部屋の中から
部屋の中は星の中みたいだ。何者も邪魔をされることのないそこは、宇宙の何処よりも落ち着く場所である。
カーテンに包まれた部屋の中、操縦桿を握って潜る。今日も深い海の底へ。
自身の船を操縦し、探して見つけるのが好きなのだ。光や初めて見る生き物を。
本当のことなんて一体誰が決めるのだ。星の中にいる間は、僕の好きなものを見るのだ。
星の海で見つけたものを、机や棚の上に飾る。
そのうち誰かに見せたくなる。光り輝くものなら、自分だけの宝物としておくのは勿体無い。
部屋の外、家の外にいる誰が必要としているかも知らないのに。
見せびらかしたい訳じゃない。ただどこかにそっと置いて、提示してみたくなる。
頭の中が考え事で一杯になった時、人は旅に出たくなる。
星の外で、自分以外の考えや感性に触れることで、今までの時間を再確認する。
今持っているものはこういう形なのだと確かめたい。何年経っても変わらなかった、たったひとつの思いに気づいたりする。
ああ、分かって欲しかったのか。一番近くにいた人に。遠くの誰かに。
仕事や学校が終わって、家に帰って部屋の中。ひとり思う。
カーテンの隙間から、壁をつたって溢れそうな星の光を。星の海を。
いつか解き放つ時が来るのかもしれない。
息をするように少しずつ、時にいっぺんに。長く続くものを作ろう。一人で続けてきたことを、次は誰かと。