柔術教則レビュー「橋本知之 スパイダーガードシステム 初級編」(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。今日は教則のレビュー。先日スパイダーガードシステム上級編を購入したので改めて初級編から見直そうというわけであります。改めて見たらいい教則だったのでレビューしました。
1.選手の紹介
橋本 知之選手
2.内容紹介 (フローチャート)
1-5がエントリー+ガードリテンション
6-7がガードコントロール
8-14がアタック
なんと教則の内容の半分がリテンションとガードコントロールです。でもそれが良い。なぜそれが良いのか以下書いていきます。
3.オープンガード習得は中級への登竜門
クローズドだけの初心者 → オープンガード習得へ
まず、なぜオープンガードを身に付ける必要があるのかについて書いていきます。
初心者がまず身に付けるのはクローズドガードでしょう。(なぜ初心者にクローズドガードがオススメなのか(全文無料)|柔術哲学(アンディ) (note.com))
クローズドガードはいいガードですがレベルが上がると簡単にクローズドガードに入れさせてもらえなくなります。ではどうするか。「なんとしてでもクローズドガードに入れる!」というのも一つの手段かもしれませんがそれよりもクローズドに入れないときのためにオープンガードを身に付けましょう。
そのオープンガード習得としてオススメなのがスパイダーガードです。初心者がスパイダーガードを習得するならこの教則はうってつけです。
4.なぜ最初のオープンガードにスパイダーがオススメなのか
4-1 ガードシステムの順序
ガードの順序は一番最初にディフェンス(ガードリテンション)が来ます。
ちなみにクローズドガードの場合は相手を閉じ込めているのでエントリーの時点でディフェンスの段階をクリアしています。なので一番最初に覚えるガードとしてクローズドは最適です。
多くのYouTubeやSNSのテクニック動画ではオープンガードのアタックを紹介していることが多いですが、それはディフェンスとガードコントロールができていることが前提になっています。なので、初心者がYouTubeで見た技を意気揚々とスパーで試そうとしてもうまくいかないのです。
初心者がオープンガード習得に苦労するのはここで、ディフェンス(ガードリテンション)ができていないのでアタックの前にパスされてしまいます。
オープンガード習得でまず覚えるべきはディフェンス(ガードリテンション)です。この教則ではそのガードリテンションをチャプター1-5で学べます。
さらに第二段階のガードコントロールもチャプター6-7で学べます。
本教則ではこの順番通りにテクニックを学ぶことができます。
4-2 スパイダーが最初のオープンガードにオススメの理由
クローズドの次に何を覚えるべきか。オープンガードと別にしてハーフガードは身に付けておくと便利です。攻め込まれたときの保険になるので。メインガードにもなります。でも今回はオープンガードの話なので置いておきます。
クローズドガードだけのスタイルからオープンガードを身に付ける際には
などの要素が必要だと考えます。これらを考えたときにラペラ系のガードや50/50は条件がほとんど当てはまらないので初心者には向いてないです。(というか固定(クローズ)しているからオープンガードではない?)
スパイダーと片袖片襟はシンプルかつ強力で最初に覚えるガードとして良いと思います。エントリーしやすくて足裏を当てて相手をコントロールするガードで、オープンガードの相手との距離を調整する感覚がつかみやすいと思います。
デラヒーバ、ワンレッグエックスとエックスガードは足に絡む強力なガードですがやや難易度高め。あと足裏を当てるコントロールが身に付きづらいです。
ラッソはいいガードですが、固定力が高いがゆえに最初にこれを覚えてしまうと足が効かなくなる可能性があります。
フックガードは攻撃力が高く良いガードですが、立っている相手にエントリーが難しいのと、基本的には相手を引き付けて密着するガードなので足裏を当てるコントロールが身に付きません。
5.本教則のコンセプト(なぜスパイダーガードシステム初級編なのか)
自身が感じた本教則のコンセプト
「オープンガード習得のファーストパス」
(ファーストパス:遊園地で待ち時間を短縮して、アトラクションに優先的に乗ることができるチケットのこと)
ここまで書いてきたように、中級レベルに上がるにはクローズドだけでなくオープンガードの習得が必要です。
しかし、多くの初心者はクローズドからオープンガードへチャレンジしても簡単にパスされてしまうと思います。YouTubeで見たスパイダーやデラヒーバのテクニックを試そうとして簡単にパスされた経験は誰しもがあるでしょう。
その理由は「ガードの順番を間違えている」ことが多いです。「(オープンガードを身に付けたい)初心者が身に付けるべき技術」が身に付いていません。
本教則ではその「初心者が身に付けるべき技術」が学べます
6.メリット・デメリット
スパイダーガードのメリット
デメリット
7.向いている人
「手足が長い人」「握力、グリップが強い人」などがスパイダーに向いていると思いますが、、、トップのスパイダーガーダーも全員が手足が長いわけではないです。自分が使ってしっくりくるかどうかが一番大事だと思います。
メインで使わなくともサブガードとして、強いガードへのつなぎやリテンションとして使う場面の多いガードなので習得しておくべきです。
また、先述したようにスパイダーガードを学ぶことでオープンガードの習得に必要な技術を身に付けられるので特に初心者は取り組んだほうが良いです。
8.相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
教則内のテクニックだけでかなり有効なガードシステムができますが、補足で持っておくといい技術を何点か紹介します。
・ガードリテンションとグリップファイト(教則内チャプター1-7)
→解除されやすいスパイダーとはセットで覚えるべきです
・サブミッションとスイープ(教則チャプター8-14)
→サブミッションを意識させてスイープ、
→スイープを意識させてサブミッションのコンビネーションを意識すると強いです
・足に絡むガード(今回、教則には紹介なし)
→デラヒーバやKガード、リバデラ、ワンレッグエックスなどは相性のよいガードです。相手がスパイダーを警戒したり解除してくるときは相手の足が近くなるので。
→ほかのガードとの組み合わせ方はスパイダーガードシステム中級編・完結編(上級編)に載っています
・ハーフガード、リバースデラヒーバ(今回、教則には紹介なし)
→リテンションの一種といったイメージです。解除されやすいスパイダーなのでパス際にハーフで捕まえてパスを止めることができるといざという時安心です。遠い距離のハーフ(リバデラ)とスパイダーを合わせても強力になります。
9.使ってみた感想
改めてガードリテンションやガードコントロールを意識すると安心してアタックできました。アタックが上手くいかないとき、ついついそのアタックばかりにフォーカスしてしまいがちですが、その前段階ができていないことが多いので今回この初級編を見直してよかったです。
10.個人的に好きなテクニック
・チャプター1-7の構えとエントリーとガードリテンション、ガードコントロール
スパイダーの教則なのにガードリテンション?って感じですが、ここまで書いてきたようにガードで一番大事な技術です。初心者が最初に身に付けるべき技術が詰まっています。何度でも見直したい内容です。
・チャプター8のトライアングル(三角絞め)
スパイダーからの三角絞めは片袖片襟からの三角絞めとは違って頭を下げづらいため、形に入っても極めきれないことやカウンターのかつぎパスをされることが多かったです。このチャプターのディティールを意識するとカウンターをされずにいい形の三角を作れます。
・チャプター11コンビネーション
スパイダーガードのみならず柔術のテクニックとして大事なことが学べます。初心者は特に知っておきたい柔術哲学です。
・チャプター12シントゥシン
強い人の試合を見ると簡単にやっているように見えるシントゥシン。膝の向きや崩しの方向、重心などのディティールが参考になります。マジックの種明かし的な
・チャプター13草刈り
→スパイダーあるあるの対策が分かります。草刈りは初心者もよく使いますが、倒したあと取り切れないことも多いです。このチャプターのポイントをしっかり意識したいです。
11.橋本先生の初期の試合戦略
トップが苦手な方は参考になると思います。
試合は得点すること以上に失点しないことが重要です。トップができないならばガードで長い時間コントロールして極めか試合直前のスイープを狙うというのはアリです。
まとめ
地道にこつこつやるのが一番大事です。でも人生で柔術ができる時間は限られているので効率も大事です。その効率をあげようと思ったとき、初心者の人はぜひこの教則を見てみてください。見る人のオープンガード上達のファーストチケットになるかもしれません。
読んでいただきありがとうございました。
2024/7/8 アンディ
またスパイダーシステム中級編、上級編もレビュー書けたらと思います。
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