「ANDPAD 3Dスキャン」で街中を3次元化してみた
こんにちは。ANDPAD ZEROの藤田と菊野です。
今年の3月1日に「ANDPAD3Dスキャン」がAppleのAppStoreで公開されました※1※2。今回はAppStoreリリース記念として、本プロダクトを開発した藤田とPMの菊野で、初めてタッグを組んで記事をお届けしたいと思います。
「ANDPAD 3Dスキャン」の価値を端的にお伝えするため、実際にアプリを使って都内の様々な物を3次元化していきますので、お楽しみください。
ツールの概要
「ANDPAD3Dスキャン」は、iPhone Pro/iPad Pro(※1)を用いて自分の身の回りを簡単に3次元化することが出来るツールです。
空間把握技術というのは、これまでは、比較的熟練の設計者、監督や職人といった長い間現場に従事した方々が持っていた技術でした。
しかしながら、最近では、3Dスキャンを使えば、どんな方でも対象物の大きさを容易に把握する、つまり空間把握することが可能となります。
方法はとってもカンタンなんです。スキャンしたい空間の動画をとる感覚で、3Dスキャンを動かすだけ。iPhoneと対象物の距離を自動計測して、3次元データがたった数十秒で完成します。
ANDPADのプロダクトを用いると、3次元データの取得のみならず、取得した3次元データをANDPAD上で確認できるようになっています。ANDPAD BIMというビューワー機能を用いることで、ANDPADユーザーである関係者ならどこからでも3次元データを確認できます。
3Dスキャンによる3次元化、3次元データの関係者への共有、関係者によるチェック・確認といった一連の流れを、ANDPADで完結できるワンプラットフォームともいえます。
ここからは、ANDPAD 3Dスキャンを使って町中を3次元化していきたいと思います。
※1:LiDAR機能が搭載されたiPhone Pro 12以上またはiPad Pro 2020以上の端末が対象です。
※2:ANDPADをご契約企業様のうち現在トライアル実施中のユーザー様のみ利用可能です。AppStoreからダウンロードいただいても、一般の方はご利用いただくことができません。
「ANDPAD 3Dスキャン」で街中を撮ってみた
①狭い屋内空間:アンドパッド本社 8階ロビー
一つ目のスキャンは、比較的狭い屋内、弊社ロビーを3次元化してみました。
秋葉原駅前住友不動産ビルの8階にあるロビーで、内装は木目調で仕上がっており、緑も取り入れた非常に暖かい空間なのがわかります。入り口のドアの幅、ロビーの天井高さ、ロビーの面積などは、実際に手で測ると計測時間に少し時間がかかってしまうところ。しかし、この3Dスキャンがあれば一瞬です。右の図のように、任意の点と点の間の距離を計測することも可能です。
撮ったデータはクルクルと画面上で回すことができます。日頃過ごしているフロアを真上からみる機会ってなかなかないですよね。先行でご紹介させていただいている顧客からは、この特性を活かしてマンション等改修時の「現地調査利用」に使っていきたいという声もいただいています。
②広い屋内空間:秋葉原オフィスの1階エントランス
二つ目のスキャンは、一つ目よりも広い屋内空間にチャレンジ。秋葉原駅前住友不動産ビルの1階エントランスを3次元化してみました。
さきほどのアンドパッドの8階ロビーの天井高が3mだったのに比べると、ビルの1階エントランス天井高は5mです。iPhoneに搭載されているLiDARのセンサー範囲は5mまでとなっているため、iPhoneのLiDARで3次元化できるギリギリの高さとなります。(もちろん自撮り棒や足場を組むことでもっと天井が高い空間も取得することが可能です。)
ちなみに、左の写真のようにメッシュに写真が張り付いていく3次元データを「テクスチャメッシュデータ」と呼びます。細かい部分も3次元データ化できることが特長で、例えばコンセントの位置まで確認することができます。これは粗い点群データでは実現できなかった世界観ですね。
③屋外:公園
3つ目のスキャンは、建物を飛び出して、屋外に出てみます。秋葉原の公園を3Dスキャンで撮影してみました。
大通りから一本入った公園でこちらのベンチでお弁当を食べている方をよく見かけます。こうした屋外の空間についても、3次元データを取得することが可能です。
例えば、敷地面積を計算したり、ブロック舗装の周長や面積、緑化面積を計算したりすることが簡単に行えますね。3次元データとビューアーさえあれば、現地時行かずとも現地の状態を的確に判断することができます。設計者や施工者は一度は現地に行く必要あるかと思いますが、「あそこの寸法がよくわからない。」と言って何度も現地に足を運ぶことはこれで無くなりそうです。
④立体物:LOVEオブジェ
これまでの3つは空間を撮影してきましたが、最後は、立体物をスキャンしてみました。新宿西口にある「LOVEオブジェ」。テレビなどで見たことがある方も多いかと思います。私たちも実物を訪れて見るのは初めてだったんですが、結構大きいんですね。
3Dスキャンを用いて計測してみると高さはなんと「3.5m」!ネットで調べてみると「高さは約3.5m」と紹介されており、3Dスキャンとネットの情報がドンピシャで感動しました!夕方の撮影となり日も沈んでいて、辺りも暗かったんですが、結構綺麗にスキャンできていませんか?
iPhone12ProとiPhone14Proの性能比較
ここからは少し趣向を変えて、iPhone12proとiPhone14proでスキャンしてみて、結果にどう差が出るかもみてみました。
左がiPhone12pro、右がiPhone14proでスキャンしたモデルです。iPhone12proの方がカメラの性能のせいか少し暗めですが、スキャン自体は遜色ない感じですね。
また、今回実際にオブジェクトをスキャンするにあたり、同じ箇所を何度も往復させて念入りに撮るよりは、一度の動きで全体をさらっとスキャンした方が綺麗に取れることもわかりました。
下記の画像は同じスマホでスキャンしたモデルなのですが、右のモデルは「L」と「V」の辺りが少しギザギザしてしまっています。この理由はスキャンする際にこの箇所を何度も"重ね塗り"して撮影したためです。今後は、どうスキャンすれば綺麗に撮れるか、についても検証していく必要があると感じました。
あたらめて感じたハンディスキャナーの印象
実際に自分でスキャンしてみて、ハンディスキャナーの一番大きなメリットはやはり手軽さだなと実感しました。
スキャンの仕方で仕上がりのクオリティも変わります。三脚で固定する必要があるスキャナーの場合、それなりの重さですので撮影しなおす場合は少し労力がかかりますが、ハンディスキャナーの場合は失敗したとしても手軽にスキャンし直すことができます。これはなかなかのメリットだと思います。
他方、iPhone搭載のLiDARセンサーはせいぜい5mほどまでの範囲しかスキャンすることができないという点もあります。
一般的なToF方式(Time of Flightの略称で光のレーザーを投射して戻ってくるまでの時間をもとに対象物までの距離を測定する方式)のスキャナーが数百万円するのに対し、iPhoneは15〜30万ほどなのでセンサーの性能が劣るのは仕方がない気もしますが、今後センサーの性能がさらに向上し、もっと安価になるにつれこの問題も解消していくことが見込まれますのでそこに期待したいです。
実際の現場での利用
今までの測量機器は非常に高価な物が多かったのですが、安価でLiDARの機能が使えるというのは、現場の施工管理においても非常に大きな意味を持ちます。例えば、東邦ガスネットワーク様との共同プロジェクトでは、まさにこの技術を現場で検証しています。
今まで3次元データはもちろんCADデータを触っていなかったユーザーもご利用いただけるツールが「ANDPAD3Dスキャン」です。インフラ工事はもちろん、ディスプレイや内装工事などの現調利用においても様々なシーンで現場の施工管理品質の向上に寄与するツールとなっております。実際の現場での活用シーンについてはまた別途ご紹介いたしますので、乞うご期待ください。
最後に
今回は実務的な話ではなく、LiDARスキャナーユーザーとしてツールを紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
今までLiDARが搭載された機器は、高価なものというイメージが強かったと思います。3次元データが取得できてもなかなか現場で使うのはセキュリティ的にも会社の体制的にも難しいと感じていたところが強かったのではないでしょうか。
「ANDPAD 3Dスキャン」は、ANDPADの既存の環境で3次元データを取り扱うことができるツールです。現場を3次元化してみたいという方は、ぜひこちらからお問合せください。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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