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物語の作り方①映画は3つのパターンしかない?!【映画とドラマのはなし】

今回は、僕がずっと勉強し続けている「物語の作り方」のお話をしようと思います。中学2年の時にBack to the futureを見返し、これを作っている人がいるんだ!と気がつき、それ以来、ずーっと映画監督になる事を夢見て来たのですが、そもそも映画って何だ?物語ってなんだ?と言う疑問にぶつかり、物語についての勉強を始めました。これを読んで頂けると、物語の構造ってどうなってるの?映画で心を打たれるのは何でなの?という事が少しわかって頂けるかな?と思います。でも逆に映画の構造や裏側を知ってしまうので、純粋に映画が楽しめなくなってしまうかも知れないので、その点はご注意くださいね😆


映画は3パターンしかない?!

映画には様々なジャンルがあります。ヒューマンドラマ、ホラー、ミステリー、アクション、SF、恋愛もの、時代もの、などなど。でもそんな映画の物語はざっくり分けて三種類しかないってご存知でしたか?
え?今、様々なジャンルがあるって言ったばかりじゃん…と思うかもしれませんが、映画は主人公がどう行動し、どんな世界を見せてくれるか?というストーリーが主軸になっています。その主人公がどう行動し、どんな感情になるのか?という流れが三種類しかないという事です。詳しく話して行きましょう!

  • 主人公が葛藤を抱え、成長して行くパターン

  • 主人公は全く変わらず進み続けるが、それに影響された周りの人達が成長して行くパターン

  • 主人公が成長どころか、どんどん落ちて行くパターン

この三つのパターンで映画は作られている事がほとんどです。

1、主人公が成長して行くパターン

このパターンは王道で、様々な映画の基本構造として使われて来ました。スピルバーグ監督のジュラシックパーク、Back to the future、ピクサーのカーズ、ラストサムライ、ゴッドファーザー、スパイダーマンシリーズ、アイアンマンシリーズ、魔女の宅急便などなど、様々な映画で使われて来たパターンです。ジャンルもお話自体も全然違うのに、同じパターンって、ちょっと信じられないと思いますが、これらの映画は同じ形をしているのです。「同じ骨格を持っている」や「同じ設計図を元に作られた」という方がわかりやすいでしょうか?

パターン1の映画「ジュラシックパーク」

ジュラシックパークは、恐竜から逃げるという単純明快な話なのですが、骨格は、主人公のグラント博士が、父親になる物語です。グラント博士は子供嫌いで、恋人との結婚にも消極的…でもジュラシックパークで恐竜たちに追われる事になり、幼い兄弟を救わなければならなくなります。そんな兄弟と共に逃げる中で、グラント博士は彼らを知り、彼らを守りたいと思う様になって行きます。子供嫌いだった男が、一番嫌いなものと向き合う事で、葛藤し、成長し、子供達を自分の手で守り抜きたいと強く思う様になります。この様な登場人物の感情の変化を「キャラクターアーク」と呼びます。アークとは弓の事で、その感情の流れをグラフの様に描いてみると、弧を描く様に見えるので、アークと呼ばれています。※キャラクターアークの深掘りも今後して行きたいと思っています。

オープニングとは別人の様に成長したグラント博士

2、主人公は変わらないが、それに影響された周りの人達が成長するパターン

このパターンも多くの映画やドラマで見る事が出来ます。フォレスト・ガンプ、ショーシャンクの空に、ターミナル、アイアムサム、アニメ映画ブルージャイアント、テッドラッソ、スキップとローファー、キャプテン・アメリカシリーズ、壬生義士伝、トップガンマーベリックなどです。こちらもジャンルも雰囲気もバラバラな作品ばかり…でも構造は同じなのです。

このパターンの主人公はほとんど成長しませんwというより、成長しきっていると言った方が良いかもですね!自分の信念を持ち、そこに向かって突き進んでいるのです。でも実際にそんな人って稀ですよね…目標に辿り着くのか不安な人、そもそも目標すらも持てずにいる人、現実はそんなに甘くはありません…なので、そうなれたらいいなーと思う方も多いと思います。この主人公の様になりたい、この主人公に少しでも近づきたい、と思って僕も映画やドラマを見る事があります。でも映画やドラマは登場人物の誰かに共感し、感情移入する事で、物語という「旅」を提供してくれます。でもそんな成長しきった、自分とはかけ離れた存在に共感し、感情移入するのは難しい…そこで登場するのが、観客と同じ目線に立っているサブキャラクター達です。

パターン2の映画「ショーシャンクの空に」


ショーシャンクの空にの主人公アンディーは、妻殺しの罪を着せられ、監獄に収監させられてしまいます。でもアンディーは強い信念の元、様々な勇敢な行動を取っていきます。そして何年も何年もかけて、綿密な脱獄計画を立て、それをやり遂げます。そんなアンディーを近くで見ていたモーガンフリーマン演じるレッドは、葛藤し、成長して行きます。レッドは最初の保釈審問で、自分は改心し、真人間になりましたと嘘をつきます。そしてアンディーが収監され、交流を進める中で、自分とは何者か?今後の人生をどう生きるべきなのか?を考える様になり、成長して行きます。この映画の特徴的なシーンとして、最初と最後で全く同じ保釈審問シーンがあるという事。レッドは最後の審問では最初の審問の時とは違い、心から思った事を発言します。最初は嘘がバレるのでは?と挙動不審な態度を取っていたレッドですが、最後の審問では堂々と自分の本心を曝け出します。それはアンディーと出会い、彼に影響を受け、成長したレッドだからこその言葉。
去年放送されたアニメ、スキップとローファーも同じパターンです。上にあげた映画やドラマの様な劇的に展開はない物語ではありますが、同じ様に主人公に影響されたサブキャラクター達が成長する物語です。主人公の美津未には明確な目標があります。それは、官僚になり、地元に貢献する事。そこからは一歩もブレません。彼女の全ての行動はそこに繋げて行くための行動です。時には落ち込んだりもしますが、性格などは全く変わりません。そんな彼女の近くにいる同級生達は、彼女に引っ張られる形で、それぞれの葛藤と向き合い、乗り越えて行こうとします。正にアンディーとレッドの関係と同じ構造なのです。

スキップとローファー

この2パターン目の「主人公は変わらないが、周りが変わって行くパターン」は、ドラマシリーズで使われる事が多い印象です。と言うのも、1パターン目の「主人公が成長して行くパターン」だと、主人公が成長しきってしまうと、その続きが作りづらいからと言うのが理由です。シリーズものにする場合、サブキャラクターを多く登場させ、毎回そのサブキャラクターが主人公に影響され、葛藤と成長する様を描けるので、このパターンが使われる事が多い様です。映画の場合、パート1では1パターン目を使い、パート2パート3などを2パターン目にするという事も多い様です。僕も映画を書くときは1パターン目を、そしてドラマを書く時は2パターン目を使う事がほとんどです。

3、主人公が落ちて行くパターン

このパターンは、娯楽映画になりづらいパターンです。主人公が落ちて行き、心温まる物語になりづらいからです。エンタメ作品として興行収入を期待する映画スタジオなどでは中々企画が通りづらい印象があり、僕もこのパターンでお話を書くことはほとんどありません。ですがこのパターンにもメリットはあります。人の感情は必ずしも幸福な方向に進む訳ではありません。真実は時に残酷な事も多くあります。そんな真実の物語を作る時には最適なパターンだと思います。ですが、主人公が最初の所から悪い状態でエンディングを迎えるので、他の登場人物も一緒に落ちて行き、観客さえも道連れにしてしまう事もあるので、映画館を出る時にはパターン1とパターン2の様な晴れやかな感情でいられない事が多い様です。
ゴダールの名作、勝手にしやがれ、華麗なるギャッツビー、最後まで行く、などの作品がこのパターンに当てはまると思います。

パターン三の映画「華麗なるギャッツビー」

もちろんこの3つに当てはまらない作品も多くあり、アート映画や実験的な映画、ホラー作品、私小説的な作品など、あえてこのパターンを外して作ろうとする場合もあります。ですが、ほとんどの作品をこの3つに当てはめる事が出来ます。

ぜひ皆さんも自分の好きな映画がどのパターンなのか?を確かめてみて下さい。そしてもしも、これから物語を書いてみたいと思った時には、この3つのパターンのどれを書いてみようか?を最初に考えて頂きたいです。そうする事で、自分の書いている作品はどこに向かおうとしているのか?が明確になり、方向性に迷う事が少なくなると思います。まだまだ物語作りに必要な要素はたくさん沢山あります。今後もこんな話をたくさんして行きたいと思っています。ぜひまた読んで下さいね☺️


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