エクスプローラー探検記-吸血鬼
こんにちは。「カルロフ邸殺人事件」が各環境に新しいデッキを供給したこの環境に、無法者の影がちらつく今日この頃。
先日、MTGアリーナエクスプローラーのランク戦でミシックランクに昇ったので、そのデッキを紹介しようと思います。
1.コンセプト
2.採用カード
3.サイドボーディング
1.コンセプト
エクスプローラー/パイオニアを嗜んでいる方には、新規カードが出る度常にウォッチしなければならないものがあります。それは部族シナジー。
単純な1マナ、2マナ、3マナの動きをするデッキはもう淘汰されつつあるこの環境。如何にコスパ良く派手な動きを出来るかが重要になっています。その中でも「傲慢な血王、ソリン」は破格の性能です。
これまでも、ソリンを利用して大型吸血鬼を3ターン目に踏み倒すデッキは試されてきました。これらの吸血鬼にはサイズ以外の除去耐性が無く、踏み倒しても「喉首狙い」等で簡単に処理されていたために、ソリンの踏み倒しデッキが支配的になる事は少なかったようです。
しかし、「カルロフ邸殺人事件」で「血管切り裂き魔」が登場すると状況が一変。プレビュー時はスタンダードで「太陽降下」環境だった為に評価が低かったのですが、パイオニアでソリンと組み合わせるには最適なクリーチャーでした。
護法でクリーチャーの生贄を要求するのが、予想以上の堅さとなります。序盤はクリーチャーが碌に展開されていない事、護法が誘発した時に対戦相手のクリーチャーを除去するタイミングがあるのも含めて優秀な除去耐性です。
もう一つの常在能力は、クリーチャーが死亡する度に2点ドレインする事。これは自身も含むのが嫌らしいですね。戦闘では周囲のクリーチャーと共にチャンプアタックを仕掛けられるのが強力です。
血管切り裂き魔を使ったデッキは早くからエクスプローラーで試され続けていましたが、この3月に挑戦したのは新しい構築です。
新しい軸は「無駄省き」ハンデスです。現在のパイオニア/エクスプローラー環境は「鏡割りの寓話」「帳簿裂き」を利用するデッキばかりです。これらの強みはルーティングによる手札入れ替えですが、「無駄省き」はこれを間接的に妨害します。無駄省きハンデスデッキはパイオニアに元から存在していましたが、メインボードのクリーチャー採用が「黙示録、シェオルドレッド」「最深の裏切り、アクロゾズ」の計2〜3枚程度に留まるものが多く、決定力に欠けると思っておりました。
そこで、無駄省きハンデスデッキを主軸にしつつも、決定力向上の為に「血管切り裂き魔」コンボと複合させることにしたのが、今回のコンセプトです。
2.採用カード
コンセプト説明だけでもの凄い文字数になってしまいましたが、今回のデッキに採用しているカードで特筆すべき所を見ていきましょう。
・「精神迷わせの秘本」
割と今回の要になっている一枚。2ターン目に置くと、そのターン+次ターンのアップキープの2回、占術のチャンスが回ってきます。これにより「傲慢な血王、ソリン」+「血管切り裂き魔」を揃える手助けになります。
「無駄省き」を使う以上、相手がハンデス・ルーティングで土地を捨てる事にも対応しなければなりません。秘本の2マナを使うドロー能力は無駄省きから出るマナを有効利用するのにも役立っています。これは「勢団の銀行破り」も同様ですね。
・「勢団の銀行破り」
主な役割は「精神迷わせの秘本」と被りますが、吸血鬼踏み倒しデッキには機体は絶対に必要です。「血管切り裂き魔」は優れたクリーチャーですが、護法等では布告除去は防げません。そこで、布告除去を受ける役が必ず必要になるわけです。
勿論、ドロー能力・宝物生成・4/4の機体としての性能も高いです。しかし、精神迷わせの秘本と異なり、最序盤のアクションとしては重めなのでメイン2枚採用です。
・血瓶の調達者
今回のデッキで、一番意外に思われるであろうカード。ソリン+1で接死・トランプル・絆魂・飛行で攻撃時に血トークンの数だけパワーアップという攻撃性能の高さを買っています。
お相手の土地が詰まったいたら、お相手の血トークンを使ったルーティングがマナ拘束みたいに機能しします。更にこれも「無駄省き」と相性の良いカードです。
弱点もしっかりあって、お相手に生贄可能な血トークンを与えるので「致命的な一押し」には滅法弱いです。なのでお相手が黒だったらサイドアウトします。
サイドボード
強迫 1枚
長い別れ 2枚
危難の道 3枚
勢団の銀行破り 1枚
真っ白 1枚
ヴェールのリリアナ 1枚
穢れた療法 2枚
絶滅の契機 2枚
黙示録、シェオルドレッド 2枚
・危難の道
今のエクスプローラーではボロス召集など、低コストに寄ったウィニーが強いのでその対策に。
・穢れた療法
パイオニア・エクスプローラーで吸血鬼の次にシェアがあるコンボデッキ、アマリア探検隊。このカードはそのコンセプトを完全否定します。しかし、あまりに強すぎるサイドカードだからか、これを入れたらアマリア探検隊とのマッチングが大きく減りました。
3.サイドボーディング
さて、ここからは簡単に環境に存在するデッキへの戦い方を見ていきましょう。
・対イゼットフェニックス
メインボードの相性 ◎
サイドアウト
強迫 1枚
サイドイン
真っ白 1枚
元々、「無駄省き」が誘発し易い相手なので、サイドボーディングは最小限に。「宝船の巡航」を撃たせなければお相手のリソースは枯れやすいです。
タフネス6の黒のクリーチャーを1枚で討ち取れる火力は存在しないので、「血瓶の調達者」の通りが良いです。
・対ラクドス吸血鬼
メインボードの相性 ◯
サイドアウト
血瓶の調達者 2枚
強迫 2枚
ヴェールのリリアナ 2枚
サイドイン
長い別れ 2枚
絶滅の契機 2枚
真っ白 1枚
黙示録、シェオルドレッド 1枚
お相手が「墓地の侵入者」、「分派の説教者」を使用するなら「長い別れ」で彼らを自由にしないようにします。それ以外は「鏡割りの寓話」を「無駄省き」で抑圧するプランで問題ありません。
お相手が素早くコンボを実行した時の為に「絶滅の契機」をサイドインしておく事は忘れずに。
・ボロス召集
メインボードの相性 △
サイドアウト
無駄省き 4枚
ヴェールのリリアナ 2枚
真っ白 2枚
強迫 1枚
サイドイン
危難の道 3枚
長い別れ 2枚
絶滅の契機 2枚
黙示録、シェオルドレッド 2枚
メインボードでは3ターン目に「血管切り裂き魔」降臨以外の勝ち筋はありません。サイドはハンデスを削って除去マシマシ、4マナクリーチャーも厚くします。
・対アマリア探検隊
メインボードの相性 ×
サイドアウト
無駄省き 4枚
ヴェールのリリアナ 2枚
真っ白 2枚
強迫 2枚
最深の裏切り、アクロゾズ 1枚
サイドイン
危難の道 3枚
長い別れ 2枚
絶滅の契機 2枚
黙示録、シェオルドレッド 2枚
穢れた療法 2枚
ボロス召集と似た考え方ですが、緑が入って「集合した中隊」を使うこのデッキ相手では、理不尽なリーサルもあり得ます。探検コンボは、「アマリア」・「野茂み歩き」・ライフ回復手段の3枚コンボです。このうち、ライフ回復手段を特にメタるように戦うことを意識します。
とはいえ、「穢れた療法」がアリーナ的に過剰サイドと思われているのか、滅多に当たることも無くなりましたね。
●サイドチェンジ無しでもなんとかなる相手
・アゾリウススピリット
・アーティファクトエンソウル
細かいクリーチャー主体のデッキは、「血管切り裂き魔」で封じ込める事ができるのでだいぶ気が楽ですね。相手の動きを見て「長い別れ」を使うか等、臨機応変に検討しても良いですが、基本的にメインボードの戦略で大丈夫です。
●サイドチェンジでもどうしようも無い相手
・グルール機体
・緑単信心
・「厳粛」コンボ
グルール機体は切り裂き魔のタフネスを超えやすく、「アクロス戦争」等で切り裂き魔を奪ってくるし、サイドチェンジで緑の防御カード等も用意してくる最悪の相手です。
緑単信心も切り裂き魔を超えやすいデッキですし、「ギルドパクトの力線」で信心4を保たれるから息つく間もありません。
「厳粛」「九つの命」コンボは黒いデッキでは干渉不可です。更に「神聖の力線」を貼られると、ソリン+1や血管切り裂き魔ですら意味が無くなりますので諦めます。
以上、これが今月エクスプローラーでミシック到達した黒単吸血鬼でした。「血管切り裂き魔」を出されるとどうしようもなくなるデッキがエクスプローラーにある以上、黒単・ラクドス吸血鬼は環境に残り続けるでしょうね。
4月からは無法者の次元「サンダー・ジャンクション」にて、どのようなデッキが各環境に誕生していくのか楽しみです。では、またお会いしましょう。
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