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【オートレース】 オートレースの魅力~第二章~ 数ある公営競技からオートレースそれで生きていくと決める男
持ってた現金は6万650円くらいだったかな。
帰りを考えるなら650円でも残すべき手持ち。
ただ、それを上回る自信と展開、メンツ。
頭をよぎるのは勝負するのは今じゃない
帰れなくなったら。歩きか?
いや勝てる。大丈夫。
当たれば余裕。
こんな事を考えてぼーっと新聞を眺める。
聞こえるのは何分前って音だけ。
でも俺をここまで惚れさせて勉強させてくれた。
オートレース
嫌いになんてさせるわけがない。
いくしかないんだ勝負するなら。
これが前回の最後の方だったな。
今回はこの続きとオートの魅力について
更に語りたいと思う。
絶妙なBGM
締切間際は窓口が大変混み合います
そんなアナウンスが流れる。
なぜこれがこんなにも人を焦らすのか。
そして悩ますのか。俺にはわからない。
俺の頭の中は完全に今まで勉強してきた
全ての事を思い出し。
高橋貢のレースを思い出し。
それでも間違いがないと思った。
俺の予想は
5-3678-3678の12点
枠番抽選で高橋貢が5号車
他が誰だったかは記憶が無いが
5号車が高橋だったのは今でも覚えてる。
本場の椅子に座り
新聞を見つめて
コースを眺めて
締切の何分前と音を聞く。
こんな冷静を装っていても
俺だけだろうなと思うほど
脳みそはフル回転。
絞りたい。
12点じゃ意味がない。
この時の一番人気は
5-7-8
12.5倍くらいだったと思う。
10倍は切らないくらいの人気。
5000円ずつなら全部かけれて一番人気で元。
本来やるべき賭け方。
その時の俺はそんな頭は無かった。
絞って当てなきゃ
何のために今まで色んなレースを観て
勉強してきたんだ。
絞らなきゃ勝ちも減る。
色んな思考があったが、俺の中で
一番人気に張るという選択肢は無かった。
その展開が一番無いと思ったから。
説明なんてできないが
一番人気になる展開が考え辛かった。
俺の中の本命は
5-3-678
3の抜けだしから貢が捕まえて678が3着戦。
そんな予想だった。
オッズは
5-3-6が50倍以上
5-3-7が40倍付近
5-3-8が40倍付近
確かこんな感じだったと思う。
2万ずつ張ったって、大勝ちには変わりない。
この時、締切3分前。
俺はオッズ画面に目を向けて
何を考えてるかわからないが
何かを考えている自分がいる。
ぼーっとオッズ画面を眺めた。
オートレースってオッズに
左右されないレースだと俺は思ってる。
例えばこれ、動画が無かったから画像で。
動画はネットスタジアムで検索してみてくれ。
2014年G2川口記念の10R
森が大人気。
完全な名前売れ感。
結果は8-6-1
田中茂の強さを知らない森信者が
森を買えばオッズが変わる。
こんな名前売れっていうのが頻繁にある。
だからこそ予想をしっかりして
俺の中の本命が何万も何十万も配当を
もたらしてくれることが多々ある。
俺の中では本命だからなぜそんなに配当が
あるのだろうと疑問に思うこともあるが
名前売れかと納得はできることもある。
スタート、展開、全てを考えれば
自分の中の本命で
高配なんて事もあるのがオートだ。
こんな事をまだ知らない俺はオッズが流れている
画面をぼーっと見ている。
さてどうするか。
金は6万650円。
ただ俺にはこの3点しかもう
見えなくなっている。
これしか絶対にない。
この5-3-678の3点
この中で強めは5-3-7。
7が8よりスタート出て常に8より前にいる形
残り1分。
俺は自前のペンを握りしめて
マークシートを手に取った。
5-3-6に2000円
5-3-7に56000円
5-3-8に2000円
68の3着戦は元にした。
7の3着戦はきてくれれば230万くらい。
自分一人でどきどきしてるなんて
気づかれない風に俺は持ち金を車券にした。
12点あった予想を3点に絞り、突っ込む。
これが俺の初めての大勝負だったのを覚えてる。
このレース動画を探したんだが
古すぎて無かった。
結果すら無かった。
俺の頭の中にある記憶で想像してくれ。
車券にした俺はもう当たった気でいる。
抑えも買ったし大丈夫な気でいる。
残りの650円で
きゅうりと鮭のおにぎりとお茶を買った。
残り280円。
もうこれで帰りは電車は乗れないが
なぜだか平気な気がした。
ゴール線付近、見やすいところで
選手が出てくるのをまつ。
食いながら冷静装ってるがまだ17の俺。
もうすぐ18だがまだまだくそガキな俺が
冷静な訳が無い。
ただ、ぐっと我慢して選手を
待っていたのを覚えてる。
選手が出てくるまでの間に
オートを語る以上
絶対に知っておいてほしい選手がいる。
まずは
広瀬登喜夫。
鬼のように強かった選手。
第一回日本選手権で340メートルのハンデで
優勝してしまう程の選手。
今の最高ハンデは110メートルと考えると
凄い事だとわかってくれると思う。
この強いのがあのスマップ森の
指導員ってところも驚きだろ?
飯塚将光。
ミスターオートと呼ばれた選手で
残念な事に亡くなってしまったが
日本選手権で6回優勝、13年連続優出
これは今も破られてない記録。
そして高橋貢。
年間獲得賞金の記録を持っており
生涯獲得賞金も現在更新中。
どれだけ勝てばいいのかと
賞金が少ないオートでは凄い金額となる。
年間記録は1億4800万ほど。
この選手が
どれだけ勝ってきて強いかわかるかと思う。
まだまだ知って欲しい選手は
現在にもたくさんいる。
若く強いのが出てくる今
覚えなきゃいけない選手というのは多くいるが
とりあえず今はここまでとして
そんな高橋がピットから出てきたから
話を戻そう。
俺は食うもん食って新聞握りしめて
高橋を見つめる。
うん、大丈夫。余裕はありそう。
位置も展開も向く。
そう確信した。
選手の位置も決まり遂にスタートまで10秒。
でっけー唾飲んだの覚えてるわ。
スタートは
3が飛び出る。
それに乗せるように外から5の貢。
完璧な展開。
高橋に乗せて出たのが6。
6に乗せたのが7だが6に突っ張られて
カマシ切れない7。
8は出遅れ気味、8枠なりのスタートで後方。
よし、大丈夫。そう感じた一瞬だった。
3が逃げる展開を5が追い、その後ろに67。
12には35がかまして凹む形になり出番はなく
予想通り。
残り4周。高橋が3を詰める。
こうなったらもう高橋の頭は間違い無い。
ただ、俺の心臓がばくばくしている。
もうこの周回で終わってくれ。
こんな気持ちはいやだな。
早く終われ。
そのままでいい。
そんな事を考えてた。
残り3周。高橋が先頭に立つ。
今の形は5-3-6-7-8-
もう完璧過ぎた。
よし、後は7が6を交わして、俺の勝ちだ。
最悪6でもある。元だがそれでいい。
そんな事も考えてた。
残り1周。
1コーナー、3が滑る。
ん?ちょっと。どした?
2コーナー少し膨らむ。
インが開く。
6が入る。
6がインをついた時
3が車速落としてそこに7が詰める。
3コーナー手前直線で7にインつかれる。
4コーナー周り、ゴール。
5-6-7
おう、はずれたぜ。
ずっと観てた。
コースを
帰って行く選手を
観客を
ずっと誰も周りにいなくなるまで呆然だった。
無料バスなんて乗る気にもならず
正門を出て歩いてる。
歩いているが頭の中は
なぜ滑った?
ついていくだけ後はそのままで良かった。
滑らなければ最高でも7が最後インついて
6交わしてたら。
なぜ滑って膨らんだ?
焦ったのか?
頭の中はハテナで一杯。
怒りなんてない
どうしてなんだろうという疑問だけ。
そのままずっとオートを考えながら
歩いて5時間くらい。
とぼとぼ。ゆっくりと。
家についてもずっと考えた。
これが絶望なんだと
今となればわかるが
その時はどうすることもできず
考えることしかできなかった。
これが17の冬。
でも不思議なもんであんなに考えて
絶望だったのに次の日には
忘れたかのように仕事の話をして
これからどう生きてくかもわからない
若造が立ち上げだのなんだの
生意気な事を言って
話してたのを覚えてる。
でもどこかオートを避けてる俺もいた。
あんなに頑張ってたオート。
数ヶ月賭けずに勉強して
やっときたチャンスだと思った。
でも負けた。
そりゃ避けるよな。
それからしばらく仕事ばっかして
金がまた貯まってきたんだ。
自分で汗水垂らして貯めたお金が
手元に40万くらいあった。
久々に休みがあってな。
ずっと働きづめでオートなんて観もしなかった。
あれから何年か経ったかなくらいの感覚。
休みと言ってもなんもなさそうだから
とりあえずこの日休むわって感じの急遽。
なんだろうな。
そんな日にあの高橋貢が船橋で優勝戦出るって。
ずっと調べもしなかった俺もなぜ休みの日に
オートの開催調べたのかもわからない。
引き寄せられたのかな。
もちろん行ったぜ。
汗水垂らして働いて貯めた金持って。船橋へ。
船橋に俺が向かってる間
船橋語る上で俺の中で
史上最強レーサーの話をさせてくれ。
片平巧(かたひら たくみ)船橋オート所属。
まずはこのレースを観てくれ。
3番赤い勝負服が片平だ。
インをつく走り、インであれだけの車速を
出せるのは片平くらいしかいないと
思ってるほど凄い選手だった。
オートレースは外走ればもちろん車速は出る。
インをつけば小回りになり車速は落ちる。
だが、片平はインでどれだけスピードが出せるか
それだけを練習し、習得した数少ない選手。
今はもういないが最強だったのを俺は覚えてる。
船橋オート所属で
忘れてはいけない選手だとも思ってる。
こんな選手もいるのがオートレース。
外ブン回ってスピード出すだけじゃないってのを
分かって欲しい。
そんな話をしてれば船橋なんて
すぐ着いちまったな。
俺がついた頃はもう5レース。
6レースから勝負か。
ただ6レースはやらなかった。
新聞を見てたら、あの日を思い出した。
そう、俺が初めて大負けした日。
自分が絶望したと思った日を。
やらなかった、ではなくやれなかった。
じっと6レースを観た。
7レースも観た。
買おうと思っても、悩んでる間に締切。
このときに思った。
あの時の気持ちを返して貰おうと。
優勝戦に高橋貢が出るなら
それだけやればいいと俺は考えて
あと3レース観て、11レースだけやろうと
そして11レース。
高橋貢は8号車。
地元池田も怖い存在。
伊藤の出来もいい。
流石の優勝戦、調子が良い選手ばかりで悩む。
ただ俺は高橋貢で勝ちたい。信じたい。
そんな気持ちだった。
池田の調子は地元だけに最高と言ってもいいくらい。
8-2-しか俺の中ではないレースだった。
高橋を推せるからこその目。
俺の買い目は
8-2-1
8-2-3
8-2-5
8-2-6
この8-2-縛りが後に俺をオートから
離れられなくなる展開になるとは
思ってもみなかった。
金額は
8-2-3以外が2万
8-2-3が5万だった気がする。
11万勝負。
なぜか余裕はあった。
そう、40万は持ってきてたから。
負けても残る。そんな感覚。
でも負けたくないと心から願って
船橋に来てからレースをやらずに
8レース頃からこの優勝戦の予想のみしていた。
負ける訳がない。今回も強気。
そしてレースが始まった。
スタート高橋がぶちかました時
俺はもう貰ったと思った。
そして4コーナーでスッとインをついて先頭。
決まったなと。
ただ、池田の地元の意地。
残り8周、池田が高橋のインついて
先頭たってからは
俺は声すら出なかった。
またこれかと。
でも、どこか信じてる俺がいて
レース観てたらわかると思うが
あれだけぴったりマークなら
必ず高橋は狙ってると確信があった。
タイヤも車も平気。
だとしたら必ず逆転してくれる。
後ろを見れば俺の3着戦の連中。
もうこれで平気。
後は高橋がやってくれれば。
そう思ってた。
だが、池田の車速もかなりのもの
地元の意地出すなよ。
いんだよここは高橋で。
でもなぜ折り返しも買っとかなかったと
そんな事を強く思ってた。
残り1周3コーナー高橋が入りかけて入れない。
俺はまた絶望に変わった。
このままかよ。くそ。
そんなレースを観てくれ。
2004年11月3日SG 第36回 日本選手権オートレース 優勝戦
https://youtu.be/JOpgqDy8Rx8
高橋がやってくれたんだ。
最終コーナー足らなそうな距離を
思いっきり突っ込む。
本当に鳥肌が立った。
本当に泣きそうにもなった。
結果は8-2-3
完璧だった。
俺はこのレースの払戻しを受けて。
そのまま帰った。
本当に嬉しく、高橋貢って選手の凄さを感じつつ。
これをきっかけに俺は
オートレースにどっぷりハマっていく。
あれだけ働いてた俺が休みを作るようになり
休みになれば現地まで行く。
そんな生活が長く続いて
仕事でやってることが
1.2週間待ちみたいな状況になった。
仲間がやることがあり
俺は特に別にないから
休んでるから何かあれば言って
みたいな状況。
やること無かったし休みになったら
やることはもちろんオート。
この次の日から
俺の人生を大きく変えた1週間が始まる。
とりあえず第二章はここまでだな。
第一章より長く書いたから疲れちゃうだろ。
今回も魅力かなり伝わってたら嬉しいぜ。
オートレースの中には色んなドラマがある。
もちろん他の競技にもあるが
観られてる事が少ない分
たくさん伝えたいって思ってる。
またこれでオートの魅力伝わって
反響あれば嬉しいし
また書くぜ。
なければ書かん。
その代わり観てくれオートを。
きっと楽しい。
わからないことは俺に聞いてくれ。
いつでも何でもその質問をみた瞬間に答える。
賭けたいなら相談くれ。少しでも力になる。
オートレース。よろしくな。
常に全力、全的狙い。
オートレース愛。
よろしく
A