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ゲームサントラ紹介#53 Valkyrie Profile Voice Mix Album

 収録曲:

1.  窮境へのレクイエム ~ 否定的な無意識下へ
2.  古代悠久あまねし幻想 ~ 空虚なる心
3.  崩れゆくイド
4.  不浄なる地へ
5.  カオスへの派生
6.  Booze on a Moonlight Night(ゲーム未使用曲)
7.  The First Unison
8.  Confidence in the Domination
9.  表にある聖、裏にある魔
10. Circulate on a Windup Doll
11. 真実なる戯言
12. 悪趣浄瑠璃すべからく
13. 薄霧
14. Bloody Panic(ゲーム未使用曲)
15. 栄光と繁栄の道へ
太字は特に好きな曲

 ボイスミックス」というそれまでになかったタイプのサントラが発売された。

これは原作の曲を用いつつ、ゲーム中のキャラの声も取り入れたものである。決してドラマCDのような類ではなく、あくまで声も楽器の一環として用いている。

最初このアルバムを聴いた人間は戸惑うと思う。また嫌気がさして最初聴いたきり、もう聴かなくなった人もいるかもしれない。ただ、私はこのサントラを高く評価している。試みとして面白いのもそうだが、キャラの声もしっかり工夫されて挿入されているのがわかり、独特な味わいを出しているのだ。少なくともこのような類の音楽アルバムはこれと同じ作曲者による『スターオーシャン3』や『ヴァルキリープロファイル2シルメリア』の三枚だけで、その上本作の出来がずば抜けて優れているので、このアルバムの音楽表現は独創的な唯一無二のものであることは紛れもない事実である。

ただ原曲部分もアレンジされているが、その声なしのものも入れるべきであったかもしれない。アレンジの出来栄えそれ自体もいいので。

「窮境のレクイエム~否定的な無意識下へ」では、「窮境へのレクイエム」をバックに苛む声が多数発せられた後に、ゲームでの有名なセリフ「我と共に生きるは~」と共に「否定的な無意識下へ」と移り、曲が一気に盛り上がる。声を楽器としてうまく扱った一曲と言える。

シックな感じの曲にシックな独白的な声を乗せた「カオスへの派生」、出だしの乱発される魔法詠唱が特徴的な「The First Unison」、四人の女性が採り入れられサド的だが暗くもある「不浄なる地へ」、主人公の粛々とした声とセリフによって曲が陰鬱ながらも厳粛になる「表にある聖、裏にある魔」、原曲は別ものになっているが渋い声の語りによって癖になるような味わいをもつ「Confidence in the Domination」等がいい。

「薄露」の完成度も高い。とても悲壮的なピアノの旋律から始まり、悲しげな声が入り曲を彩っていく。希望を感じさせるものの、結局どうにもならない絶望しかないことを、曲と声二つを見事に調和させながら表現していく。一番「ボイスミックス」していると言えるかもしれない。

表にある聖、裏にある魔

 カオスへの派生

薄霧

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