ゲーム感想記#52 ファイアーエムブレム 風花雪月
『ファイアーエムブレム 風花雪月』はWiiの『暁の女神』以来の据え置き用のシリーズ作品である。一時期シリーズは下降気味にあったが『覚醒』の売れ行きが見込み以上に良かったらしく、その後『if』と『echoes』(二作目「外伝」のリメイク)と続き、本作が発売されるに至った。また、これらの作品の合間にソーシャルゲーム『heroes』が配信され、相当な売れ行きを伸ばすにいたった。
本作は今までのシリーズからかなり抜本的な変革を試みている。まず主人公は男女選ぶが固定、そこから三人の「級長」を選ぶことになる。つまり学校のクラスのリーダーというわけで、本作は「学園もの」としての要素がかなり強い。
そして選んだ三人によって、その後に仲間に加わるメンバー(生徒)も異なり、それどころかストーリーも後半から大きな展開を見せかなり違うものになっていく。
「学園もの」という要素があることを最初に報された時は、かなりシリーズファンから拒否反応があった。実際、主人公は教師として級長をはじめ受け持つ生徒たちを教えて能力を鍛えたりしていくのだが、恋愛シュミレーションのように贈り物を送ったり好感度を高めていくという要素もある。そして、相手を誘ってお茶会を開いて一対一で話し、見つめあったりすることもあり、最終的には各キャラから一人とペアエンドを迎えることになる。だからかなり恋愛的な「キャラゲー」要素があるというのはその通りである。
とはいえ、「ファイアーエムブレム」シリーズは元々そういう要素にかなり流れ気味だったし、今更といえばそうである。「覚醒」からかなり露骨になったが、それ以前にすらそういう要素もあったのであり、元々ゲームシステムはともかく必ずしも「硬派」なゲームとは断定はできなかった。
だが本作は実をいうと、キャラゲー的にも実は「硬派」なのである。というのも本作は第一部と第二部に分かれており、第一部の終盤から物語は急展開を迎える。このゲームが発売されてもう二年以上経過しているのですでにどうなるかは知られているだろうが、一応ネタバレは伏せておきたい。シリーズは元々仲間が戦闘でやられたら死亡か戦闘続行不能ということでその後出撃させることができなくなるのが醍醐味だった。だが、「覚醒」あたりから戦闘でやられてもその後出撃させられるようにもすることができるようになり、本作も同様である(死亡する「クラシックモード」に対してその後も出撃できる「カジュアルモード」)。ただ本作の場合別の形で仲間が死亡するようになる。これはイベントやシナリオというより、マップで戦い実際に死ぬことになる。以前の「手強いシュミレーション」を別の側面から再現したと言えるだろう。
私はシリーズにそこまで詳しくはないが、戦闘システムは「if」に劣り、難易度調整は「蒼炎の軌跡」(のハードモード)に比べれば足りないらしい。少なくとも戦闘そのものについては世界観や戦闘以外のシステムの抜本的な改革に比べれば、かなり伝統に沿ったものである。だからその点は物足りないと思う人もいるかもしれないが、それでもシリーズの新たな境地を出した作品であり、シリーズ最高傑作とされてもおかしくはない出来である。