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長年の勤務ご苦労さまでした。退職金の税負担は抑えられています。退職後の老後の生活費として大切に。

(出所)国税庁HP「退職金と税」

退職の日を迎えていただけるのが退職金です。退職金は、一時的な大きな収入ですが、その実態は長期間に亘る労働の成果です。長年の勤労に対する報償という意味合いを持ち、老後の生活資金として考慮されています。

退職後の老後の生活を支援する目的がある中で、退職金に対して、通常の給与所得と同じ税負担をかけると過大な負担になってしまうため、退職所得には、3つの税制上の優遇措置が取られています。

一つは、他の所得とは別に課税される「分離課税」という仕組みが適用されます。

二つ目は、課税対象となる金額は、退職金から退職所得控除額を差し引きますが、この金額が大きくなっています。勤続年数に応じた一定額が控除され、課税対象額を大幅に減らします。退職所得控除額は、勤続年数20年以下の場合、40万円×勤続年数、20年超の場合、800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。

最近は、早期退職での転職に加えて、若い人の転職が多くなり、転職サイトが人気を呼んでいます。一つの会社で勤め上げる人は、昭和時代の遺物のようになってきました。でも、長年、会社を支えてきた人の功績は大きく、税制上も優遇されています。

三つ目は、退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の2分の1が課税退職所得金額となります。

上の図表は、勤続30年勤務した人が、定年退職金として2,500万円を受け取った場合の税金です。退職所得は、分離課税で、退職金から退職所得控除額を控除した上で、その額の2分の1が、課税退職所得金額になります。これに超過累進税率をかけて所得税額を算出します。順を追って、計算を辿ってください。最終的には、所得税と復興特別所得税で約58万円となります。

これに地方税を加えます。地方税は課税退職所得金額×10%なので50万円になります。合計すると、退職金にかかる税金は約108万円となります。税金は、退職金の4.3%に抑えられています。税引後の手取りの退職金は、約2,392万円です。

なお、退職金の受け取りに当たって、忘れてはいけないものがあります。「退職所得の受給に関する申告書」です。退職金の支払を受ける時までに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出している人は、上記の計算に従って、源泉徴収だけで所得税等の課税関係が終了します。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない方は、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税等が源泉徴収されてしまいますので、確定申告を行って精算してください。また、提出していても、医療費控除や寄附金控除の適用を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合は、確定申告書に退職所得の金額を記載する必要があります。

 

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