インターネット居住区
画面の向こうの夢は存在せず、目に見えて手に触れられるものが現実。人はすぐ隣にいるようで本当はいない。
デジタルの信号は現在を示し、電気が消えると存在ごと消えてしまう。
画面を消し、何年も何十年も経った後に何が残るのか。
ここはインターネット居住区。目に見えないものを信じる街。
誰も居なくても、画面に向かって信号を打ち続ける。どこかの誰かに届くかもしれないから。
ビルや施設や家々の立つ大きな箱。人は自然から離れて生きられなくて、他人から離れても生きられない。
ただ心を交わす術を忘れてしまった。それは寂しさか安心か。星は幾つ空に浮かんで、光は幾つ輝いているのか。
この街でも一人ぼっちなら、一体どこへ行けばいいのか。
住む人の減った地方の街。痩せ細って群れとなり、都市に押し寄せる。
血の不巡が病となったように、近い将来、渇きや寂しさも病となる。
デジタルの信号は病を救わず、じっと見ている。人々の動向を。
寂しいけど一人でいるよ。だって皆同じでしょう。
四角い部屋の中に居ながら、それぞれ別の夢を見続けられるなら、今やるべき事はひとつ。
旗を振って、先頭を歩くこと。
繋がらない都市を、手作りの村にすること。