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株式投資で重視される指標PERとPBRを知ろう。東証プライム上場企業でPBR1倍未満は45%、欧米企業比かなり劣位。

個別企業に株式投資を行う場合、確認すべき指標に、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。個別企業の株価が割安か割高かを判断するために用いられる代表的な指標です。

PER(株価収益率)は、Price Earnings Ratioの略称です。個別企業の利益に対して株価がどの程度評価されているかを示す指標です。PERは、1株当たりの純利益の何倍の株価を付けているかという倍率を表しています。一般的に、PERが低いほど株価は割安、高いほど割高と判断されます。赤字決算の場合はPERは算出できません。業種や企業の成長性によって適切なPERの水準は異なります。

PER= 株価 ÷ 1株あたりの当期純利益(当期純利益÷発行済み株式数)

例えば、A社、B社の1株当たりの純利益が同じ100円で、その時の株価が、
A社120円、B社200円とすると、PERはA社1.2倍、B社2.0倍となります。株価は、相対的にA社の方が割安、B社の方が割高となっています。

PBR(株価純資産倍率)は、Price Book value Ratioの略称です。個別企業の純資産に対して株価がどの程度評価されているかを示す指標です。PBRは、1株当たりの純資産の何倍の株価を付けているかという倍率を表しています。一般的に、PBRが1倍割れの場合は、解散価値(その会社を解散したときに残る価値)より株価が低いことを意味しますので、PBRが1倍より低いほど株価は割安、高いほど割高と判断されます。個別企業の資産に含み損を抱えている場合、PBRが低くても割安とは限りません。業種や企業の保有する資産によって適切なPBRの水準は異なります。

PBR= 株価 ÷ 1株あたりの純資産(純資産 ÷ 発行済み株式数)

例えば、A社の株価が1,200円、1株あたり純資産が800円とすると、PBRは 1.5倍となります。株価が1株あたり純資産に対して1.5倍の評価を受けていることを示します。
B社の株価が1,600円、1株あたり純資産が2,000円とすると、PBRは0.8倍となります。株価が1株あたり純資産を下回っていることを示します。B社の株価は1倍を下回っているため割安、A社の株価は割高となります。

PERとPBRの使い分けですが、PERは、企業の収益力に着目した指標ですので、成長性の高い企業や業績が安定している企業の評価に適しています。PBRは、企業の資産価値に着目した指標ですので、資産を多く保有する企業や業績が安定している企業の評価に適しています。

日本経済新聞朝刊のマーケットデータのページに投資指標が掲載されています。2025年2月21日終値でみると、
東証プライム全銘柄では、PER14.92倍、PBR1.32倍、
東証スタンダード全銘柄では、PER14.09倍、PBR1.02倍、
東証グロース全銘柄では、PER39.38倍、PBR3.27倍、となっています。

平均的にはこうした数字ですが、日本の大企業をみると、PBRが1倍を割る企業が少なくありません。PBRが1倍未満になると、株価が1株あたり純資産を下回る状態になります。会社を解散したほうが株主にとって得られる利益が大きく、株主が会社の事業活動を評価していないことを意味しています。

東京証券取引所が、2023年3月31日、東証プライム市場、スタンダード市場に上場している全企業に対して、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表しました。東証プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場企業がROE8%未満、PER1倍割れと、資本収益性や成長性といった観点で課題があり、単に損益計算書上の売上や利益水準を意識するだけでなく、バランスシートをベースとする資本コストや資本収益性を意識した経営を実践するよう異例の要請を行いました。

にもかかわらず、日本経済新聞によると、PBR1倍超えの企業数は、1年前は東証プライム市場で974社でしたが、2025年2月21日時点で896社に減少しています。

また、QUICK・ファクトセットによると、現在、PBRが1倍を下回っているのは、日本では東証プライム上場企業の45%に達しています。一方、米国の代表的な企業(S&P500種株価指数の構成企業)で1倍に満たないのは僅か3%、欧州の代表的な企業(ストックス600の構成企業)でも17%にとどまっているようです。



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