重量級も大変なのよ お互いに感謝とリスペクトを(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。
1.結論から
柔術のSNS界隈でもリアルでも「女子や軽量級に力任せで来る重量級は悪」的な風潮を感じられるときがあります。もちろんケガをさせるような荒いスパーをするのはよくないのですが、SNSでの重量級に対する風潮がいかがなものかと思ったのでいくつかツイートしました。
気分を害した方がいたら申し訳ありません。文字数に制限のあるツイッターだと言葉足らずになりがちなのであらためて記事にしてみました。
まず結論としては
決して「重い相手だろうと関係なくスパーやれや!」などというつもりはありません。荒いスパーをするのはよくないし、スパーを断るのも大事です。でも一方的に重量級を悪者にするのはよくないと感じます。
「お互いの上達につながるように練習相手にはリスペクトと感謝を持ちましょう」って話です。
2.そもそもなんで重量級は出力を落とさないといけないのか
重量級の方や、女子やキッズ相手のスパーでは出力を落としたスパーをする方が推奨されます。理由は
重量級がどんな相手にもフルパワーのスパーをするのは、だれも得しないのです。本人もほかの会員も道場運営的にも損失が大きいです。
軽い相手や女子相手にケガをさせるような荒いスパーををしていると、道場によっては、だれも組んでくれなくなります。
3.SNSに漂う「重量級は気を使って出力を落とすのが当然」の風潮
柔術界隈ではパワーで来る人を悪者にする風潮が強いです。
前項で書いたように力任せのスパーをするのはいろんな意味で損失が大きいので、推奨はされません。実際ケガをさせられた人もいるので、そういった方は本当にお気の毒だと思います。
自分も経験はあって、大きい人と組んで肋軟骨や首を痛めたりしたことがあります。でも別に相手のせいだとは思わないですが。
個人的にSNS等での「重量級やパワーを使ったスパーをする人を悪者にする風潮」が過剰な気がします。
4.でもガチスパやパワーを使ったスパーが悪いわけではない
そもそも、ガチスパやパワーを使ったスパーが悪ではないです。
だって、試合はガチだし、パワー使うし、柔術って格闘技だし。
自分より軽いとはいえ、腕を折ったり、首を絞めに来るのだから、力を使って抵抗するのは当然です。
本人が割り切って「俺はガチでちゃんと練習したい、それが嫌な相手とはスパーはしない」と割り切ってガチスパをするならそれはそれでアリです。道場によっては練習相手がいなくなる可能性もありますが、個人的にそれが悪だと断じることはできないと思います。
というかトップを目指す選手やプロMMAの人は少なからずこういったマインドでやっていると思うんです。
5.重量級の苦悩
道場に自分より大きい人しかいない軽量級や女子も大変ですが重量級だって大変です。
5-1 普通にやっているだけなのに
例えば100キロ越えの人は大変です。普通にやっているだけで「あの人でかいのにパワー使ってくるから危ないよね。スパーしたくない」と言われてしまいます。
軽量級や他の人と同じように会費を払って忙しい時間の合間に練習に来たのに。一生懸命ルール内でスパーをしただけで悪者にされる可能性があるのです。
もちろん、何度も書いたように重量級が力任せのスパーをするのは損失が大きいので気を使って出力を抑えたスパーをするべきです。重量級が誰彼かまわずボコボコにしていたら練習相手がいなくなります。
でも、女子や白帯の若い軽量級の子とか普通にガンガンやってますから。他の軽量級は思いっきりスパーできるのに重量級はそれがゆるされないというのはかわいそうというか、それはそれで大変です。仕方ないんですが。
5-2 いやだって相手はガチで来るじゃん
軽量級や女子の方はガチでくるんですよ。当然といえば当然ですが。そこで「重量級が大人になって技を受ければいい」「そこをテクニカルに対処するのが練習になる」という意見も分かります。
でもなんで重量級ばっかりスパーで受けなきゃいけないんだって話で。俺だって自分の練習したいよってなるじゃないですか。
相手は思いっきりスイープやパスやサブミッションのアタックを仕掛けてくるのにこちらは力を使ってはダメで全部受けてあげないといけないのか、と考えると重量級も大変ですよ。いや、それでもケガさせたらいかんので重量級はガチでやったらいけないんですが。
5-3 何やっても「パワーすごいっすね」になる
自分ではテクニックを使ってやっているつもりなのに、重量級が技を決めると「パワーすごいっすね」と言われがちです。パワーは長所なのですが、これはこれでかわいそうというか、不幸というか。
「テクニックでやってるつもりなのに全部パワーって言われてしまう」
自分より軽い相手しかいないと多少テクニックの精度が低くても技がかかってしまう、というのはそれはそれで不幸な気がします。
5-4 軽量級や女子はこう考えてみて
重量級の苦悩は、こう考えるとイメージしやすいかもしれません。
「練習相手が自分より20キロ以上軽いキッズしかいない」
どうでしょうか。会費払ってきてるのに、自分は毎回受けなければならない、ちょっとでもパワーを使って抵抗したら悪者になる、自分のテクニックの練習をしようとおもっても相手が軽すぎて簡単にかかってしまうので自分のテクニックの練習ができない、
重量級も大変ですよ。
5-5 アンディの個人の話
自分は75キロのライト級。女子や軽量級やキッズと組む機会はあります。その際は出力を落として自分の練習にも相手の練習にもなるように意識してスパーします。技を受けることも多いです。
重量級の相手では全力で当たって全力で返してもらうガチスパをするときもあります。ただ、100キロ越えの相手だとさすがに危ないのでそのときはこちらもゆっくり動くようにしています。相手の練習にならなくて申し訳ない。結果的につぶされてやられても素直にタップする。ゆっくりでいいのでしっかり攻防をして少しでも相手の練習相手になるように意識します。
重量級とのスパーはいい練習になります。
道場での練習は体の貸し合いみたいなものなので、練習相手に不満を持つこともほとんどないですし、どんな相手でもケガせずケガさせず自分の練習になるようにするように意識してます。
でも、ぶっちゃけ試合前の練習で5回連続で女子やキッズとスパーする、となったら「なんだかなあ」となるのも事実です。そこは程度の話。
自分の練習をしたいと思うのは当然です。でも、自分のことばかりではなく、会員同士がお互い助け合って強くなっていくのが道場のあり方として良いと思います。
6.軽量級や女子、キッズの心構え
重量級→軽量級 の一方通行の気遣いだけ求められるのはどうなのよ
何度も言いますが、重量級は軽量級相手に気を使った方がいいです。あらゆる意味で。しかし、軽量級だって気を使ってもいいはずです。
例えば、キッズが大人クラスに混ざってスパーリングに参加していたとしましょう。
そのときのキッズの心構えとしては「大人の人たちはみんな受けたりライトにスパーしてくれてありがたい、軽い自分で練習相手にならなかったら申し訳ないな、頑張ろう」といったものが望ましいと思います。
決して「僕は子どもなんだから優しくスパーしてもらって当然」「あの人、大人なのに力任せで来るんだよ、ありえない」ではないでしょう。
少し強い言葉になりますが、一部の女性会員の方は「私は女性会員だから優しくしてもらって当然」に近い価値観を持っていると思います。もしくは「重量級はパワーがあるんだから気を遣うのは当然」「自分は白帯なんだから気を遣うのは当然」的な考えがある人もいると思います。
重量級の方が気を遣ってスパーをするのはその方の善意とお互いの練習をするためであって当然じゃないです。感謝するべきです。
「重量級 ⇔ 軽量級」 相互に感謝とリスペクトを持ってスパーリングをするべきではないでしょうか。
テクニカルにやってほしいのに、お前はガチでいってないか?
「重量級は軽量級相手のスパーでは、パワーではなくテクニカルに技の攻防をする」というのは理想ではあります。
でも、軽量級がそれを相手にやってもらって当然だと考えるのは傲慢だし、そもそもお前はガチで当たりにいってないか?って話です。
軽量の自分はガンガンパワーで全力であたりにいっているのに、相手の重量級にはパワーではなくテクニカルに返してもらうのを求めてる人が一定数いると思います。
パワーでいったらパワーで返される(ことが多い)
重量級相手とテクニックの攻防がしたいなら軽量級側もテンションを落としてテクニック重視のスパーをするべきです。自分だけフルパワーで向かって相手にだけテクニカルな対応を求めるのはナンセンスです。もちろんテクニックがある重量級なら軽量級のフルパワーをテクニカルに対処できるかもしれませんが、全員がそれをできるとは限りません。
早めタップ
また、自分より大きい相手の極めが強くて怖いっていうのはありますが「だったら早めにタップしろよ」です。「自分はギリギリまでエスケープの練習したいけど相手には優しくゆっくり極めてほしい」はナシです。
ギリギリまでエスケープしたら、強く極められるリスクがあります。形に入ったらタップ、腕十字のクラッチが切れたらタップ、をしている人なら極める側も寸止めして優しく極められますが、形に入っていても粘るなら極めを強くされても文句は言えません。自分はリリースする派ですが、「タップしないなら極める」は格闘技としては間違っていないと思います。初心者でタップのタイミングが分からないならともかく、そうでないならタップしましょう。
選手連と一般クラスのスパーリングで多少変わりますが、「強く当たったら強く返される」というのは体重差があっても基本的には同じだと思います。
7.まとめ
とにかく練習相手には感謝とリスペクト
自分にとって最適の練習相手しかいない環境なんてありません。どんな相手でも感謝して練習しましょう。
「どんな相手でも自分の練習をするにはどうすればいいのか」を考えることは結果的に相手の練習になることにつながります。相手のスパーのスタイルに文句を言うより自分の練習のやり方を工夫しましょう。
道場内でお互いの感謝とリスペクトを持って練習する人が増えればうれしいです。
2024/10/15 アンディ
追伸 ブラックアンディ それを言ったら戦争だ!
ブラックアンディがちょっと過激に書いていきますね。だいぶ過激なので本当に読みたい方だけどうぞ。誇張して書いてます。ネタです。ここまでの内容でモヤってる人はここで読むのやめてください。ここまで警告したので、読んでイラッとしてもさすがに俺のせいじゃないです。
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