
お役所的な固い名称の「教育訓練給付制度」を活用して、自分の可能性を広げてみては如何でしょうか。




厚生労働省では、雇用保険の中に人材開発を目的とした「教育訓練給付制度」を設けています。お役所的な固い名称ですが、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とするものです。厚生労働大臣が指定する講座を受講して修了した際に、受講費用の一部が支給されます。
この制度は、制度自体が年々拡充され、対象講座も16,000講座まで拡大しています。給付金の対象となる教育訓練は、そのレベル等に応じて、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があります。
「専門実践教育訓練」は、働く方の「中長期的キャリア形成」を目指しています。一番上の図表の赤色の部分で、業務独占資格の取得を目標とする講座、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院などが対象です。最大で受講費用の80%の給付金が支給されます。上の図表のように、2023年度には98千人の人が計144億円を受給しました。
さらに、失業状態にある方が初めて「専門実践教育訓練」を受講する場合、「教育訓練支援給付金」として、一定の要件を満たせば、雇用保険の基本手当の日額の80%(2025年4月以降は60%)に相当する額をハローワークから支給されます。2023年度には 41千人が計97億円を受給しています。
「特定一般教育訓練」は、働く方の「速やかな再就職及び早期のキャリア形成」を目指しています。一番上の図表の緑色の部分で、受講費用の50%が訓練修了後に支給されます。最も新しい制度なので、受給者数も受給額もまだ僅かです。
「専門実践教育訓練」または「特定一般教育訓練」を受講予定の人は、キャリアコンサルタントから、就業に関する目標その他職業能力の開発及び向上に関する事項について、訓練前キャリアコンサルティングを受ける必要があります。
最も伝統のある「一般教育訓練」は、「雇用の安定・就職の促進」が目的です。一番上の図表の紫色の部分で、受講費用の20%が訓練修了後に支給されます。上の図表のように、2023年度には76千人の人が計30億円を受給しました。
政府の2025年度予算案では、多様な働き方を支援するため、さらに制度が拡大されます。2025年10月に新たに「教育訓練休暇給付金」を設ける予定です。どこかの会社に在職中に教育訓練を受けるために、無給の休暇を取得した人に対して、基本手当に相当する金額を支給するものです。
具体的な講座は、厚生労働省の教育訓練給付制度[検索システム]で検索できます。資格の学校から専門学校、有名大学の大学院まで実に多彩です。通学、通信、eラーニング、夜間、土日など、皆さんのニーズにあった講座がみつかると思います。
自分の可能性をもっと広げたい人、キャリアアップを考えている人、資格への挑戦・取得を目指している人、転職を考えている人は、利用してみては如何でしょうか。