(全文無料)柔術教則レビュー「木部亮 デラヒーバガードの基本原則」~ガードの幹を太くする教則~
今日も今日とて柔術は楽しい。今日は教則のレビュー。
本記事内では、デラヒーバをデラと記載します。また、右手左手などの記載は教則に合わせて相手の右足に絡むデラを想定してします。
1.選手の紹介
まず最初に木部先生の紹介。これを読む方はご存知の方も多いと思いますが改めて。
愛知県岡崎市の格闘技ジムスプラッシュ代表。
プロMMA選手として活躍、DEEPのタイトルマッチも経験。
柔術でも国内外の大会で多数入賞、プロ柔術興行にも参戦しており、その実力は折り紙つき。
詳細はこちら → https://ns-splash.com/staff/kibeakira/
また、木部先生のyoutubeチャンネルのテクニック紹介動画は分かりやすく人気。私もよく見てます。
研究熱心で海外の教則も見てられており、今回の教則はマイキー・ムスメシ選手のものを参考にしたとのこと。
私は名古屋で格闘技をしておりましたが、
名古屋の格闘技をやっている人の間でも木部先生の技術の高さは評判でした。私自身も木部先生から指導を受けていましたが、インストラクションが非常にわかりやすく、教えてもらった技術は今も使っているものが多いです。
また、東海地方のMMA大会やキッズ大会なども主催されており、中部地方の格闘技の発展に大きく貢献されています。
そんな木部先生のデラヒーバガードの教則がついに発売。発売当日に購入しました!
2.内容紹介 (フローチャート)
チャプター数は多いですが1本あたり2~4分で短めで見やすいです。トータルでも約1時間半程度にまとまっています。
構成は
0-5:イントロ、基本原則
6-11:襟持ちデラヒーバ
12-20:腰持ちデラヒーバ
21-27:相手のリアクションへの対処
28-30:倒した後のベリンボロ、アウトロ
シンプルに言えば「いかに相手に尻もちをつけさせるか」の内容です。相手の対処に合わせて細かく解説しています。
デラの多彩なスイープを紹介する教則ではありません。でも確実に見る人のデラの土台(基本原則)を厚くしてくれます。
3.コンセプト 「木部亮 デラヒーバガードの基本原則」のコンセプト・メリット(なぜ「基本原則」なのか)
コンセプト
自分が読んで感じた本教則のコンセプトは
「ガードの幹(基本原則)が何より大事」
「枝葉のテクニックは幹あってこそ」
です。(「枝葉のテクニック」というのは「小手先のテクニック」という意味ではありません)
デラは拡張性の高く、多彩なアタックや他のガードへ移行が可能です。でもどのアタックも幹となる部分ができていないとうまくいきません。
「クラスで習ったデラのテクニックを試そうとしたけどスパーで簡単につぶされた」経験は誰もがあるでしょう。私もかっこいいデラのアタックを習って意気揚々とスパーで試そうとして膝で割られて簡単にパスされました。
また、ベリンボロをダブルガードから打ち込みしても、実戦は相手が立っているので「そもそもダブルガードの形にできないよ、どうやって尻もちつかせたらいいんだ?」となった経験がある人も多いと思います。
そんな人にとって、この教則で学ぶ基本原則は何よりも大事な技術だと思います。枝葉となる多彩なデラのテクニックをやるための、幹(基本原則)を太くしてくれるのがこの教則です。また、メインアタックとなる尻もちをつけるスイープも相手の重心やリアクションに合わせて多数のバリエーションを紹介しています。
本教則で紹介しているアタックは、基本的に尻もちをつけさせるアタックのみですが、この教則で基本原則を学ぶことでそのほかのアタックのレベルも上がることは間違いありません。幹が太くなれば枝葉も立派になります。
メリット
デメリット
4.向いている人
向き不向きはあるけど、だれでもできる
足のサイズが大きくてフックが強い人や柔軟性があってベリンボロなどのモダンな動きが得意な人が向いているといえば向いていますが、基本原則さえおさえれば誰でも使えるのがデラヒーバガードです。
なぜならイントロで話していたように、木部先生は以前はハーフガーダーでデラヒーバを苦手としていました。また、木部先生は足のサイズも大きくありません。そんな木部先生が黒帯の試合でも有効にデラを使いこなしています。足の小さい選手や体の固いマスター世代にとって希望になりますね。
生粋のデラ使いではなかった木部先生だからこそ、この教則のテクニックに説得力が生まれます。
自分の道場のデラ使いの人を見て「俺には無理だ、あの人だからできるんだよ」と自分にはデラは向いていないとあきらめてしまっている人にこそ、この「木部亮 デラヒーバの基本原則」を見てほしいです。
5.有効な相手
デラは強力なので形に入ればどんな相手でも有効です。
強いて言うなら超重量級などはやめた方がいいかもしれません。体重が20キロ以上重い相手やデラフックができないくらい足が太い相手だとさすがに厳しいです。超重量級相手には両足の足裏を相手に当てて距離をしっかり作れるガードがいいです。
6.相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
7.使ってみた感想
自身はプライベートレッスンもお願いたことがあるので、それも合わせての感想になります。
今までのデラヒーバはなんだったんだ
今までデラフックで相手の右足をコントロールできていなかったことが分かりました。デラフックの膝の位置や角度、かけ方の基本原則ができておらず膝で割られて簡単にパスされていました。しかし木部先生のデラヒーバのテクニックを使うと相手の右足の膝をコントロールできるので、相手はアタックできずこちらはアタックができる強い形が作れるようになりました。相手の膝が力の入らない方向へ向くようコントロールできます。
ベリンボロに入れる!
「ベリンボロがやりたいんだ。俺は。」と意気込んで動画を見たりプライベートレッスンを受けたり、打ち込みをしてそれなりに形にはなったものの実際のスパーでデラをやってもベリンボロに入る前にやられてしまいました。尻もちをそもそもつけさせられないのです。
しかし、デラの基本原則と基本のスイープができるようになるとベリンボロに入れるようになります。
また、ベリンボロを嫌がる相手にスイープを取れたり、ベイビーボロでバックを取れたりするようになって結果的にベリンボロだけでなく他のアタックもできるようになりました。
8.個人的に好きなテクニック
01~05の基本原則
最初チャプター1-5だけでもお金を払う価値があります。デラフックのかけ方、角度を間違えて覚えている人が多いです。(自分も含めて)
「04.相手の襟を取る位置と手の使い方」が自分にはすごいしっくりきました。襟を「まっすぐ引く」以外の使い方をしてませんでしたが、持ち方と崩しの方向のディティールがすごい!
06-11の相手の重心に合わせたのスイープ
教則内の木部先生の「(相手がどの重心をとるかを)こちらは選べません、相手がどの重心を取っているかを把握することが大事です」という言葉がとても心に残っています。特に「10.スイープ④ 重心が左脚 左方向への崩し方と膝を挟むサイドスイープ」は目からうろこでした。相手の重心が左にあるときに無理に逆に返してもうまくいかないですが、このテクニックを使えばできることが分かりました。実際打ち込みで試したら本当に返りました。おしりの位置をスイッチする動きがいいです。
13のスイープかバックか 相手の向きで決まる
腰持ちデラヒーバのアタックの指針になりました。なんとなく流れでアタックしていましたが、今後は崩しをしっかりしてその後のアタックは相手に決めさせます。
21.22.の後ろ脚を取られたときの対処
21-27の相手のリアクションに対する対処がめちゃくちゃ使える「よくある質問 Q&A」って感じです。本当に「これやられる!」の対策が収録されていてありがたいです。自分は後ろ脚をコントロールされてやられることが多かったので21.22.が特に参考になりました。
9.まとめ
デラをイチから学びたい方、使っているけど基本的な部分を取りこぼしてしまった方、自分にはデラは向いてないとあきらめてしまっている方、ベリンボロをやりたい方、デラを作ってもすぐに解除されてしまう方、指導でデラをうまく伝えたい方、あらゆる人にとって、オススメの教則です!
この教則で幹を太くしてより強いデラヒーバガードシステムを構築してください!
2024/5/21 アンディ
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