い頃、洋菓子販売店でアルバイトをしていた経験では、当日売れ残った生ケーキは全て当日中に処分していました(今でいうフードロス……というか、時々残った生ケーキをもらって帰りました)。もったいないし、損失も大きいのですが、お客様に毎日新鮮な生ケーキをお届けするためには仕方のないことでした。 

店長は、明日はどれぐらい売れるか、季節、天気、近くで行われるコンサートの入場客数・層などを勘により予測した上で、当日仕入れる生ケーキの入荷量を決断していました。この予測が外れ、生ケーキが売れ残ると損失が大きくなります。利益率が10%、原価率が50%とすると、1個のケーキの売れ残りによって、5個販売した分に当たる利益が吹っ飛ぶことになります。在庫管理の重要性を感じました。世間では、店長が、損失を最小限に抑えるために、従業員に対して商品の購入を強要するケースがあるのですね。 

2024年6月21日に閣議決定された政府の規制改革実施計画によると、厚生労働省は、「自爆営業」をパワハラ防止指針に明記する方向です。職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるものという3要素を満たすと、パワハラに該当する可能性が高くなります。 

厚生労働省は、「自爆営業」に関連して生じた労働問題の相談について、その件数や相談内容を業界別に整理した上で、当該業界に係る「自爆営業」の抑止に資するよう、必要に応じて、 当該業界等の風習や慣習の是正その他の自爆営業を抑止するための取組みを推進するとしています。事業者は在庫の売れ残りがないよう様々なデータや勘を駆使して、生産量や仕入れを工夫することが求められます。従業員に対するパワハラはご法度です。

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