本質を学ぶ勉強方法。柔術への応用(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。
最初に。質問です
もし教則を3本買うとしたら、どんなふうに買いますか?
以下のパターンならどちらが良いと思いますか?
AとB、どちらが正解ということはありません。でも、この質問をされると、教則の見方を考えるきっかけになると思います。
1.本質を学ぶ勉強方法
大学生の頃、ゼミの先生に教えてもらった勉強法で今も使っているものがあります。それは
「一つの分野について学ぶとき、複数の本を読むこと」
です。
例えばコーチングのことを学ぶならその本を数冊、アンガーマネージメントなら、整頓術なら、株のやり方なら、といったカンジです。
よく聞くのは「何冊も本や参考書に手を出して最後までやり切れなくなってしまうのはよくない。『これだ』という一冊をやりこむのが良い」というものです。確かにこれも正しいです。
1-1 1冊を読み込む勉強法の欠点
この勉強法も非常に有効です。とくに受験勉強などでは何冊も参考書を解くよりも1冊を完璧にやったほうが学力が伸びます。これは自身の経験でも受験の指導をしてきた人の意見でも同様です。だって1冊一通り解いても、もう一回同じ問題集を解いて全問正解できませんからね。
でもこれには欠点があります。
「やってる参考書が良くないもの、もしくは自分に合わないものだった場合、その1冊をやりこんでも効率が悪い」ということです。
受験勉強の科目はあるていど成熟している分野なので情報も出回っていて質の良い参考書やテキストがある程度分かるのでそれをやれば伸びます。
でも、一般的な勉強や成熟していない分野の勉強をするときは手に取った本が質が良いものかどうか分かりません。
また、成熟してない分野ほど「これ1冊で完璧 〇〇完全ガイド」みたいな本がよく出ます。それ1冊で完結させるのはややリスキーです。コストは抑えられるかもしれないですが。
1-2 複数の本を読む勉強法のメリット
複数の本を読むスタイルのメリットは主に3つ
①質の良い本に当たる可能性が上がる
→例えば「あなたはこの分野の勉強で1冊しか本を読めません」と言われて、もし選んだ本がハズレだったら。。。
②各本で重複している内容は本質であると分かる
→本によって書くことは違います。でもだいたいどの本でも重複して書いてある部分があります。それがその分野の本質であることが多いです。
「同じこと書いてあるなら意味ないじゃん。他の本で書いてない新しい情報を読みたいのに」
と知っていることが書いてあると損したような気になることがありますが、むしろ逆、ある本で書いてあることが別の本でも書いてあるのならそれはかなり重要なこと=本質であることが多いです。
その本の中で「重要だ」と言っていてもそれは著者の主観だったりしますが、他の本でも同じことが書いてあればそれは本当に重要なことがほとんどです。
例えば、コーチングの本を3冊読んだら3冊とも違う内容が書いてあると思いますが、おそらく「プレイヤーとの信頼関係が大事だ」など、どの本でも同じような内容が書いてあります。そしたらその重複する部分がコーチングにおける本質であることが多いです。
③いろんな著者の意見を読むことで理解が深まる
本によって考えや方法論が違ったり、同じ主張でも書き方が違ったり、目的は同じでも手段が違ったり、ということがあります。
それを複数触れることで理解が深まります。視野が広がります。1冊だけだと偏った思考や偏った知識になる可能性があります。
そして単純に知識量が増えます。
2.柔術を学ぶ上での応用
一つのガード(技、パス、ポジション)を学ぶとき、複数のインストラクターの動画や教則を見るといいです。
もちろん1つの教則を何周も見るのも大事です。一通り見ただけでその教則を理解できることはほとんどありません。(上級者が初心者向けの教則を見る場合は1周で理解できることもあります)
ただ、柔術の教則や動画も先ほど書いた勉強法と同様に、1つの動画や教則を読み込もうと思ってもそれが自分のスタイルや体格に合わなかったり、自分のレベルに合わなかった場合、かなり非効率な勉強法になります。
柔術の動画を複数見るメリット
本の読み方とほとんど同じです。
①質の良い動画(教則、テクニック)に当たる可能性が上がる
→動画や教則は国内外含めて大量にあります。1つに狙い撃ちするより複数見れば自分に合うもの、傑作にあたる可能性が上がります。
もし、「これだ」と決めた教則が自分に合わないモノだったり、あまり本質的なことを学べない動画だったら成長にブレーキがかかります
②別の動画で同じことを言っていたら、その内容は本質
→これがこの記事で一番書きたかったこと。柔術では先生によっていうことが違います。それはどっちかの先生の言うことが間違っているということではなく、柔術の絶対的な正解はない、ということです。
でも動画を何本も見ると複数のインストラクターが同じことを言っていることがあります。それは本質であることが多いです。
インストラクターによって別のことを言っている部分は「人によって合う合わないがあるテクニック」のことが多いです。流派みたいなイメージ。そのやり方のメリットデメリットがあってそれを加味して自分に合うものを選びます
<例:クロスニーの動画を複数見たら>
本質=どの動画でもみんな言っていること
・タイトにプレッシャーをかける
・相手の骨盤か肩を制する
流派=人によってやり方が違うテクニック
・襟を持つか、脇を差すか、骨盤を抑えるか
・足が抜けた後の処理
③いろんな著者の意見を読むことで理解が深まる
インストラクターによって考えや方法論が違ったり、本質的には同じことを言っていても伝え方が違ったり、目的は同じでも手段が違ったり(流派)、ということがあります。
いろんな先生の柔術哲学や方法論に触れることで理解が深まります。視野が広がります。そして単純にバリエーションや知識量も増えます。
1つの動画だけだと偏った思考や偏った知識になる可能性があります。それが自分に合わなかった場合は成長にブレーキがかかります
アンディの例
自分は今年は、クロスグリップ(対角の袖)ガードについて学びたかったので、YouTubeで何本も見て、教則も3本買いました。
もちろん各動画で重複している内容も多く、有料で買ったのに知っているテクニックがほとんどだった、というのもありました。でも同じ技でも微妙にディティールが違ったりしたので勉強になりました。
これが1つの動画だけ見て満足していたらクロスグリップガードの理解はそこまで深まらなかったと思います。実際に自分が使っている技はそこまで多くはなく見た動画のすべての技を身に付けたわけではないですが、使わなくとも自分の中で選択肢を持っておくと自分の柔術に深みが出ると感じます。
3.まとめ
1つの動画を読み込むのも大事。複数の動画を見るのも大事です。
いろんな動画や教則を見漁ってどれも身に付いていないような場合は「お前はたくさん見るよりもまずは1本の教則を何周も見直してその打ち込みをたくさんやれ」となります。でも必ずしも1本をやりこむのが正解とは限りません。
例えば、クローズドガードの知識を深めたい、となったらYouTubeで一つの動画だけ見て満足するのではなく、いろんな先生のクローズドガードを見てみましょう。そうするといろんな動画で重複している内容が必ずあります。その重複している部分がクローズドの本質であることが多いです。
教則でも1本を何周も見るのも大事ですが、別のインストラクターの同じガードの教則を見てみましょう。重複している部分があればそれが本質だと学べます。また、別のやり方(流派)を知れます、それがもし自分に合う内容であればめちゃくちゃお得です。
「同じテーマの教則を2本も買うなんて、内容が重複していたらもったいない」という意見も分かりますし、幅広く学ぶためにはいろんな分野の教則を見た方がいい場合もあります。
でも、何も考えずに「クローズドはもう一つ教則持ってるから買わなくていいかな」と切り捨ててしまうのはもったいないです。
教則や動画の見方を考える上で本記事が参考になればうれしいです。
2024/11/15 アンディ
余談ですが、初心者や白帯の方は教則を見てしっくりこない場合は自分のレベルに合っていない(レベルが高すぎる)ことが多いので、いったん見るのをやめて、別の動画を見るほうがいいと思います。見るのをやめた動画はしばらく寝かせて(数か月、場合によっては数年)から見ると理解できたりします。
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