”Don’t be a one-trick pony!” 得意技かオールラウンダーか (全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。
1.強い選手は2種類
トップ選手を見ると、だいたいその選手の代名詞的な技があります。もしくはなんでもできるか。
強い選手はだいたいこの二つです。今回は①の選手について書きます。
2.one-trick pony
one trick ponyは直訳すると「芸が一個しかない子馬」。転じて「取り柄が一つしかないこと」「一発屋」という意味です。柔術に限った話ではないですが、取り柄が一つだけというのは弱点になります。
3.必殺技を持つトップ選手はone-trick ponyではないのか?
とはいえ、試合では「この選手これしかやらないけど強いな・・」という選手を見たことがあるでしょう。それらの選手はone-trick ponyではないのか、ということについて書いていきます。
トップ選手の必殺技は
必殺技をどんな相手でもかけられる
=同じ技でもシチュエーションごとのいろんなバリエーションがある
というものだと思います。
例えば、三角絞めが得意な選手がいたとして、入れるバリエーションが「相手が膝をついてクローズドに入った時だけ」だとしたらそれは「one-trick pony」でしょう。
でも「相手が立っているときに頭を下げさせて入る」「相手が片膝の時にシントゥシンからの崩しで入る」「逆足が前の相手に対してスイープの崩しをかけてから入る」のように相手のリアクションや体制に合わせて使い分けることができればそれは「one-trick pony」ではないと思います。
柔道では、背負い投げを得意としていた古賀選手は3種類の入り方を持っていたそうです。
「分かっていてもやられてしまう」というのが必殺技です。
4.one-trick ponyの弱点
シンプルに「その形を作らせなければ勝てる」ので、ハマれば強いですが、その形に入れなかったら負けます。
「俺は黒帯からも〇〇で一本取れたぜ」というのは素晴らしいのですが、それさえ警戒していたら白帯相手でも簡単にディフェンスをされてしまうような場合、その技にそこまでの価値はないと思います。
よくあるのは足関おじさん。トップからでもボトムからでもフットロックしか狙わない。実際それで誰からも一本を取れて大会も優勝しているのならそれが正解になります。でも実際は「この人、足抱えさせなければザルだな」となって終わることが多いです。そういった人は練習でも同じことしかしないので攻防が生まれなくていい練習ができないことが多いです。
5.まとめ。最後はバランス。でも最初はone-trick ponyでいい
結局のところ、「試合で勝率を上げるには得意技を持ちつつ、全体の技術の底上げも必要」というありきたりなまとめになります。
「全部できるけど得意技がある選手」になるために
ルートは二つ
結論から言うと②が良いです。白帯のころからすべてをうまくやるのは実質不可能です。
黒帯の選手も「白帯青帯の頃は〇〇しかできなかった。最初のうちは試合もそれで勝てたけど紫帯以降は△△もやるようになった」といった旨の話をしていることが多いです。
白帯青帯からたくさんの技に手を出しすぎると器用貧乏というか、どの技もしっかり身に付かないで使えない技コレクターみたいになってしまいます(それも後にその人の糧になることもある)
「白帯のうちはとりあえずしっくりくる技を一つ磨いていく」で良いと思います。壁を感じて別の技の必要性を感じたら新しい技を身に付ける、というのをその後繰り返していけば「全部できるけど得意技がある選手」になれると思います。
参考になれば幸いです。
2024/8/19 アンディ
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