試合のコンディションの話。最高のコンディションを作るピーキングと悪いコンディションでも動けること(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。今日はコンディションの話。
以前、加古拓渡先生が海外の試合の経験を経て作りこんだアップをするのをやめた話をされていたり、松本一郎先生がルーティンをやめた話や疲れていても動けるようにするという話をされていて、自分が大きく影響を受けたのでそこらへんの考えをまとめました。
1.ピーキングとは
要は試合に向けてコンディションを整えること。
基本はテーパーリング(テーパーtaper:先に向かって細くなっていくこと)。試合前は練習量を減らして疲労を抜きます。
ピーキング≒テーパーリング と言っても過言ではないでしょう。いやちょっと過言かもしれません
ピーキング=テーパリング(練習量の調整)と食事と睡眠休養。
ですかね
カーボローディング(グリコーゲンローディング)はマラソン選手などがやりますが、試合の近い時期に糖質をガンガン摂って体内にエネルギー源のグリコーゲンを貯めることです。
格闘技など階級制競技は減量があるので体重を減らしつつ疲労を抜いたりケガしないように練習したりと工夫が必要です。カロリーを不足させて痩せる(飢餓状態にある)のに、疲労を抜いてコンディションをよくしようとするって矛盾してますからね
ピーキングは個人差があるので、自分で試しながらやるしかないです。
ちょっと脱線。アンディのテーパーリング
自分はわりと前日まで練習します。ガチスパはやらないですが道着に触れてスパーをする柔術の感覚を残しといた方が動ける気がするので。自分のテーパーリングは練習強度を落として高強度の筋トレをやめるカンジです。
この①②をてんびんにかけて練習量を決めます。例えば試合前1週間全く練習しないのはある人にとっては疲労が抜けてフレッシュに動けますが、別の人は動きが悪くなるかもしれません。
なんにせよ、試合に向けてピーキングをして良いコンディションを作るのがスポーツの基本です。
2.ルーティン
わりと市民権を得てきたこの言葉。マイルールを決めてそれをこなすことで集中力を上げることです。勝負飯、身に付けるもの、動作、アップ等、いろいろあります。
がっちりやる人は、朝飯はこれ、試合の日の服はこれ、会場についたらまずはこのアップメニューをこなして、待機スペースではこの音楽を聞いて、、みたいにやる人もいます。
集中力を上げるテクニックとして有効です。
ピーキングやルーティンは良いコンディションを作るための手段として有効です。極端な話を言えば、前日に夜更かしして酒をガンガン飲んでたらなかなか勝てないでしょう。
良いコンディション作りは大事。でもそれだけじゃないよって話を以下していきます。
3.試合で必ずしもベストのコンディションを作れるとは限らない
最高のコンディションが作れたらベストですが、ピーキングやルーティンをしても試合で毎回万全の状態を作れるとは限りません。当日の朝、事故で遅刻しそうになることもあるし、前日に急な仕事で睡眠不足になることもあるし、慣れない土地の会場でルーティーンをこなせないこともあります。
とくに海外の試合ではトラブルも多いです。
そんなとき「今日はコンディションが悪いから」といってられません。
そして何より柔術はトーナメントで一日に数試合こなすことがほとんどですし、試合時間もこちらでは決められません。遠方で朝イチの試合になることもあるし、2~3試合やって疲労困憊で決勝を戦うこともあります。
4.ルーティンは作りこみすぎない
あまり複雑なルーティンを作らない方がいいです。10分以上かかるアップや試合前必ず食べたいものなどは、急に試合が早まったりトラブルで会場に着くのがギリギリになったり、会場近くにコンビニがなかったりしたらそのルーティンはこなせません。
作りこみすぎると、ルーティンから外れることがストレスになってしまいます。「今日はいつも食べてるおにぎりが売ってなかったからコンディションが悪くて負けた」とかダサすぎです。
いつでも、どこでも、短時間でできるものの方が望ましいです。もしくはルーティーンやゲン担ぎは一切やらないというのも手です。いつもと同じようにこなすことだけ意識して試合前日や当日に特別なことをしない、というのも良いと思います。
5.クソみたいな日にいいもんつくるのがプロだ
またもや漫画「左ききのエレン」のセリフ。主人公光一の上司がいったセリフです。
仕事の佳境、徹夜続きで、営業のミスで仕事が増え、頭も痛くて眠い状態。「こんな状況がなけりゃもっといいもん作れるのに」という主人公に対して上司の神谷さんは
しびれます。
6.悪いコンディションでも動けるように
こんな状況でも勝てる選手が強い選手です。パウロミヤオは足折れてもタップしないでそのあとの試合も普通に勝ちました。(いや、これはさすがに異常ですね・・・一般の柔術家はタップしましょう。サラリーマン格闘家は無事に家に帰るまでが試合です)
悪いコンディションで動けるための練習
金メダリストでその後MMA選手に転向した石井慧選手は練習量が異常で、どんなに疲れていても練習していたそうです。疲れたときでも動けるように、コンディションが悪いときでも一定以上のパフォーマンスが発揮できるように。
なので、悪いコンディションでも動けるようになるには、疲れていても練習しましょう。シンプルに。
もちろんケガのリスクは上がりますし、集中できない練習はよくないですし、休養も大事です。でも悪いコンディションでも動けるようになるには悪いコンディションでの柔術をたくさん練習するしかありません。
疲れた状態でも成功させられる技というのを持っておく
具体的には、疲れていて速いステップパスが踏めないとき、反応がいまいちでスクランブルの攻防で取り切れないとき、そんなときでも試合を作れるようにプレッシャー系のパスで相手を削ったり、瞬発力に頼らない固定力の強いガードで戦ったりなどです。
もしくは疲れていてもそれなりのクオリティのステップパスができるようにしたり、疲れていてもスクランブルの攻防を勝ちきれるようにするか。
どちらにせよ疲れた状態でも成功させられる技というのを持っておくことが大事です。
7.まとめ
良いコンディションを作るために試合前のピーキングは最善を尽くす、当日はどんなコンディションであれその日のベストのパフォーマンスを出す。
長くなりましたが、伝えたいのはこれだけです。読んでいただきありがとうございました。
2024/9/20 アンディ
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