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新型コロナ終息後、円安を背景に訪日外国人旅行者数が過去最高を更新。「観光立国」が目指すは今後年率+8.5%の増加

(出所)JNTO日本政府観光局「訪日外客数・年間推計値」(2025年1月15日発表)

JNTO日本政府観光局が、年間推計値として、2024年の年間の訪日外国人の人数を発表しました。一番上の図表をみると、2024年には3,687万人が日本を訪れ、前年比でみると+47%の増加、新型コロナ感染症前の2019年と比べると+16%の増加となりました。2019年が3,188万人でこれまでの最高でしたので、それを500万人も上回り、年間ベースで過去最高を更新しました。

二番目の図表で、2024年の訪日外国人の人数を主な国別でみると、中国が減少しましたが、韓国、台湾、香港、米国、その他の国々が増加しました。その他の国々では、東南アジ ア、ヨーロッパの国々、オーストラリア、中東の国々の増加が目立っています。

訪日外国人の人数が増加した要因は、コロナ禍によるパンデミックの影響が徐々に終息し、海外旅行に対する規制が緩和されたことです。また、外国人からみれば、円安で旅行費用がかなり安くなったことが、日本への渡航を掻き立てる要因となっています。アメリカのコンデナスト社の調査で、日本が「世界で最も魅力的な国第1位」となっていることも大きな要因ではないかと思われます。この間、高額な商品やサービスを求める富裕層の訪日が目立っています。

政府は、訪日外国人旅行者数を大幅に増やし、「観光立国」としてさらなる発展を目指しています。2023年に策定された「第4次観光立国推進基本計画」では、3つの柱「持続可能な観光」「消費額拡 大」「地方誘客促進」を挙げています。

訪日外国人旅行者数の増加は、地域経済の活性化に繋がるとともに、日本の魅力が世界に発信され、国際的なイメージアップも図れます。また、異なる文化を持つ人々が交流することで、相互理解が深まり、国際社会への貢献にも繋がります。

政府が目指す具体的な目標としては、「2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人、訪日外国人の旅行消費額を15兆円」とすることを掲げています。

2024年実績3,687万人⇒2030年目標6000万人を達するには、今後、訪日外国人旅行者数が年率+8.5%の増加が最低必要となります。また、2023年実績5兆3065億円⇒2030年目標15兆円ですので、今後、訪日外国人の旅行消費額が年率+16.1%の増加が最低必要となります。

この目標を達成のために、政府は、空港や宿泊施設など、インバウンドに対応するための施設の整備を進めています。高額なツアーや高級ホテルへの誘致など観光の高付加価値化を図り、一人当たりの消費額を増やす取り組みも進めています。また、観光案内やウェブサイトの多言語化を進め、外国人観光客が日本をより快適に楽しめる環境を整えています。大都市だけでなく、地方の魅力的な観光資源を発掘し、外国人観光客を誘致することで、観光産業の雇用創出等の地域経済の活性化を図っています。

一方、過度な外国人観光客の増加は、観光資源の劣化や地域の負担増に繋がります。今後は、地域住民と外国人観光客が共存できる環境づくりもより必要となるでしょう。


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