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【登山】快晴の白谷ノ丸・白谷小丸(7月)

2023年7月頭の平日、白谷小丸に行ってきた。
この白谷小丸は大菩薩嶺の南、小金沢山から笹子山の方まで続く小金沢連嶺の登山道から少し離れたところにある地味なピークである。
恐らく、ここを目標に登ってくる人はあまりいない。
お世辞にもアクセスはいいとは言えないし、ここまで来るなら、小金沢山とか大菩薩嶺とか、他の山のついでに縦走して登ったほうがお得だと思われる。

でも私はこの山に登りたかった。登山道上には白谷「ノ丸」があるが、白谷「ノ丸」ではなく、その先にある白谷「小丸」に行きたかった。このピークは周りに木がなく、最高の展望が望めるらしい。さらに登山道から外れたところにあるため人が少ない。つまり天サロ(太陽光での日焼け)にピッタリなのである。


十字が白谷「小丸」。そのすぐ北のトレイル上に白谷「ノ丸」がある。

登山の日は快晴の時を選んだ。幸い、仕事は休みがついた。当日、早朝に横浜を出て大峠に向かった。
大峠は標高1,560mにあり、10台くらいは停められる駐車場がある。到着したのは7時ごろで、すでに5台程度は埋まっていた。
この駐車場からは、首都圏ハイカーが耳にタコができるほど聞いたであろう旧500円札のストーリーの雁ヶ腹摺山に直登できる。旧500円札なんて見たことないから、あんまり興味はない、ごめん。でも大峠からは雁ヶ腹摺山へ向かう登山者のほうが多いだろう。

大峠からの富士山

早速、車を降りて準備運動を始める。私は準備運動をかかさない。ジムでトレーニングする前も山に登る前も準備運動は必ず行うようにしている。
大峠からは夏の赤黒い富士山がドンと見えた。超かっこいい。
準備運動している間にも数台の車がやってきた。

さて、準備運動を終え、登り始める。
道も明瞭で歩きやすいルートである。
木々の間から差す木漏れ日はとても心地よいが、汗かきの私はみるみる汗まみれになる。

空が近づく

標高が上がるにつれて、立ち枯れが目立つようになった。
空が見えると元気になる反面、多くの木が枯れているのを見ると切なくもなる。こういう木は、いつ倒れてくるか分からないので、注意して進んだほうがいい。
今年は道志のキャンプ場で倒木による死者が出たそうだ。

登山口の時点ですでに1,600m近いので、尾根に出るまで時間はかからなかった。しばらく登るとT字路にぶつかった。小金沢連嶺のトレイルである。
大菩薩方面には向かわず、左へ曲がる。なだらかに降ってしばらく歩くと「やまなしの森林100選」なる看板を見つけた。

黒岳の広葉樹林

平らで開けた場所に、広葉樹のキレイな森が広がっている。確かに綺麗だ。でも何の木かは分からない。私には植物の知識がない。それでも紅葉の季節は凄く美しくなることは想像できた。
他の山でも「やまなしの森」の看板を見た気もするが、正直覚えていなかった。
それにしても100個も選ぶなんて、山梨県も欲張りだと思う。選定者も100個全部覚えてないのでは、、、。最後の20個くらいなんてテキトーに選んだんじゃない?

また登り返すと黒岳というピークに着いた。
この黒岳は、今回の山行の最高地点である1,987mである。
残念ながら展望は無かったため、すぐに通り過ぎた。

そして黒岳山頂から少しあるくと一気に展望がひらけた。ここが白谷「ノ丸」である。
展望は最高で、正面に富士山、甲府盆地の向こうに南アルプス、八ヶ岳がはっきりと見えた。

白谷ノ丸から見る甲府盆地

最高の展望だ。でも今日の目的地はここではない。
少し景色を楽しみ、写真を撮って再び歩き始める。
正面にはたおやかな草原に、富士山に向かってトレイルが伸びている。
「こんな道ならずっと歩いていられるな」と思う。

白谷小丸は、白谷ノ丸から見下ろすことができる距離にある。登山道から外れる必要があるが、目の前に見えているし、踏み跡もバッチリなので迷うことはない。

左側の小さなピークが目的地だ

5分ほど歩いて、本日の目的地である白谷小丸に到着した。9時ぐらいだったと思うが、誰もいなかった。
地味な山だし、登山道からも外れているので当然かもしれない。
白谷小丸は山頂周辺が白っぽい荒い砂でできたザレ場で、大きな岩がポツポツと点在していた。
私はザックを下ろして、座りやすそうな岩に腰を下ろした。しばし目の前の富士山を見る。「今日もあそこを登っている人がいるんだなあ」とか「3年前はよく暴風雨のなか、よく登れたなあ」なんて思った。でも、これ、夏に富士山を見た人はみんな思うことでしょ?

さあ富士山を堪能したら、ついに日焼けタイムだ。
周辺に誰もいないことを確認して、日焼けに最も適した格好になった。ここに来るには稜線上のトレイルを歩いて来なければいけないから、遠くから人が来たら分かる。さあ太陽と友達になろう。そして、そのパワーの一部を分けてもらおう。

しかし、思ったより紫外線は強くなかった。これは大きな誤算だった。
まだ初夏だったのが悪かったのだろうか、結論から言うと2時間も山頂に滞在していたにも関わらず、日焼けはほとんどしなかった。

白谷小丸からの富士山

コンビニで買ったご飯を食べて、日にあたる。水を飲んで、また日にあたる。街じゃ完全に不審者だが、誰1人いないマイナーな山なら誰にも通報されないはずだ。
そうしていると白谷ノ丸から向かってくる夫婦が見えた。私は急いで一般登山者の装いに戻った。
近くまで来た2人と「こんにちは」と挨拶を交わした。夫婦は「ずっと居られるほど綺麗だね」と会話していた。
全くその通りだと思った。景色は最高で、風も心地よかった。

あっという間の2時間だった。小腹が空いてきたし、ずっと日に当たっているのも肌によくないので(結局日焼けしなかったが)、ぼちぼち帰ろう。
さよなら白谷小丸。また来るよ。

白谷ノ丸を見上げる。

ピストンだから、下山はさっき通った道を下っていくだけだ。
大峠への分岐さえ見落とさなければ、危険な箇所はないだろう。
下山中には数グループに出会った。「富士山めちゃくちゃ見えますよー」なんて会話をした。

いつも下山はあっという間だ。今回も、道迷いに気をつけながら、無事に登山口まで戻ってくることができた。
そこで、大峠から雁ヶ腹摺山への登山口、少し歩いたところにある水場に行ってみようと思った。

水場は沢にパイプを刺したものだった。
とても冷えていて気持ちが良い。腕や顔を洗うと生き返る気持ちになった。
一年中、枯れずに出ているのだろうか?

御硯水って買いてある。なんて読むの?

水場から後にして、今日の山行は終わった。
白谷ノ丸、白谷小丸、とてもいい山だと思う。
アクセスの悪さが難点だけれども、ぜひ山頂からの景色を静かに堪能してほしい。
また、私も訪れると思う。その時は寝転ぶためのマットも持っていこう。


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