柔術教則レビュー「橋本知之 蹲踞(そんきょ)ベースシステム」(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。今日は教則のレビュー。蹲踞ベースを身に付けたい方、トップのパスを体系的(システマチック)に身に付けたい方にオススメの教則です。
橋本 知之選手の紹介
内容紹介 (フローチャート)
蹲踞ベースとは相撲の仕切りの姿勢です。上体を起こしたヤンキー座りみたいな感じです。世界王者のハファエルメンデスやマイキームスメシも使っています。ディフェンスもオフェンスも備えたベースです。
フローチャートの量が膨大になっていますが、後半は組み合わせるのがほとんどなので安心してください。見てみると思ったほど覚えることは多くありません。やることたくさんありすぎて混乱することはなく、むしろ見るとトップでのやることが整理されます。
パスは組み合わせること(体系的、システム、系統的、連携)が大事
スプラッシュ代表の木部亮先生の言葉に「シチュエーションによって使う技は変わると思うので、どれが一番というのはありません。その時々で一番適している技を選択するのが大事だと思っています。その意味では本作品でひとつのテクニックと捉えても良いのかもしれませんね。」というのがあります。
パスは単独ではなく組み合わせることが大切です。枝葉だけでなく幹を作るイメージ。(枝葉のディティールが重要ではないという意味ではない。どっちも大事)
この蹲踞ベースシステムでは、パスを体系的にシステムとして学ぶことができます。
ガードリテンションのコンセプト・メリット(なぜ蹲踞ベースなのか)
コンセプト
前提
教則内でも橋本選手がいっていますが、相手に襟や袖を引かれておらずトップが両足を持てていたら蹲踞ベースは必要ありません。片袖片襟やスパイダーで引かれているときに使います。
コンセプト
教則を見て、自分の考える蹲踞ベースのコンセプトは
「組手争いに自分の膝を参加させる」
例えば立ち膝ベース(正座ベース)の場合、自分は手2本で相手は手足4本で2対4で組手争いをするのでかなり不利になります。蹲踞ベースをとることで自分の両ひざを使えるので4対4の勝負にすることができます。正座ベースは自分と相手の間に足がないので簡単に前にあおられますし、クローズドにも簡単に入れられます。
蹲踞ベースは重心が低く安定しており、自分の膝を堤防にして相手のアタックをブロックできる、膝を使って攻めることもできる、必要なら立って横にステップもできる。攻守にバランスの優れたベースです。
ちなみにスタンドのベースもいいベースで機動力に優れています。しかしデラヒーバフックを作られやすいです。蹲踞ベースはかかととおしりがくっついているのでフックが入りません。そしてどちらかというとフィジカルが強い人の方がスタンドベースは有利です。背筋や下半身、腕力に自信がない人にも蹲踞ベースはおすすめです。
メリット
デメリット
向いている人
余談ですが、足首が固い人でも蹲踞ベースは可能です。自分も足首は固いですが使えてます。機動力をあげるためにかかとはあげているので足首は固くても問題ないです。
有効な相手
相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
教則内のテクニックだけでも組み合わせとしてかなり強いパスシステムが出来上がりますが、こちらも合わせて覚えておくといいです。
使ってみた感想
元々蹲踞ベースは使っていましたが、ガード解除のディティールやパスのバリエーション、組み合わせ方を知れたのでスパーでのパスの精度が上がりました。バリエーションが増えたことで今まではひとつのパスに固執して力勝負になっていた部分を、いろんなパスを組み合わせてテクニックでパスできるようになりました。スパーでパスするとき以前よりもスタミナの消費が減ったので、フィジカル頼みでなくテクニックで効率よく力を使えていると思います
他の人が使っていた感想としては「バランスが悪くて不安定ですぐ横に倒される」というものが多かったです。これについては、「自分一人でバランスをとるのではなく相手の襟袖を引く力や自分の襟グリップを利用してバランスをとる」で解決できると思います。文章だと難しいのですが「相手の引くグリップにぶら下がる、相手の襟にぶら下がる」イメージです。自分と相手がグリップを離したら尻餅をついてしまうくらいのイメージで重心を落とすと、バランスをとれてなおかつ相手の引く力にこちらの体重で対抗できます。
個人的に好きなテクニック
レッグハグ(肩でとるレッグドラッグのような形)のテクニックが面白かったです。脇でとる通常のレッグドラッグは強力ですが形に入るのが難しいです。ライイングレッグドラッグもかなり低く入らないといけないのでなかなか取れないことが多かったのですが、このレッグハグなら入りやすく強力です。そこから、かついでパスしたり、レッグドラッグに作り直したり、クラブライドに移行したり、拡張性の高いのもお気に入りです。
クロスグリップを裾グリップではなくCグリップで作るのも強力で、スパーでかなり決まりました。ただ切られやすいので教則でディティールを何度も確認しました。
まとめ
パスをシステム(体系的な技術)として身に付けるためにこの教則はうってつけです。のトップで何をしていいか分からない白帯から、パスの精度を上げたい中級者、ディティールを詰めたい上級者、指導をするインストラクターまであらゆる人にとって学びの多い教則だと思います!
2023/12/23 アンディ
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