ゲーム感想記② イースⅧ
「イース」シリーズは日本ファルコム社の代表的シリーズであり、1987年に第一作目が出て以来、今なおシリーズは続いている。そして2015年にPSVITAに「イースⅧ」が出て、後にその追加完全版がPS4に出た。更にSwitch版が2019年に発売されたが、こちらはPS4版の移植である。
今作はかなり抜本的な試みが採られている。
時代の流れとして、RPG関連はオープンワールドの形式をとることが多かったが、本作も基本は一本道ながらもオープンワールドとしての要素を大いに取り入れている。そもそも本作は「セイレン島」と呼ばれる島が舞台であり、本拠地を軸としつつ島を冒険し、地図を広げていく。更に武器の強化やアイテムの購入もあるが、金銭ではなく、島のあちこちにあったり敵を倒して手に入れる別のアイテムを使って交換していく。だから収集要素がゲーム進行において重大となり、また金銭システムのない無人島とうまくマッチしている。他の贈り物による好感度システムも簡易ながら導入されている。
また、クリアには直接関係のないダンジョンや同じ漂流者の発見等、オープンワールドの根幹ともいうべき「探索」という要素はしっかり取り入れられている。
更に「殲滅戦」と言って、本拠地の海岸を舞台に、次から次へと襲ってくる敵を薙ぎ倒していく展開もある(PS4版になると敵の本拠地に攻め込んでいく「制圧戦」も追加される)。
「イース」シリーズは基本的にボリュームが少なかったのだが、今作はかなり長大な分量である。一通りクリアするには慣れた人でも40時間はかかり、更にそこからやり込み要素が加わる。
また今までは小じんまりとしていて基本的に冒険する舞台だけという、局所的なものであったが、そんなストーリーも本作は世界全体にまで及ぶ壮大なものになっている。敵も後半になると、古代種や龍といったかなり仰々しいものが加わり、最終舞台も半ば別世界の神秘的な世界観で展開が繰り広げられる。それはそれでいいが、結局「イース」というのはアドルの冒険日誌なのだから、世界を救うとかそんな大袈裟なものではなく、未開の土地を踏み入れて好奇心を満たしていくような方が私としては好きであるが。(まあでも「I・II」も同じ感じだったかも)
戦闘はとにかく軽快にキャラたちは動き回る。敵にひたすら攻撃を叩き込んで、進でいくのには爽快感がある。特に主人公アドルの技の性能は軽快さ・爽快感を出すことを意図しているのか、動作は素早く範囲は広く、ひたすら技を繰り出して要るだけでも楽しい。とはいえ、無双みたいに敵を薙ぎ払っていくことはできず(当たり前か)、手痛い一撃を喰らうことも多々ある。特に巨大モンスターはその風体らしくなかなか死なず、一体倒すだけでも結構苦労する。
本作は間違いなく名作と言えるできで、アクション好きなら楽しめるだろう。グラフィックだけでは今一歩だが、それでもプレイしていて楽しいゲームである。