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「パワーとスピードどっちが大事?」加古拓渡先生の回答(全文無料)

今日も今日とて柔術は楽しい。今日は昔聞いた話を記事にしてまとめようと思います。


1.白帯の自分のアホな質問

白帯時代に加古先生に

「パスってスピードとパワーどっちが大事なんですか?」

というアホみたいな質問をしました。本当にアホというか、考えてねえ質問だなあ、と今となっては思います。

でもそんなアホな質問にも丁寧に答えてくれました。

2.大事なのはスピードでもパワーでもなく・・・

加古先生のそのときの答えは

「うーん、聞きたい答えとは違うかもしれないけど、一番はバランスかな。」

「パスによってはゆっくりやったほうがプレッシャーが抜けなくていいこともあるし、技の仕組み的にゆっくりはできないパスもあるし」

(当時の記憶なので一言一句正確ではありません・・・)

3.スピードでもパワーでもなくバランス

自分のアホな質問にもすごいいい回答をもらえました。感謝。当時はなんとなく「そういうものかあ」くらいに思ってましたが、最近になってこの「スピード、パワー、バランスならバランスが一番大事」という柔術哲学の大事さが分かってきました。

ここでいうバランスとは、「スピードとパワー両方大事、バランスよく身に付ける」という意味ではなく、重心のコントロールです。たぶん。体操の平均台的な。

スピードは技によって速くやるもの、とゆっくりやるもの(早さよりも重視するポイントがあるもの)があります、

パワーももちろん重要ですが、パスでは腕力よりも体重をうまく使うこと(バランス)のほうが重要だったりします。

そして、バランス。重心のコントロール。これが正確にできればパワー(相手へのプレッシャー)もスピードも上がって、パスの成功率が上がるとともにカウンターのスイープやサブミッションをやられるリスクも減ります。

4.具体例

4-1 走る系のパス(トレアドール、ステップパスなど)

これ系のパスはスピードが大事に思えますが、バランスが大事です。

トレアドールパスは、相手に自分の体重を預けて(支えさせる、プレッシャーをかける)、自分の足を軽くすることで、結果的に相手へのプレッシャー(パワー)も自分が動くスピードも上がります。

相手をあまりつかまないステップ系のパスであってもバランスが一番重要です。走る系のパスはバランスを崩すとカウンターのスイープをくらいますし、左右への切り返しが大事なのでバランスが悪いと一つの方向にしかアタックができません。

4-2 足を制する系パス(ニーカット系、レッグドラッグ、クロスグリップ、スマッシュ)

これもバランスが大事です。足は力が強いので体重をしっかりと正確に相手の急所(内ももや外もも、ふくらはぎなど)にかけることで相手の足を制することができます。

バランス(自分の体重をどう配置するか)で相手にプレッシャーをかけます。

4-3 プレッシャー系パス(ボディロック、ハーフパス)

これもやっぱりバランス。腕力で抱き着いてプレッシャー(パワー)を生み出すのではなく、体重(バランス)をうまく使います。

また、プレッシャー系パスはバランスが良くないとブリッジやフックスイープなどでカウンターされることもあります

まとめ

バランスが一番大事です。自分の体重をどう配置するか、どこにのせるか。これで相手へのプレッシャーや自分の動きをコントロールします。

スピードは場合によります。例えば担ぎパスであればプレッシャーが抜けないようにゆっくりやったほうが相手はしんどいです。ステップ系はそれなりにスピードが求められます。ジャンプ系のパスは勢いと自分の体重を使うのでゆっくりやるのは逆に難しいです。

パワーはあればあるほどいいですが、相手へのプレッシャーには体重を上手に使うことが重要です。腕力を使うとスタミナやグリップを消費してしまいます。また、相手のポスチャーブレイク(姿勢を崩すアタック)に対して背筋や足の筋肉で耐えるのもよいですが、これもバランスが大事で力の入りやすいバランス、姿勢を作ることを意識すると効率よくパワー発揮できます。

自分の動きについて考えるとき、この言葉を思い出すとブレイクスルーのきっかけになるかもしれません。

「パワーとスピードとバランスなら、バランスが一番」

2024/8/17 アンディ

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